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今月の10冊 その8「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」

今年に入って、やたらと僕の生活圏で名前を聞くようになった
「オードリー・タン」
どうやらとんでもない天才らしい事と、台湾のコロナ封じ込めに成功した「デジタル担当の最年少閣僚」らしい事が記憶に残っていて、加えて個性的なキャラクターがとても印象的な人物。

世界がいま最も注目する人のことを知りたくて手に取りました。
こういう人がこれからの社会の形や未来をどの方向に進めようとしているのかを知ることで、明日の僕たちにとって指針となるはずです。

オードリー・タン
1981年生まれ 39歳(僕の二つ年上)
両親はメディア関係の仕事。
生まれつきの心臓疾患で体が弱く、学校生活に馴染むことができずに中学を中退。自分で、インターネットを使い学習。
世界中の学者や開発者と繋がり合い、視野を広げていった。
現在は、台湾の『デジタル担当政務委員』の1人として、35歳の若さで、「行政院(日本でいう内閣)」に抜擢。
デジタルを使って、社会問題の解決に貢献している。

トランスジェンダーであることを公表していて、「男女」も「老若」も「貧富」も全ての境界がない『インクルージョン(包括的)』な『誰も置き去りにしない社会作り』を目指している。

信頼をデジタルで繋いだ台湾のコロナ対策

最初に、新型コロナの流行に歯止めをかけることができた唯一の国として、何をやったのか。
台湾は過去にSARSウィルスによってロックダウンせざるを得ない状況になった過去を教訓に、今回のウィルスは『石鹸による手洗い』と『ソーシャルディスタンスの確保』『マスク着用』による感染防止が有効であるという共通認識を政府とともに国民一人一人が共有し、正しく対処できた。

マスクの争奪パニックを避けるため、全国民の保険証で「実名販売」。
その履歴を共有することで買い占めを防止し、正く必要な数を行き渡らせることに成功。
ここで重要なのは、デジタルに明るい人は「スマホでキャッシュレス対応」
そうでない高齢者は、「保険証」で。
と立場に応じて柔軟な対応を行なったこと。

さらに、民間のプログラマー(シビックハッカー)とともに政府が管理するマスクの在庫状況を公開して、どの店舗にどれだけマスクの在庫があるかわかるようにした「マスクマップ」を作成。
誰でも使えるアプリを官民でスピーディに作り上げた。

台湾人は政府と国民の距離が近く、「政府は国民を」「国民は政府を」互いに信頼しあって、民主主義の正しい形をなしているのかもしれません。全ての人がそこに向けて政治に関心を持ち、参加しているからこそ素早い情報発信と、行動変容が可能だったんだと思います。
(やっぱり台湾には必ずいってみたい!)

デジタルを活用してより良い人間社会を作る

『青銀共創』ー青年と年配者が意見を交わし合って、互いに共通の価値観を探り社会問題を解決しようとする試みが盛んに行われている。
80から90歳の年配者が、若者と一緒にデジタル技術について学んだり、若者は知恵と経験を学ぶ場所。

『振興三倍券』ー「青銀共創」から生まれたコロナ対策支援制度。(GoTo eat券のような振興券)紙のチケットが良ければ「紙」で良いし、クレカを使い慣れているのであれば「カードに紐付けすればいい」

単純だけど、ここでも「誰も置き去りにしない」という思想がはっきりと見える政策だと感じます。
オードリー・タンの最大の功績は、デジタルによって『誰も置き去りにしない進歩』を求める思想を政府内に根付かせたことだと思います。

デジタル民主主義
国と国民が双方向で議論できる環境を整える

『vTaiwan』『Join』といったオンラインで法案を討論したり、市民参加型のプラットフォームを作って運用している、ユーザーは1000万人を超える。

誰もが生活の中にある問題を解決するアイデアをここで提案することができて、その提案に対して自分の意見を言うことができる。『Join』では、2000件以上の政府プロジェクトが議論されてきて、「医療サービス」「公衆衛生」「公営住宅建設」など。

さらに興味深いのは、そのプラットフォーム上で「2ヶ月以内に署名が5000件集まれば、政府は必ず政策に反映する」という日本では考えにくいルールがあること。

デジタルを使って社会問題に解決に参加できる仕組みはなんて素晴らしいんだと感銘を受けました。日本でこれを実現させることのできる政治家は残念ながら現れないでしょう。

これからの社会の方向性を、台湾が指し示してくれていることを学びました。
日本は、世界のどこをみても答えのない「超高齢化社会」に突入しています。
その問題は、様々な角度から、それぞれの立場で理解し合い共通の価値観を見つけ出す仕組みと、相互理解が必要ではないかと感じています。

「誰かがやる」ではなく「自分たちがやる」
「限られた人だけ」ではなく「誰も置き去りにしない」
そんなイノベーションを考えていくことに、これから大きな価値が生まれる気がしました。


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このブログは、飲食店経営を受け継ぐ二代目としてコロナ禍で何を感じ、何を考え、どう行動していくかを記録していくものです。家族経営の課題や自分自身の問題、学び、挑戦を記録していきます。
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