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この本、中学くらいに読みたかった【きみのお金は誰のため】田内学


おはよう・こんにちは・こんばんわ


「かき氷」 というアカ名で投稿している者です。
この投稿含めた「読んだ本の感想」を投稿しています。
今のところ毎週後半の投稿をこころがけておりますが、仕事などの都合で前後する場合もございます。



今回紹介するのは

田内学 著


きみのお金は誰のため
ボスが教えてくれた
「お金の謎」と「社会のしくみ」



この本は「お金とは何なのか」「社会がどんな仕組みでなりたっているのか」をストーリー形式でわかりやすく理解できる1冊です。

・お金について学びたい。
・そもそもお金って何だ?
・社会の仕組みを知りたい。
・ホントの意味で豊かな生活をしたい。
・子どもと一緒にお金について学びたい

などの悩みを抱えるアナタにオススメです。


著者の田内学さんは作家をされており、証券会社での経歴を基に様々な本書の制作をされているとのことです。
「お金の向こう研究所代表」という肩書きも持っておられます。
(本書巻末参考)





本書はビジネス書ではあるものの、ストーリー形式で話が進行していきます。

おそらく読んでくださってるアナタは大人の立ち位置という勝手なイメージですが、大人のみならず子供にも分かりやすく、いや子供にこそ読ませていいくらい内容が明瞭です。


この本で出てくる登場人物は3名

主役にあたる佐久間優斗
もう1人の主役でもある久能七海
2人にお金・社会の仕組みを教えるボス

他にも登場人物はいますが、この3名を基準に話が進んでゆきます。

あらすじ

中学生の優斗はある日、学校の進路面談で「年収の高い仕事に就きたい」といったところ担任から「お金より大事なものがあるだろ」などの長い説教を聞かされます。
「社会のためでなく、結局はお金のために働くんじゃないのか?」と本音を抱く優斗。

その帰り道で七海という女性に声をかけられ、ある屋敷へと道案内をする。
そこは「錬金術師が住んでいる」と噂されるほど有名な建物。

そこに着いた途端バケツをひっくり返したような雨に見舞われ、優斗も屋敷に雨宿りさせてもらうことに。

屋敷のなかは絨毯が敷かれ、高そうな絵画も飾られているほど豪華なものだった。
その屋敷で出会ったのが、ボスと呼ばれる背の低い大人。

七海は仕事先である投資銀行の上司から「ここで勉強してこい」と言われてやってきたという経緯。

ただボスは「お金儲けの話はしない」と断言。

そして雨宿りついでに招かれた優斗も共に勉強することとなる。

目の前に置かれた1億円の札束を前に手汗止まらずの優斗。

優斗と七海は、ボスから『お金とは何か?』『社会はどのような仕組みなのか?』を教わりながら考えを繰り返し、様々な真実に触れていくことになる。

そしてこの3人にはある運命的な共通点があり、、、

という流れで話が進んでいきます。

本書の内容もストーリー形式で楽しみながらお金の教養を身につけられるので、ベストセラー本というのも納得です。


優斗と七海とおなじ目線でお金について学ぶことができるので内容がスっと入ってきやすい構成となっています。

ながくなってきたので、早速解説に移りましょう。




◆お金は毎年燃やされている


最初から "お金が燃やされる" と言われても「何言ってんだこいつ」とツッコまれそうなので解説しましょう。

結論から言えば
お金(紙幣)とはただの紙切れなのです。

もしかすると体験あるかもしれませんが店で渡されるお金でボロボロな紙幣をあまり見ないと思った人もいるのではないでしょうか?

実は古くなった紙幣は焼かれているとのこと。

「使ってるうちに紙幣は汚れたりやぶれたりする。5年も使うとボロボロになるから、古いのを捨てて新しい紙幣を使うんや。ほんまに紙幣自体に価値があるなら、古い紙幣を捨てる理由なんかあらへん」

29ページ

私たちはお金という紙切れに特別な感情を抱きがちです。
ただ、冷静に考えればわかる話で、紙幣自体も消耗品なのです

紙幣は毎年30兆円ほど焼却されるようです。

実感湧きやすい例として
投稿時点で、日本では新紙幣が発行されたタイミングなのでタイムリーな話になります。

新しい紙幣が発行されるなら古い紙幣はほとんど使われることはありません。

って書いたところで「……で?」となるでしょう。

この本は、お金についての固定概念そのものを覆す内容となっています。

お金の先にあるものについて、これから解いていきます。



◆お金の価値と実際の価値は違う


燃やされるの次はお金と実際の価値???
つまり"お金に価値がない"ということか?

となったかもしれませんね。

困惑されるでしょうが説明します。

手元に紙幣を用意して、じっくり見てください。
「日本銀行券」という文字が書かれています。


お金とは『日本政府や日本銀行が価値を保証したもの』なのです

見方を変えればお金(日本銀行券)はお店から配られるクーポンと同じようなものとも捉えれます。

この価値保証があるからこそ、ブツブツ交換せずとも欲しいものを適正なもので手に入れることができるというわけです。

分かりやすく説明する為に、過去に読んだ別本の内容をはさませてもらいます。



本田晃一さんの書かれた「不思議とお金に困らない人の生き方」という本の内容で
お金は魔法の杖
お金を払うことはお金以上の価値を手にしている

と例えられた章がございます。

お金があることで魚や野菜などの食材、公的サービス、体験などの〔自分では生み出せないモノ・コト〕を労力をかけずに得られるのです。

ここから読み取れることといえばお金自体に価値はなく、価値あるものを手に入れるためにこそお金は生かされているという認識になりますね。



参考はさんだところで本書の内容に戻ります。


この例だけで終わると本書説明の意味がないので分かりやすく面白い例をひとつ取り上げましょう。


ドーナツと百万円どちらが問題を解決できるか?
というもの。
聞かれて主人公・優斗は「百万円」と答えますが撤回します。

確かに百万円あればドーナツをいくらでも買うことができます。
ただ、ドーナツの役割を想像すれば答えは変わります。

ドーナツ及び食品は〔空腹を満たす〕〔美味しいものを取り入れる体験〕という問題解決を担ってくれます。

さらにイメージしやすい例をあげるなら
軟禁された状態でお腹が空いたなら、百万円よりドーナツや水がほしい!
とアナタも思ったことでしょう。


答えが暴論で拍子抜けしましたね。

ここで言いたいことは
お金で問題を解決できるのは、そのお金が使える時だけ
ということです。


ここは詳しく書いていくとさらに時間かかってしまうので割愛します。

ここでは

・お金とは日本銀行券、日本政府が価値を保証したもの。
・お金の価値とモノ、コトの価値は状況によって変わる。


という2点頭のかたすみに置いていただければと思います。

と書きましたがドーナツと百万円の話を頭に入れたうえで次の章に移ります。



◆お金のむこうに人がいる


先程のドーナツと百万円の話に近しい内容です。

お金で問題解決をできるのは、そのお金が使える時だけ。
と書きました。

ではそのお金が使えるタイミングとはどんな時か?

答えを言いますと 「  人  」です。

お金は人を介さなければチカラを発揮できません。
イメージしやすいのは医療従事者、介護士、運送業者、スーパーなどの店員のように「現場で働く人」になるでしょう。
じつはそれだけでは無いのです。

先程のドーナツを例にすすめましょう。

ドーナツを売るには、材料となる小麦粉、運んでくれる業者、レジなどを担当する人が必要なのは理解できるでしょう。



これをさらに細分化するなら

・小麦粉を作ってくれた農家
・工場でドーナツに生産してくれる人
・その工場をつくった人たち
・トラックで運んでくれる運送業者
・そのトラックを製造する人たち
・ドーナツを店舗で売ってくれる人
・ドーナツ屋を建てた建築者




など全ての経済活動には「おおくの人」のチカラが集結しているのです。

つまり、必ず誰かが働いているってことなんや。自動販売機にしても、ネット通販にしても、今は、労働が見えないことがほとんどやからな。せやけど、お金を払う限りは、誰かに問題解決をお願いしてるんや。

75ページ


お金がチカラを発揮できるのは人が携わっている時。お金がエラい訳ではない。

ということを頭に入れて次に進みます。



◆お金以上に重要なものは「生産力」



ここは先ほどの章を説明したなら言うまでもないかもしれないですが触れさせてもらいます。

題名にある「生産力」をさらに理解しやすくできるように例を挟ませていただきましょう。

100人が暮らしている国があるとする。

朝晩あわせてパンを2個買っていた国民たちでしたが、ある日パンの価格が高騰して、パンがひとつしか買えなくなるという問題が起きた。

つまり200個買えていたものが100個に減ったということ。

これを受けて政府は、国民みんながパンを買えるようにお金を印刷して配った。

しかし問題は解決しなかった。
なぜなのか?

86ページ参考


この問題の正解はパンの生産が減ったから

本書では「災害でパンの生産量が減った」という回答でした。

作る手段や運ぶ過程で問題がおきてしまえばお金以前に根本の問題が残ったままなのです。
まさに「無い袖は振れない」ってやつです。

これは値段の問題じゃなく作れない面で問題解決に至れなかったということです。

「100人の国の話には続きがあるんや。お金がえらいと信じる人たちは、もっとお金を配れと叫んでデモ進行をした。しかし、他の人たちは災害で壊れたパン工場をせっせと修理した。どっちの行動が正しいか。もう明白やろ。これが、『お金はえらいのか?』という君の質問への答えや」

88~89ページ


こういった問題は現代社会にもおおくございます。

介護士や医療従事者、運送業者などの人手不足のなかにはここに関連した問題が含まれている可能性だってあるのです。

しかし問題解決に必要なのは「解決できる人がいるかどうか」ということになります。


お金の向こうに人がいる

この認識だけで世界の見方はおおきく変わることでしょう。

私も肝に銘じます。




◆働くとは「誰かの役に立つこと」



語りたいこと盛りだくさんですが
長くなってきたのでここで最後にします。

これは本書の最後にあたる話ではあるものの解釈が少し難しいので、あくまで読み手の私が抱いた印象込で説明させていただく面もございますのでご了承ください。

本書のネタバレになるので詳しい内容は伏せますが、昭和時代の日本国民のはなしが書かれています。

戦後の日本は「物資が足りない状況」でした。
テレビが無い家庭もあったので、商店街の食堂や店に集まってプロレスなどを見るのも日常の光景だったとか。

服や本、食べ物も充分になかった時代ではあったものの不満不平いわず自分たちで解決していたようです。

ダムや新幹線が開通して生活が豊かになったのもこの高度経済成長の特徴です。

ダムの建設で犠牲者が出たりなど暗い話はあったものの彼ら含む働く人たちによって今の暮らしやすい豊かな日本ができあがったというわけです。

208~214ページあたり参考

ここからくみ取れる内容として
豊かになる為の仕事というのは「誰かを救いたい」という想いから成り立つもの
というのが私が受け取ったメッセージです。

オーバーに言えば「仕事とは私たちが豊かに、幸せになる為におこなっている」という解釈になります。

〔 誰かの為に 〕と聞くと胡散臭く聞こえるという声もあることでしょう。
それでも世の中はこの心理、考えによってできているのです。

僕が伝えたいのは、君たちにとっての"ぼくたち"の範囲を広げてほしいということや。家族、学校の友人や会社の同僚、同じ国で生きる人々、そして世界全体。
空間的な話だけやなく時間的にも広げられる。過去の人や未来の人も含めて"ぼくたち"になりえる。

216ページ


わかりやすく言えば、社会全体で助け合いという認識を持てということでしょう。

震災などの災害で自衛隊やボランティアが救援活動をしている時や、海外から支援が来るときなどを想像していただければ分かりやすい話かもしれません。

難しく言うならば私たちは1つの共同体という認識で世界を見れば自分も変わるという解釈にちかいかもしれませんね。

その一歩として書かれていたのが

心から人を愛すること

家族でも恋人でも誰でもいい。それによって、僕らの意識は大きく変わる。"ぼくたち"という範囲に愛する人が加わるだけやない。他者を愛することを知ると、その人がどう感じているのかを考えるようになる。自分と他者では見え方や感じ方が違うことに初めて気づく。

218~219ページ


お金の話からいきなりスケールでかなったなぁ汗

という声聞こえた気がしますがまとめますね。


人生および身の回りが豊かになるのはお金は必要です。
その前に支えてくれる人、人への敬意や愛情こそが世界を豊かにしてくれる。
それこそが本書の結論なのかもしれませんね。



『まとめ』


◆お金は毎年燃やされている

〔 お金はなにか特別なもの 〕という認識を誰もがしがちでしょうが、お金も素材は紙。

古くなった紙幣は燃やされていて、年間30兆円ものお金が無くなっているという一旦はその認識です。

私たちがいうお金とは「日本政府や日本銀行が価値を保証しているもの」なので実質クーポンなどと同じという見方とも捉えれます。

お金の正体は「政府が価値を認めたもの」というのが正確な答えなのです。


◆お金の価値と実際の価値は違う

紙切れといわれつつ、お金は様々な体験をくれる神がかったツールに間違いはない。

それでもお金が解決してくれるのは、そのお金が使える時だけ。

部屋に軟禁されたなどのお金が使えない状況ではお腹を満たすことも喉を癒すこともできない。
この問題を解決してくれるのは〔お金そのもの〕じゃなく〔 食品や飲料 〕といった根本を救ってくれるモノそのもの。

お金は決して万能ではないことも覚えておいてください。


◆お金のむこうに人がいる

先ほどの「お金が解決してくれるのはお金が使える時だけ」の続き。

モノやサービスには人の存在が必要不可欠。

お金があっても、そのモノ・コトを担ってくれる人がいなければ何の価値もありません。

ドーナツのビジネスで例えるなら

・小麦粉を作る農家
・工場の社員
・運ぶ運送業者
・販売してくれる店員
・その店をつくった建設業者

など挙げればキリがないほどの人たちが関わっているのです。


◆お金以上に重要なものは「生産力」

モノが高騰する現象には原因がある。

それは生産元が災害などに見舞われたり
人手不足で追いつかなかったり

根本を変えずにお金だけを増やしても問題は解決しない。

経済をまわすにはインフラや生産体制などを整えるという前提が必要ということ。

お金は全てを解決に導いてくれる万能ツールではないという見方にもなるのです。

人がいてこそ問題の解決に踏み切れるということです。


◆働くとは「誰かの役に立つこと」

日本や世界は「国を豊かに、便利にしたい」という大衆の願望で発展してきたイメージ。

・物資のない世の中をモノで満たせるほどの生産力をつけた人
・ダムや新幹線で世の中の暮らしを便利にした製造者の方々

皆が「誰かの役に立つ精神」を胸に作られてきたのがこの社会ということ。
それは現在進行形である。

この精神を自分に落とし込むために重要なのが

・" ぼくたち " の領域をひろげる
・誰かを愛する

の2点

震災などの災害でお互いを助け合い、または自衛隊や救援物資を運ぶ人たちの精神とおなじく、私たちも皆がひとつの共同体感覚を少しでも意識することが大切だということ

そして家族や恋人など、周りの人を愛することから全てがはじまる。


お金というのはまず、人との繋がりがあってこそ価値が生まれるというのが一旦の結論となります。








と書いたところで終わりにしましょう。


他にも

・税金の捉え方
・お金は移動しているだけで、量は変わらない
・家庭用紙幣を作ることで見えてくるもの
・経済発展とはムダな仕事を減らすこと
・お金を貯めることが将来への蓄えではない
・大事なのは値段より使用価値
・借金のとらえかた
・外国に頼る日本がこれからやるべきこと

などお金にまつわる有り難きアドバイスが沢山書かれています。

また本書のストーリーも感動不可避のラストでしたので物語本としてもオススメです。


子どもにお金の知識を学ばせたい、いや大人である私としても学びたいという人に読んでいただきたい1冊です。





他にも読書感想の投稿をしておりますので気に入ってくださった方は是非マガジンから他の記事も見てくだされば私とっても喜びます。
今のところは週の後半を目安に投稿しておりますが、投稿時点の今だと忙しくなってきたため遅くなる場合もございます。
可能な限り更新していきますのでよろしくお願いいたします。




【余談】結局は「お金がすべて」とも思えてしまうが



ここはわたし個人的な感想を軽く書いてく場なのでご興味ある人のみ読んでいただければと思います。


読んだうえで思ったが


それでもお金は大切



ということですかね。


お金がたくさんあれば、嫌々働くことを辞めつつ自分が目指したい目標に全リソースを注げたりもしますし。

まとまったお金があれば

・引越し
・一人暮らし
・美容
・結婚資金
・子育て費用
・病気の備え

などの行動に移すためのハードルがグンッと下がります。

引越しや住む場所を変えるのは私の現時点での願望ですし、結婚したいって時にお金がなくて機会損失というのもできれば避けたい話です。

お金が無ければチャンスを逃すという人生最後までのこる後悔をすることとなるのです。

それを踏まえたうえでなら、本書を読んだとしても結局のところ『 お金はある程度の不幸や機会損失を避けさせてくれる有り難きツール 』 に変わりはないです。


ただ
読んだうえで意識が変わったというのも事実
ではあります。

わたし含めて『お金とはなにか』を正確に理解している人は少ない話も納得しかなかった。

確かにお金は「神」「何でも叶えてくれるツール」という認識のまま生きてきたような気がしますね。

それも人という存在あってこその話

お金があっても使う対象が無ければ、いや受け取る人や代わりに何かをしてくれる人がいなければ成り立たない。

その当たり前を我々は忘れがちなんだな〜というのも気付かされた知見です。

限りある今という時間、そして将来に向けた蓄えや投資。
その願望に対するお金への欲と敬意は変わりません。

お金への「有難み」を胸にしつつ「人」への感謝も忘れてはならない。
これが本書で私が得た知見です。

いつもはお金の稼ぎ方や節約・投資をメインに読んできたので、お金そのものの正体について書かれた本を読めたのは斬新な体験でした。


改めて「お金についてもっと学びたい」と強く決心させられました。


話纏まらなくなりそうなんでこれで終わり〜

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