教員からの転身「失敗を歓迎する環境」を子どもたちに届けたい。(吉松美穂:前編)
【COLEYO代表 川村より】
改めてですが、COLEYOもついに正式な採用を始めました。
うちの会社のリアルが少しでも伝わるように、社員インタビュー記事がスタートします。最初は今年、彗星の如く弊社に現れた『タッチ』の講師の吉松(元教員)です。
座禅体験に食品サンプル作り、ボイスパーカッションに1人ピクニックなどなど。「やってみたいこと」が無数に出てくる、好奇心が服を着て、鼻歌混じりに歩いているような感じの彼女が、なんでCOLEYOに来たのか、COLEYOで何をやっているのかを覗く、赤裸々インタビューです。どこか自分に重なるところがある人は、もしかするとうちの会社に合ってるかも。
◆吉松美穂 Profile
2022年4月入社。和歌山県出身。大学卒業後、茨城県で小学校の教員として4年間勤務。COLEYO入社後は、子どもが社会に触れる体験型教室『タッチ』の講師や、『studioあお』の運営スタッフを経験し、現在は『宇治市こども未来キャンパス』の教室長を務める。
「数年後もワクワクできてる?」
中学生の頃から教員になることを目指し、その想いを叶えた。
小学校の教員になって2年、毎日の仕事は楽しかった。毎日の授業も工夫しだいで生徒の反応が変わる。子どもたちの成長を間近で感じられる。日々の仕事に充実感を抱いていた。
そんなある日、校長から打診を受けた。社会人3年目の2020年9月のことだった。
「2年後の道徳授業の公開発表、担当してみないか?」
話を聞いた瞬間は、純粋に「おもしろそう!」と感じたものの、時間をおいて改めて考えたときに、少しの疑問が頭をよぎった。
「このまま働き続けて、数年後も今と同じワクワク感で仕事できているのかな?」
吉松が仕事をしていく上で大切にしていたのは、「生徒が毎日1つでも “おもしろい”を感じられるように、工夫をし続ける」こと。
当時の仕事ぶりについて、吉松はこう振り返る。
「自分がおもしろいと思うことを、けっこう勝手にしてたんですよね。
国語の教材で赤いズボンの話が出てきたら、週末を使って実際に赤いズボンを縫製して作ってみたり、架空のキャラクターをつくってストーリー仕立ての授業をしたり、決められたフォーマットがあっても、もっと生徒が楽しめる方法を考えたら、こっちのほうがおもしろいな、って」
指導要領や過去のやり方をそのまま使えば労力も減らせるし、一定の成果にもつながりやすい。ただ、吉松にとって「そのほうが楽だけど、生徒にとっても自分としても、それだけじゃおもしろくない」とも考えていた。
教員としての「おもしろさ」
生徒が“おもしろい”と感じてくれるように、自分も“おもしろい”と思える工夫をしていく。
もともと「主任や主幹、教頭や校長に」というようなキャリアには興味がない。生徒たちの成長にかかわって、豊かな小学校時代をすごしてほしい。そこにかかわれることが純粋に楽しかった。
「それまでは目の前の授業をより良くすることや生徒たちの反応が、ただ楽しかったんです。そこで校長先生からの話を受けて考えてみると、これから何十年もずっと、今と同じワクワクの中だけでやっていくのかな?と思ったんです。
教員として3年目を迎えて、2年後を想像してみたときに、もっとワクワクすることが増えていたらうれしい。けれど、そういう未来は当時の私には想像できなくて。おもしろさの幅がもっと広がっていてほしいと感じたんです」
先輩の教員を見ていても、心のどこかで「教員にとって、アイデアや工夫を自由に考えるための時間が追いついていない」とも感じていた。
SNSで見つけた「変な財団」!?
「日々の仕事は楽しい。ただ、このままで数十年すごしていくのかな……」
そんな気持ちを抱えながら、仕事が終わった夜に何気なくSNSを覗いていると、COLEYOの『しっぱい財団』の情報が目についた。
子どもたちが挑戦したいことを表明して、クラウドファンディングの形で資金を集める。成功だけを褒めるのではなく、失敗から学ぶ場をつくる教室。
―― 京都産の梅を使った「梅ネード」で商店街を活性化する。毒イソギンチャクを飼って、世界最強の毒の「防ぎ方」を探す。鳥の「刷り込み」を検証するために、卵からウズラを孵化させる。
画面に表示されるさまざまな事例を見て、心が踊った。
「モヤモヤしていたときにTwitterを見ていたら、COLEYOの“しっぱい財団”を知って、なんだこのおもしろい会社は!?って、ワクワクしたんです。
生徒たちが失敗するためにお金を集めるなんて、どんな発想をしてるんだろう?と思って、今すぐにでも実際の教室の様子を見てみたいと思って問い合わせのメールを送りました」
その後しばらくして代表の川村から返信があり、何度かのやりとりを経て「一度、教室を見に来ませんか」と連絡があった。吉松にとって、これまでとは違う何かが動き出そうとした瞬間だった。
「失敗を歓迎する教室」のリアル
「実は私からしたら、“あわよくば”と思っていて(笑) 川村は普通にちょっと話をするとか、どうぞ見学を、くらいのつもりだったと思います。
“しっぱい財団”でCOLEYOを知ってからサイトをたくさん見ていたんですが、採用情報らしきものは載っていなかったんです。でも、採用しているかどうかはあんまり重要じゃないし、自分に興味をもってもらえれば採用もありえると思っていました。だから、ここは誠意の見せどころだ!と、行ける最短の日で設定しました」
実際に教室を訪問してみると、当日行われていたのは「エッグドロップ」の実験。高所から卵を落として、割れずに着地させるための形状や仕組みを考えるプログラムだった。
そこは刺激に溢れていた。生徒たちの笑顔や目の輝きはもちろん、それを生み出すスタッフの空気のつくり方や声のかけ方……、失敗を肯定し、発想を促す環境があった。
何より刺激を受けたのは、教室での授業が終わった後の食事の際。川村をはじめとしたスタッフたちとの会話の中で、好奇心やその範囲の広さ、熱量や行動力を聞いて興味を掻き立てられた。
抱え続けてきた想い
もともと吉松も、幼少期から「興味と行動」を繰り返し、さまざまな失敗も経験してきた。
小学生では、さまざまな人のサインを集めたらおもしろそうだと考え、近所の家を訪れ続けた。温かく応えてくれることもあれば、断られることもあった。10年以上続けた陸上競技も、試して失敗しての繰り返し。
大学時代には47都道府県の大学を巡ろうと考えて全国を巡ったものの、最終的には44ヶ所に留まった。SNSでも『野望100』と題して、これから経験してみたいことを書き連ねたりもした。
それらの行動の背景には、自身が経験してきた現実もある。
中学時代は授業が成り立たないような環境で、生徒同士のトラブルも多かった。大学受験で失敗した際は、金銭的な理由から塾や予備校に通えず、図書館に通った。大学では重度重複障害をもつ人たちや児童自立支援施設の子どもとかかわる中で、「失敗」という言葉がもつ意味の幅広さに触れてきた。
その言葉の深さを知るからこそ、多くの子どもたちが失敗から学んで、より豊かな人生を送る大人になってほしい。だからこそ、自身が知る「おもしろい」の幅を拡げ、発信していきたい。吉松の根本には、そういう想いがあった。
内定後もやっぱり「変な会社」
「教室見学の後の食事のときに、川村が“針のない腕時計”の話をしていたのが、すごく印象に残っているんです。指で触って時間がわかる時計なんですけど、それをすごく楽しそうに話していて、自分の知らない世界にこんなに興味をもってる人がいるんだな、と感じました。
私の場合は、興味の幅は広いけれど深く掘れるタイプじゃないんですよね。そこにのめり込んで、追求していける人たちの話がおもしろくて、やっぱりここで働きたいなって思ったんです」
京都での教室見学を経て、校長からの打診には断りを入れた。
その後、川村との何度かのやりとりを経て、COLEYOへの入社が決まった――。
(後編に続きます!)
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