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「不登校児の将棋レッスン その1」

ひょんなことから

不登校児に将棋を教えることとなった

この子の中学受験の家庭教師からの依頼だった

なんでも 肝心な6年生の夏に ゲーム中毒にはまり

せっかく実力がありながら 第一志望校を逃し 第2志望校へ入学

以来 不登校が続いているとのこと

相変わらずゲームは続けているものの 将棋が大好きとのこと

この辺に 突破口は無いか? との相談だった

今まで障がい児に将棋を10年以上指導してきた

全盲 肢体不自由 聾唖 自閉症 アスペ LD ADHD

片っ端から引き受けた

今更 不登校だろうと 別段なにも変わらない

ただ将棋を学ぶことが 不登校突破になるイメージが全く湧き上がらなかった

「えーい ままよ」 と引き受けた

指導方法は 昔から一貫している

初めに 平手(ハンデ無し)で対局を挑んでくる子供さん

まず これは伸びない

謙虚でないから

「笑い」と「謙虚」が無い人間は 幸運の女神に愛されない

これが亡き師匠の名言

こういう子供さんには まず平手で負けてやる

これでおおよそを見極め

2局目に「6枚落ちで教えてくれるか?」と こちらから申し出る

「先生!平手で勝てないんだから 6枚落ちなんて 相手にならないよぉ」

「いや とにかく 6枚落ちで やろう!」

で。

ボコる

徹底的に ボコる

自分の如き アマチュアの普及指導員が なめられても 特段構わない

どうせ 弱いんだから

しかし「棋道」をバカにするガキは許さないことにしている

すぐには決着させない

裸玉になるまで とことん 追い詰める

ここで 泣きながらでも きちんと「負けました」と言える少年は次回も教室に来る

言えない子供は それっきりになる

さてさて

今回の子供さんは どうか?

今は便利な時代になった

「ZOOM」と 「81道場」なるサイトに入れば 遠隔で簡単に指導ができる

この子 きちんとしてる

子供さんの希望で 6枚落ちから始めた

順調に強くなり 月中には4枚落ちを卒業するだろう

年内には2枚落ちまで 確実に進む

そうしたら なんと!

「3学期から 将棋部に入部したい」と言い出した

「部活ってーのは週に 何回あるんだ?」

「水曜日 と金曜日」

それじゃ 週2日は 確実に登校することになる

「あれ? この子 不登校 止め かぁ?」

こういう子供さんに 巡り会うことも あるんだ

こちらが 学ばせて 頂いた

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