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インボイス制度について

インボイス制度について簡単におさらいします。

インボイスは、請求書の名称です。
正式名称は、適格請求書といいます。
それ以外の請求書のことを区分記載請求書といいます。
事業者(事業を行っている人・会社)で消費税を納める事業者は、消費税を計算するときに本則課税と簡易課税のいずれかの計算で納付する消費税を計算しています。この2つの計算のうち、インボイスが関係あるのは本則課税のみです。(これは消費税の計算方法に限るお話です。発行とはまた別のお話です。

本則課税とは、簡単に説明すると以下の算式で求めることができます。

<本則課税の算式>
売上にかかる消費税―経費(仕入や固定資産の購入を含みます)にかかる消費税=納付する消費税額

今回インボイス制度が始まることで、何が問題で世の中が騒いでいるのかというと、2つの事情があるからです。

1つ目の問題は、上記の算式(引き算)に制限がかかる。
つまり、「インボイスをもらっていない経費(仕入・固定資産の購入をふくみます)にかかる消費税は控除させません。」という制限です。
引き算ができなくなると当然納める消費税は多くなります。

2つ目の問題は、インボイスを発行できる事業者の条件です。
これはシンプルなのですが、消費税を納める事業者で適格請求書発行事業者として登録された事業者しか発行できないというものです。

現在日本には、「消費税課税事業者」「免税事業者」の2種類の事業者が存在します。
免税事業者」とは、いまから2年前の消費税の課税対象となる売上が1000万円以下の事業者です。免税事業者は法律で消費税を納めなくてよいとされています。でもインボイスが出せないので、インボイス制度下では、「引き算できない事業者」となってしまいます。
立場が急に弱くなってしまった免税事業者ですが一般消費者がお客様の場合は何もかわりません。

まずは大前提ですが
消費税は、売る側と買う側で表裏一体となっています。
売り買いの両方が課税事業者である場合、売る側が110円(税込)の売上なら、買う側は、110円(税込)の経費となる。
消費税は、売る側が10円の消費税を納め、買う側は10円を納める消費税から引きます。

ところが、片方の売る側が免税事業者である場合、
消費税は売る側は免税なので消費税を納めず、買う側は10円を納める消費税から引きます。国を間に挟むと関係性がよくわかるので国側の処理で考えてみましょう。

両方が課税事業者なら国は±0、片方が免税事業者ならば-10円となります。逆に買う側が免税事業者または一般消費者(個人)で売る側が課税事業者ならば、国は+10円です。この+10円をわかりやすく言うと一般消費者や免税事業者が課税事業者から買う場合、国に消費税がきちんと入るというイメージです。
  
上記からわかることは、売る側(請求書発行側)が免税事業者の場合、国は損をするというわけです。
で、インボイス?というと怒られそうですが・・・
それも一理あるでしょう。

実際のところは、10%と8%複数税率があるからややこしいでしょ、だからインボイスを出してくださいね、と言っている風を装っています。
いやいや軽減税率はインボイス前から始まっているからね?その理屈はおかしいでしょう・・・
  
しかし、この制度ができることに対し、理屈がおかしいというより以前に、日本が大変なことになっているという意味ではないかと思います。
免税事業者をなくして、そこから消費税をとらなければ日本はしんどくなっているのではないでしょうか?
  
しんどいを深堀するために考えていきます。
インボイスでは、1円未満端数切捨てを一度しか認めません。
なぜでしょう?
まず、1円未満の切り捨てが与える影響について考えます。
1枚の請求書の項目それぞれに端数切り捨てをすると、1枚で1円の消費税が減るとします。年間1億枚の請求書が動くとするならば、これで1億円変わってくるわけです。1億人が毎日なんだかんだ買っていますから、1年で1億枚では済まないはずです。
この端数処理にはかなりの影響があるといえるでしょう。



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