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生まれて初めてハーゲンダッツ・クリスピーを食べた

大学生協で売らせているアイスが全品半額になっていた。
季節が秋から冬へ移り変わる中、アイスの売れ行きが悪かったのだろう、しかももうすぐ冬休みだから生協も在庫を無くしたかったのだと思う。
いずれにしろ、この粋な計らいには感謝の言葉しか出ない。

私はアイスボックスの中をじっくりと見渡し、何度か迷った末にハーゲンダッツ・クリスピーのザ・キャラメル味を一つ手に取った。

私にとってハーゲンダッツは“かなり特別なアイス”という地位にいる。
お値段然り、cmでの重厚感然り、、メディアの策略にはめられてる感は否めないがまぁそんなものは良い。

私の実家はアイスをストックする家では無かった。アイスは特売の時か、家族の誰かが食べたいと言ったとき、家族それぞれの希望を聞いて1人一個ずつ買ってくる。うちではちょっとしたイベントだった。
希望のアイスを買って良いとは言うものの暗黙の了解で200円を超えることは許されない。だからハーゲンダッツはほとんどお目にかかれなかった。

家にハーゲンダッツがあったことは数える程度で、しかも10個でいくら〜のお徳用だった。(たしか母の期限が良い時だった。)お徳用なもののそれは5人家族の胃袋にはあっという間に収まる。本当は大事に一口ずつ食べたかったがそんな暇はない。食べ物は戦争だ、早く食べなければ自分のものが食べられる。「かたっ!」と言いながらまだ食べ頃になってないカチカチをスプーンで削ってかきこんでいた。食べ頃はそうなるまで待つものではなく食べているうちにやってくるものという認識だった。

さて、一人暮らしをして初めて買ったハーゲンダッツ・クリスピー(半額)。誰にも取られずゆっくり食べられる。講義終わり家に帰って冷凍庫からそれを取り出し、箱を開け、透明な袋を開け、丁寧に取り出す。袋から頭を出して口に運ぶ。サクッとワッフルを上下の前歯が割り、次いでチョコの膜を通過する。そして滑らかなキャラメルアイス。
サクリサクリと食べ進める度に食感がクセになる。あっという間に無くなっていてまた食べたくて無くなったことが少し寂しい。
ゆっくり食べるぞと意気込んでいた分なんだが悪いことをした気分だ。
美味しいものは罪だ。大学生協、本当にありがとう。

しかし、私がこんなにも憧れと特別感を抱いているハーゲンダッツも本番のアメリカに渡れば日本でいうガリガリくんくらいのポピュラーな地位になるらしいのだから驚きだ。
逆に、これは以前YouTubeで見た動画の内容なのだが、カルビーのポテトチップスがアメリカでは4ドル(おおまかに400円くらい)で売られているそうで、これにも驚いた。

既に手に入っているものには何の思い入れもないから雑に扱ってしまうのか。
結局ひとは無い物ねだりなのだ。だけれど無い物ねだりはキリがない。結局は本質を知るまで続くと思う。
とどのつまりカルビーのポテトチップスは美味しいし、ハーゲンダッツも美味い。それさえ分かればそれでいい、ということだ。

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