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私に命を懸けて守りたいものってあるのかな。って話。映画「あの花を見た丘でまた君と出会えたら」

12月8日公開の映画、「あの花が咲く丘でまた君と出会えたら」を観てきました。
原作の小説を読んでいたから、この作品がどんなふうに映像化するのかなと気になって、観に行くことを決めていた作品。

主演は福原遥、水上恒司。監督は成田洋一。原作は汐見夏衛の同名小説。

とりあえず、まずはあらすじをどうぞ

親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの高校生の百合(福原遥)。

ある日、進路をめぐって母親の幸恵(中嶋朋子)とぶつかり家出をし、近所の防空壕跡に逃げ込むが、朝目が覚めるとそこは1945年の6月…戦時中の日本だった。

偶然通りかかった彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれる百合。

そこで女将のツル(松坂慶子)や勤労学生の千代(出口夏希)、石丸(伊藤健太郎)、板倉(嶋﨑斗亜)、寺岡(上川周作)、加藤(小野塚勇人)たちと出会い、

日々を過ごす中で、彰に何度も助けられ、その誠実さや優しさにどんどん惹かれていく百合。

だが彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった−−− 。

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』公式サイト|大ヒット上映中! (shochiku.co.jp)

とまあいかにもって感じの内容です。

もともと携帯小説から始まった作品なこともあって若者に読みやすい設定で作られているんだろうなぁって感じかな。

小説を読んだ時にも思ったけど、個人的に中高生全員に読むなり観るなりしてほしいと思うし、もはや夏休みの読書感想文はこの本でいいと思うくらい。
ついでに言うと、この映画の公開は夏休み期間の方が良かったんじゃないかと思ったりもする。
学生は観に行きやすそうだし、8月はいろいろあるからね。
なにもわざわざ冬じゃなくても…。しかもよりによって12月8日公開にしなくてもとは思ってしまった。


脱線してしまいましたが、本題へ。
私の約二時間の心の中をつらつらと。

あ、もちろんネタバレありですのであしからず。

片親でいくつも仕事を掛け持ちしてる親。そしてそんな親に反抗する高校生の娘。っていうのは作品のなかで結構よくある話で、正直特に面白さはないんだけど、お父さんが亡くなった理由がよその子を助けたからで、そのことに対して、
「よその子助けて、自分は死んで、そのせいで愛する妻は魚の匂いさせながら働いて、こんなに貧乏で、生活が大変で。今、私たちがこんな目にあっているのはよその子を助けて死んだお父さんのせいじゃん」って。

たしかに…。ってなった。
きっと一生幸せにするって誓って奥さんと結婚したのに、子供産んだのに、命を懸けて守ったのは妻でも娘でもなく、知らない子なんだもんね。
それが良い悪いの話じゃないけど、残された方はたまったもんじゃないって気持ちにきっとなるんだと思った。


ここからが本筋。

1945年にタイムスリップ。

主人公、連れてこられた食堂の新聞でいまが1945年ってことに気が付くんだけど、いやいや遅すぎないかい。
一歩外にでたらもう戦時中の人と街並でしたよ。

でも、今の子の感覚ってこのくらいなのかなとか思ってしまった。

そして知り合う特攻兵の彰。確かに声かけてくれて、助けてくれて優しいんだけど、いきなり兵隊さんの恰好した人に話しかけられたらもっと怖いし、警戒してしまうよ…って思ってしまった。

フィクションだし、そうしないと話進まないから、わかるんだけど、そんな感じのことが多いせいで主人公のゆりになかなか感情移入ができなかった。

戦争は終わる。とか、日本は負けるとか、お外で口にしちゃ殺されちゃうよ。とかいろいろ心配してしまった。

特攻兵に向かって特攻なんておかしいとか、間違ってるなんて言っちゃだめだよ…。とかね。

気持ちはわかるのよ。
今を生きているから、意味のないこともおかしいってこともわかるけど、言って良い事と、言っていい相手は考えよう?ってなる。


どうして特攻兵を志願したのかわかる場面があって、

妻と子供を守るため、
親、兄弟を守るため、
自分の家柄を守るため、

そして、隣で一緒にいて幸せにしたいと思って生きることを決断した人。

よその子を助けてお父さんが亡くなった百合だからこそ特に思うことが多かったんだと思う。
そんなの間違っているって。
私も間違っていると思う。
守りたいものがあるなら、その隣で守ったら良いと思う。
守るために自分の命を犠牲にするのも違うと思う。

だけど、ふと思った。

守りたい人のことをここまでして守るって本当にすごいことだなって。

死ぬことが怖くないわけない。
大切な人の隣にいたいに決まっている。
大きな船に小さな飛行機で突っ込むことが怖くないわけない。
成功するかどうかもわからないのに。

なにがなんでも守りたいものを守る。
守りたい、って気持ちを貫き通す。

それだけは見習いたいって思った。

やっぱり自分に一本しっかりとした柱のある人ってかっこいい。

(戦争も特攻も絶対に絶対に何も生まないことだけど。)


ちなみに、私個人の意見としては、これは恋愛映画だと思っています。
感動する恋愛映画。
わたし、ちゃんと泣いています。

お千代ちゃんと石丸さんの別れのシーンとか、みんなが飛び立つシーンとか、彰が百合の花と一緒に飛び立つシーンとか、最後の手紙のシーンとか。

一番好きなシーンは彰が百合の花と一緒に飛び立つシーン。

そのシーンにすべてが詰まっている気がしています。


お千代ちゃんと石丸さんの別れのシーンも好きだなぁ。

このシーンにも二人のいろいろな思いが詰まっている…。
「君は絶対に幸せになる。」
飛び立つあなたが言わないでよ。ってね。


百合と彰も、お千代ちゃんと石丸さんも今の日本で出会えていたらよかったのにって、この約2時間の間に何度思ったことか。

今の自分の環境がいかに恵まれているかをすごく感じた。

何をするのも、なにを言うのも、誰と恋愛するのもこの時代と比較したらとってもとっても自由だな。って。
でも、たくさんのもの、ことにあふれている現代だから、すぐに目移りしてしまうし、ふらふらしてしまうし、たくさんの情報の渦に巻き込まれてしまう。

だから、自分にとって大切なものも、守りたいものも、わからなくなってしまったり、どこかに行ってしまったりする。そして、そのせいで生きにくく感じたりもする。

私が私としての人生を歩むためには、時代関係なく、自分にとって守りたいくらい大切なものをしっかり持ったらいいんだなって思った。

簡単なことじゃないけど。


最後までご覧いただきありがとうございました。

それではまた次回。

#映画感想文 #映画 #あの花が咲く丘で 、君とまた出会えたら


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