小さなハグ
今日もお客さんは多い。
ショッピングモールを2人であるきながら、ふと隣を歩くあなたの手を握りたくなった。
そっと手を出すと、あなたは躊躇なく、手を差し出してくれて、そして握り返してくれる。
手をつないでると、小さく抱き合っているようで、安心する。
いうなれば「小さなハグ」だ。
この「小さなハグ」をしていると、接している部分から、大量の何かが、行き来しているような気持ちになる。
まるでスマホとパソコンをつなく、USBケーブルのように、好きな気持ちもやりとりできるようなそんな気がする。
私の好きな気持ちが、あの人に流れてほしい。あの人の気持ちをもっと知りたい。
でも、あの人と私の間には、薄い膜のようなものがある。心につながりたくて、強く握っても、どうしてもつながらない薄い膜がある。それが私とあなたを隔てている。
もどかしい。
きっと私が思っている本当の気持ちは、あの人に正確に伝わってはいないだろう。その逆に相手の思っている気持ちも、正確に知ることはできないのだろう。
人の心の距離は遠い。もちろん、その方がいい時もある。
でも
手をつながずにはいられない。少しでも近くに…あなたが、知りたい…感じていたい。
指を絡めた手に、あなたの暖かさを感じる。その指一本一本に触れている暖かさは、心の暖かさだ。
人は心と心の隔たりを抱えながら、生きている。生きていくしかない。
だから
愛し合いたい。そして、隔たりを越えるのだと思う。
そう思いながら、今日も手をつないで、隣を歩く。
引っ張るわけでもなく、引っ張られわけでもない。
一緒に歩く。
小さなハグ
その暖かさに今日も、幸せな気分になる。
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