末広商店街の老舗書店「春広堂書店」
全国的に書店が減少している中ですが、「春広堂書店」は、変わらずに営業していてくれました。
瀬戸市末広町、末広町商店街にある「春広堂書店」
3代目社長の大橋徹太郎さんにお会いしてきました。
創業は1932年 営業時間は9:30〜18:00 定休日:日曜日
店舗内には、地域性を反映した「やきものの本」「藤井聡太」コーナーや絵本など児童書、ジブリ関連本などが、平積みされています。
ただ、これらの本の店舗内での販売は売上全体の約一割ほどで、学校・企業・商店への配達やイベント会場などでの出張販売による外商での売上が九割を占めるという。
「全国で書店が廃業している。小さな店だけでなく、フランチャイズの書店が一気に数店やめてしまうような事が起こっている。そしてその勢いが加速している。
その要因にはスマートフォンやタブレッドでの電子媒体による読書の増加や少子化があげられる。それは収益性の低下を招き、将来性が不透明な事から書店の跡継ぎが居なくなっているからだろう」と、諦めの表情で…
「瀬戸という土地柄、やきものをはじめとする美術誌を置きたいと思っているが、昔のようないい美術書の出版も少なくなった。出版社も苦しい」
ただ、それでも、
「書店というのは、0歳から100歳までのお客さんが訪れてくれる商売で、そんな商売は他にはないと思うから大切にしていきたい」という。
特に商店街の中にある書店の存在意義については強く感じている。
「地方の都市を訪れた時にふと商店街を歩いたら、書店を見つけた。ああ、いいなあと思って…、街に、商店街に本屋さんがあるだけで、なんか格が上がると言うわけじゃないけど、雰囲気も変わるんじゃないかと思っている」としみじみとつぶやく。変化に対応して生き残っていきたい。
変化に対応するだけではなく、変化を作り出すためにも、7年前から引き受けている商店会理事長としてイベント企画を推進している。
末広町商店街では、このところ毎週のようにイベントが開催されている。
国際芸術祭「あいち」地域展開事業「底に触れる 現代美術in瀬戸」に連携して、「アートと文化が息づく商店街」と銘打ち、商店の空きスペースやショーウィンドウを活用して新人アーティストの作品を展示している。
9月には「勝手にカウントダウンイベント」「勝手に招き猫祭り」
10月には「夕暮れ映画祭2024芸術と秋祭り」「瀬戸まちなか本の市」「千客万来 招き猫マルシェ 子ども商店街in末広町商店街」と続く。
春広堂書店前のニコニコ広場で「高校生ビブリオバトル」も開催される。
国際芸術祭という千載一遇のチャンスに何もしないという選択肢はないという事だ。
ここ数年新しい人達がやって来て新しい店の開店が相次いで、活気が出ているけれど、皆が収益を上げ、定着につながるように、イベントを企画する。
「いっしょに何でもやるよ」の意気込みを見せて、イベントの際には店頭でビールだって串カツだって自ら販売して、少しでも収益を上げる、盛り上げる姿を見せる。
古くて、時々新しいものが増えて、変容しつつある商店街にこれからも
「春広堂書店」は変わらぬ存在感を持って居てくれると確信します。