遺言二十七
それは それは美しい男達の歌。
もちろん寝室に来てから灯りを点け音を流す。
流すというより処方してもらった感覚である。
担当医は私。患者も私。
「本日は寝る前に一曲から二曲でお願いします。」と言われている感じだ。
今宵の処方音
「松山千春 旅立ち」
「帰郷」
地元十勝でギター一本から始まる演奏。
札幌出身とはいえ、あまりに短すぎて「松山千春」を聴き流すように過ごしてきた。
今年の秋冬は「改める
「一日を改めて死のう」と思えるようになった。
せっかく北海道出身なのだから松山千春を。
ご両親、姉弟を亡くた寂しさからだろうか
「1秒でも俺より長く生きてください!」
「俺を看取ってください!」
こう力強く言って深々と頭を下げる。
やはりファンクラブには入会していない。
そこに千春がいたから。
一度ライブに行こう。
夜にこの透き通った曲。
棘も角もない歌声。
今日もありがとう。
明日はどんな昭和の本物に出会えるのか。
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