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ショートショート24「縁側の鴉」

暑い夏の午後、

俄雨に慌てて洗濯物を取り込んでいた時ふと縁側を見たら紫がかった一羽の鴉が雨宿りしていたの。

可哀想だったからそっとしておいてあげたのだけれど雨が止んでも一向に飛び立とうとしないのよ。

どうやら羽に怪我をしているみたいだったから、包帯を巻いてあげたの。
抵抗すると思いきや人馴れしているのか暴れる素振りは見せなかった。
何だか不思議に思ってしばらく様子を見ることにしたの。

あの子はいつも縁側で空を見上げてる。

まるで寂しそうで、悲しそうで、今にも泣いてしまいそうな眼で酷く遠くを眺めている様。
きっと仲間を待ってるんだわ。今頃あなたを探しているはず。

幾日かしてまた俄雨が降った。

バサバサと音がして外に出たらあの子が雲の切れ目に向かって羽ばたいて行くのが見えたわ。
良かった元気になったのね。次第に空が晴れて虹が架かったの。それで思わず笑っちゃった。

だって虹の一色に包帯が巻いてあったんだもの。

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