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顎関節症という歯科医療被害 3-9 画像診断について(4)

(48P)

 診断画像とそれに関する素っ頓狂な解説が重なるにつれて、日本顎関節学会所属の顎関節症専門医であるこの著者らがとんでもないヤブ医者集団ではないかという疑念が深まっていく。

[図11]変形性顎関節症の修正矢状断MR像(T2*)
aは下顎頭中央部分を通る矢状断面、
bは下顎頭外側部分を通る矢状断面である。

 次は変形性顎関節症(顎関節症Ⅳ型)の症例として提示されている[図11]の説明文である。(先が長い事を考えると、入力するのも馬鹿らしいので説明文中の「○色矢印」は省略する。)
「中央部には下顎頭(C)の骨棘形成、
   関節隆起・下顎窩の平坦化と
     表面不正(irregular surface)、
       外側部には表面不正がある。」
[図11]の患者(58歳女性)は側頭骨・下顎骨両側で顎関節骨格の形状が大きく損なわれている。それは関節円板が転位して関節動作の摩擦が増大した状態で関節動作を繰り返し、顎関節上下2つの骨が直に擦れ合うことで損傷と修復が繰り返されたことによって著しく骨格が変形したものである。

[図11]aの構図を私が解説したもの
顎関節後方で耳介軟骨が白く映っていることからも下顎頭前方の暗い像(ただの関節腔)を
円板軟骨(D)とするのはこの著者の誤診であり、
下顎頭の真上から後方にかけて被さっている
白く明るい像こそが本当の円板軟骨である。
左側円板軟骨片側が転位して骨格が短く削れた後、左側顎関節上下の隙間が大きくなったところへ
前方転位していた円板軟骨が仰向け姿勢時に
自重で後方へ戻ることでこのような状況になる。
[図11]bの構図を私が解説したもの
上に同じだが、円板軟骨が左側片側だけ抜けると
下顎全体が左側に傾き噛む力が緩衝されないまま
顎関節骨格が外側部ほど強く接することになり、
下顎頭が短く平坦に変形することとなる。

 機械的不具合が生じた状態の関節動作によって骨が損傷して変形するとしてもただ一方的に形が潰れる訳ではない。骨が損傷を受けると炎症誘発性物質が破骨細胞を活性化させることで脆くなり、骨が削れたり押し潰れるように変形する。それが身体に傷として認識されれば、損傷を修復するために骨添加が促されて元に近い状態で骨格形状が維持される。
 だが、修復したい損傷面が別の骨に圧着された状態で骨添加が働くとどうなるだろうか。それもただ圧着されるだけではなく、下顎頭関節面の中央部は咀嚼に伴う蝶番運動によって絶えずすり合わさる状態である。勿論、患者は生きる為にも顎を使って食べなければならない。咀嚼の度に骨がゴリゴリ擦り合わせられていたら新しく骨を足した傍から骨が削られてしまい、押し付けられている部分には骨を足すことが出来ないのである。

[私図]前方転位後に歯科原因が改善されないまま
顎関節骨格の変形が進行した場合の変化

下顎頭が変形して丸い関節面の形状が損なわれると大開口動作に伴う滑走運動の摩擦抵抗が増大し
S字状の側頭骨関節面が削られて平坦に変形する。
関節面の骨軟骨が削れて軟骨下骨が露出すると
軽石のように表面はザラザラになり関節動作の摩擦抵抗がいっそう強くなって変形も加速し、
最終的には強直症となり開口動作が出来なくなる。

 また、骨が密度を増して強度を得るにはそれ相応に時間がかかるので、傷の外側に新しく沈着した骨は脆く損傷しやすい状態であり、骨格を損傷したそもそもの原因状況が改善されなければ損傷ばかりを繰り返すことになる。いつまでも傷を修復できないと骨添加が促され続け、沈着することの出来ない骨の成分が絶えず押し付けられて損傷を負う箇所ではなくその周囲へ流れていき、そこで骨として定着することになる。 だが、傷口の周りに流れて定着した骨はその場所に必要も無く盛り足されたものであり、関節動作においてはその形状が骨格として有効に働く訳でもない。

[私図]左側片側で円板軟骨が抜けたまま
歯科原因が改善されず下顎頭が変形する原理

前方転位によって円板軟骨が片側だけ抜けると
咀嚼筋に引き上げられ抜けた側へ下顎が傾くので
軟骨が抜けた側の下顎頭は外側が強く接して
関節動作の摩擦で関節面が片減りしていく。
下顎頭関節面は押し潰れるように幅が広く、
平坦に削れて短く変形することになる。

 「外側部には表面不正がある。」と説明文にあるが、下顎頭外側部に流れて沈着した骨はそもそも目的があって骨添加された形ではないのだから当然である。単に継ぎ足された骨の成分が押しのけられてまばらに沈着しただけなので、曲面形状であるはずの下顎頭外側部の断面形状が押しつぶされて凸凹に見えても何ら不思議なことではないのである。

 「関節隆起・下顎窩の平坦化」とする状態も、上記した内容を踏まえれば解せることである。関節隆起も下顎窩も側頭骨側の顎関節面であり、顎関節動作よって押し付ける力が加わって下顎頭と擦り合わせられる箇所である。凸凹のもの同士をお互いに擦り合わせ続ければ出っ張り同士が潰し合い、やがて凸凹が小さくなって曲面形状が平坦に近づいていくのはごく当前の現象である。
 側頭骨関節面の中間部分には段差が生じており、この著者はそれを赤矢印で指し示して表面不整としているのだが、関節面が何故そのように変形したのかについては全く説明がない。意味ありげに不必要に無駄な横文字を並べて矢印で指し示し、馬鹿の目にも明らかな見たままの状況を稚拙な文章に表しただけのとても酷い観察日記となっている。

 円板軟骨は関節動作の衝撃と摩擦抵抗を低減する緩衝構造として機能するので、円板軟骨が抜けると関節動作の損傷が大きくなり、骨格の変形が進行するほど顎関節の隙間は上下に広がることになる。意図せずとも前方転位していた円板軟骨が仰向け時に自重で後方へ戻る場合があるのだが、側頭骨関節面の骨軟骨が削れて軟骨下骨が露出していると側頭骨関節面と円板軟骨との摩擦抵抗が大きくなる。
 するとざらついた側頭骨関節面に円板軟骨が引っ掛かって大開口動作に伴い下顎頭だけが前進することになり、変形した下顎頭の後方部分が円板軟骨前端の段差をまたぐ衝撃で側頭骨関節面にめり込んでしまう。
 その結果、元はS字形状だった側頭骨関節面は全体として平坦に変形するものの中間部分に段差が生じ、それが超常現象専門家の目には表面不整という不可思議な現象として映るわけである。

[私図]内側部・外側部の変形の違いと
表面不整が発生した原理

MR像[図11]内で赤矢印で示されている
表面不整(点線白丸箇所)は
前方転位していた円板軟骨が骨格変形の進行で
顎関節上下に隙間が生じて後方へ戻り、
円板軟骨がざらついた側頭骨関節面に引っ掛かって
後方に留まった状態で大開口動作を繰り返し、
前回転しながら滑走した下顎頭関節面の後方部分が
側頭骨関節面へめり込むように変形した為である。

「非復位性顎関節円板転位と
  変形性顎関節症の併発症状によっては、
 パンピングマニピュレーションや
  顎関節腔洗浄療法、手術の適応になる。
 外側部は、表面不正のため骨変化が
   さらに継続的に生じる可能性が高い。」

と説明が続くのだが、ここでどうしても無視できないのが彼らの顎関節症分類の認識である。先にも「日本顎関節学会(2013)」の分類を示して顎関節症が4つの型に分けられている内容を記した訳だが、その中では「顎関節円板障害(Ⅲ型)」と「変形性顎関節症(Ⅳ型)」が大きな分類で明確に区別されている。
 ここで彼らは併発症状という言葉を使っているのだが、何気ないその言葉に顎関節症の認識に対する決定的な誤りがあると分かる。状況からして彼ら顎関節症専門家は関節円板が前方転位して動作に障害が出ることを顎関節円板障害(Ⅲ型)としている訳だが、顎関節の骨格が変形して生活に障害が出ることとする変形性顎関節症(Ⅳ型)の発生原因はそもそも何だろうか。

 関節円板軟骨が転位して顎関節動作に介在しなくなることで下顎頭と側頭骨関節面が骨同士で擦り合う状況になってから顎関節骨格の変形が始まるのであって、その逆はあり得ない。ならば、顎関節症の大分類で別けられているⅢ型、Ⅳ型は原因が別な症状という訳ではなく、経過によって症状がⅢ型からⅣ型へと移行するものである。
 そもそも「併発」という言葉は全く別な現象原理の物事が同時発生することを示す言葉ではないのだろうか。だとすれば「非復位性顎関節円板転位と変形性顎関節症の併発症状」という文言は彼らが創り上げた顎関節症分類の定義に対し、専門医である彼ら自身の認識が誤っているということになる。ありもしない物事をでっち上げて恐怖を煽り、インチキデタラメを並べ続ける馬鹿の屁理屈に呆れ果て、腐れ縁の人々が彼らを糞カルト宗教だと罵るものである。

 顎関節を理解している歯科医療従事者など臨床の場には誰ひとりおらず、歯科医師はヤブ医者だらけであるが、インチキデタラメな画像診断の誤診を基に顎関節症というあやふやな病をでっち上げ、診断マニュアルやガイドラインを手前勝手にバイブルとして創り上げている日本顎関節学会は歯科医師よりも更に質の悪いキチガイな口腔外科医師の巣窟なのである。

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