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【狐狼の血】極道も警察も同じじゃん!

初めての極道小説。Netflixで「タイガー&ドラゴン」を見て、そういや私はヤクザの世界のことは何も知らないなぁーと思い読んでみることに。

柚月裕子の「狐狼の血」は日本推理作家協会賞受賞作で、彼女は主婦から華麗にミステリー作家に転身。元々極道モノが大好きだったらしい。著者の写真を拝見すると綺麗な奥様風な方で意外なのだ。

【ストーリー】
昭和63年、広島。
所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。

飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。

正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく――。
Amazonによる概略

極道の世界が好きな人ならいいと思うんだけれど、暴力団の組と組との抗争に次ぐ抗争のストーリーなのでちょっと飽きる。
組は上部組織、下部組織にそれぞれ組長やら若頭がいて、上部の組長が下部組織全てをまとめた「○○会」という形を取っている。
下っぱのチンピラ組員の名前まで入れると膨大な人数の人間が出てくるのも混乱した。
(もっと詳しい相関図作ってほしかったね)

そんで警察なんだが、こんな暴れ馬みたいなヤクザを治めるためには、警察もお上品に倫理的にはいかないってわけです。それはまあわかる。
「シャブは体に悪いからやめようね!」とか言って言うこと聞くならね。でもそうはいかない。

警察にもヤクザと懇意にしている一匹狼の大上という警部がいる。大上はヤクザをなだめすかしたり、上前をはねたり、金品を与えて逃したり、暴力を振るったりと大暴れなのだが、警察上部も見逃している。なぜならヤクザの内部に入り込み、抗争を止める役割を果たせるのは彼だけだから一目置かれているのだ。

大上自身がもうヤクザそのもののような人間で、「こんな人いるのかなぁー?」と疑問に思いながら読み進める。昭和が時代設定になっているので、昔ならいたのかもしれない。

そんで見てみたのがこの動画↓

いや大阪府警のヤクザっぷりよ!
正直笑った!
このくらい強気じゃないと暴力団とは渡り合えないのかも。

私は神戸山口組本拠地に近い場所で育った経験があるのだけれど、本当に一度もこういう荒くれ者たちと何か関係したことはなかった。存在すら認識せずに生活していた。堅気に全く影響させずに抑え込んでくれた警察に感謝しなければ。

正直言うと話そのものは楽しく読めたけど、後に残る余韻とか得たものは全くない本だと思う。

映画も飛ばし飛ばし見た。暴力シーンがエグすぎたから。ここまで暴力を描く必要ないのにな。本ではかなり暴力シーンはマイルドなので、血が出るとか死体とか見たくない方は本がおすすめです。

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