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【遺言書作成】不動産の共有は百害あって一利なし

私は2023年5月に東京都で行政書士を開業しました。開業といっても副業行政書士としての開業です。取り扱い業務にする予定の遺言書作成支援に関することを記事にまとめていこうと思ってます。


不動産の共有とは?

不動産の共有とは、文字通り、ひとつの土地を複数人で所有することです。持ち分所有という言い方をしたりもします。例えば、3人でひとつのA土地を所有した場合、A土地が90㎡あったとして、3人で所有するとは30㎡ずつ持つという意味ではありません。持ち分としては3分の1ずつ持つということです。従って一人で全部を使っても構いません。月に10日間使うことでもできます。一日24時間を8時間ずつ所有することもできます。不動産の共有とはこういう概念になります。

なぜ、不動産の共有をしてはいけないのか?

前の記事「自筆証書遺言を書く前に」で不動産の共有は百害あって一利なしと書きました。なぜでしょうか?
①不動産の処分して現金化したくても、共有者全員の同意が必要となる
②共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも売却できなくなる
③代襲相続でねずみ算的に相続人が増えていって複雑化する

①不動産の処分(売却)して現金化したくても、不動産共有者全員の同意が必要になる

・不動産の処分(売却)して現金化したくても、不動産共有者全員の同意が必要です。この全員の同意というのが曲者です。具体的には売主である全員の署名や実印、そして印鑑証明が必要です。遠方に住んでいたりすると更に大変です。多数決ではなく、全員一致が必要になります。仕事でも学校でも全員一致って難しいですよね?それと同じです。
親戚の中には変な人や面倒くさい人や疎遠な人、お金に汚い人っていますよね?

②不動産共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも不動産売却そのものができなくなる。

・不動産共有者の中に精神疾患者や認知症の方がいると、そもそも不動産売却そのものができなくなります。精神疾患者や認知症の方は法律上、そもそも契約締結などができません、もし仮に契約できても、それは無効となってしまいます。

③代襲相続でねずみ算的に相続人が増えてさらに複雑化する

・一番厄介なのが、代襲相続です。ねずみ算的に相続人が増えていきます。具体的に言うと不動産持分共有者が亡くなると、その妻や子供がその権利を引き継ぎます。例えば、もともと不動産の持分を共有したAさんが3分の1を持っていたとします。そのAさんが亡くなって妻1人、子供2人が相続した時、妻の持分は6分の1、子供持分はそれぞれ9分の1ずつとなります。妻、子供ならまだ良い方で、それが親や兄弟に相続されるとかなり遠い親戚になるため、相当複雑になってしまいます。

とにかく不動産の共有をしてはいけません。相続人が苦労します。不動産は誰か一人に相続させることを遺言書には書きましょう。

最後までお読み頂きありがとうございました!


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