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何よりも先に

命は、間に合わないのだ。
そのことだけだ。
もう、わたしが言いたいのは。

利用者さんの体と心の
機能改善と
生きがいの表出
そのことに務めて来た。
そのすべてを無視され、嘲笑われながら。

それはいい。
もういい。

大切なのは、そんなことではないのだ。

あなたたちは
何者か。
何者であるのか。

わたしは今になって
それが知りたくなったのだ。

ガラスの天井の向こうには
一部の富める人間がいるのなら
わたしたちのこの介護の世界で
押しても押しても
絶対に開かない
この扉の向こうには
何があるのか。

同じように
ただお金を欲しい人間が
いるだけか。

だとしたら、わたしはこれが2回目だ。

芝居をしていた時も
ガラスの天井に気づいたのだ。
手続きを踏めば、こちらに来られるよと
誘われすらした。

吐き気がしたのだ。
あの時。
富む、ということ。
選ばれる、ということの
あまりの醜さに
わたしは目を開けていられなかった。

今もまたそうだ。

愚か者ほど多く話す。
自分も含めて。

演劇に理想がないなら
演劇で金儲けをやるなら
そんなもの辞めてしまえ、と
あの時わたしは言った。

今それが介護に変わっただけのことだ。
あまりにも哀しく
息を吐くように空虚だ。

いつも金と戦うことになる。
わたしの人生は。

ここから逃げてもどうせまた現れる
永遠の敵だ。

和解はしない。
何度でも
正面から組み合おう。
どちらかが倒れる日まで。

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