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叩きつける

誰がどう思うか、気にしないで生きたことなど
今まで1秒もなかった。
だからいいのだ、もう。
本当のこと、本当のことだけで。

わたしたちの革命について
誰にも知られなくて良い。
わたしの演技が何であるかを
それがどんなに切実だったかを
知られなくて良い。

誰かに何かを誤解されても
忘れ去られても、かまわない。

天に向かって、芝居をする。
世界に向かって、ものをつくる。
大衆に向かって、手を伸ばし触れる。

だから、その手が汚れているのは
許せないのだということを
その異常なまでの潔癖さは
かつて自分の命を危うくしたという
ただの愚かな事実をも
もう隠す必要はないのだ。

わたしは偽善者だけれど
札つきの、ホンモノの
偽善者なのだ。
その道では、一流なのだ。

レベルの低い会話に合わせて
話すことは出来ない。
自分の言葉が濁るからだ。
思っていないことも
本当は良いと思っていないことも
取り入れることは出来ない。
自分の体が遮断し、神経が逆立つからだ。

純粋。
それが何かわからないくせに
思春期の頃からずっと長いこと
それを思って来た。
自分が汚れたと感じたこともあった。
落ちない汚れに泣いたこともあった。

わたしは。
所詮今もまだ子供なのだ。
汚れきる強さを持たない。
汚れを引き受ける覚悟を持たない
臆病者なのだ。

今回演じる役は、純粋な人間ではないように見える。
手垢にまみれ、汚れた人間のように見える。
私自身もきっとそう見えるように。

でも実際は、わたしと同じくらい
無防備に「純粋」を追いかけて来たひと。
そんな気がする。
息を切らして、純粋であろうとして
転んで、膝を擦りむいて、赤い血が流れて
困り果てている
子どものような顔つきで。

決めつけたくないのだ。
彼女のことを愛し始めた今、どんなことも。
二元論や結果論は、もう燃やしてしまおう。
頭で考えてもわかることは何もない。

衝動と感情、肉体と記憶。
反射と言葉、揺れるエネルギー。

言い訳と過ちと、後悔と過ぎた愛と。

ああ!
人間って…人間って本当に
なんて…なんて…

叩きつけるように、彼女は生きていて
生命のエネルギーが
メラメラと燃えている。

理屈も迷いも責任感も
燃やしてしまえ。

ただ在る。
そんな風に立ったとき
きっとこの喉から
やっと彼女の声が出る。

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