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決して恐れない

恐れを克服するのではない。
恐れない。
1ミリも。

それが今
わたしが何よりも手に入れたいものだ。

人間を
自分以外の人たちを
いつからそんなに
恐がるようになったのか。

あんなに天真爛漫に
歌い踊っていた子供の頃
それが恐いことだなどと
思ったことがあったか。

お金を払われたからではない。
わざわざ観に来てくれたからではない。

わたしは大人になってしまったから
失敗したら
批判される。
失敗したら
見限られる。
とてもみじめな気分になる。

そんなことがきっと
恐いのだろう。

知っている。
本当ははじめからみじめだし
はじめから見限られているし
はじめから批判されている。

今さらなんだ。
今さら。
もう何も失うものなどないのに
結局は
くだらない見栄やプライドを
捨てられないのだ。

わたしのせいで
芝居が全く動かなくなって
公演が飛んで
チケットが払い戻しになっても
たいした額ではない。

他の出演者の信用を
失わせることにはなるが
仕方ない。
人間は失敗する生き物だ。

大切なことは
俳優とはいつも
誰かの信用を背中に背負って
お客様の時間を肩にのせて
演技している。
そのことを忘れないことだ。

裏切ってしまうかもしれない。
わたしは完璧ではないから。
共演者をお客様を
傷つけてしまうかもしれない。
どんなに努力しても
能力が足りなくて、駄目かもしれない。

だからもう。
恐がるのはやめよう。
恐がっても恐がらなくても
結果は、変わらない。

覚えたこと。
努力したこと。
確実になるように作戦をたてたこと。
緊急の場合用に対処したこと。
出来ることのすべて。

そしてまたまっさらになる。
上手くいくかどうかは
神が決める。

けれども真実
その神は
自分なのだから。

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