朝
光あるもの。
たゆたうもの。
安らぎ流れゆくすべて。
あなたとわたしを繋ぐ
匂いと温度の線。
思考と夢、言葉と外の世界。
繋がっているとわかることの奇跡。
書類でもルールでも
約束でも手続きでも
どんなことをしても
繋ぎとめられない時間という自由。
愛も囁きも
温もりも口づけも
今ここにしかないことの不思議。
あなたがここにいて
わたしもここにいる。
今この瞬間だけは。
未来も待ち合わせも
存在し得ない。
この体はまだ動く。
あと少しの間。
わたしには猶予がある。
母は時間を豊かに使いきって
生ききって
向こうに行ってしまった。
わたしもいつか行く。
わたしの愛する人たちも
会えるのは今だけ。
愛せるのは今だけだ。
ああ。
こんなにも。
愛している。
わたしは、世界を愛している。
苦しみも罪も、汚れも愚かさも
情けなさも果たせなかった約束も。
それが服を着て
歩いている人間
それがわたしなのに。
それなのに。
今。
こんなにも幸せだ。
いつか失いゆくものを
しっかりと抱きしめていたい。
相手の背骨が軋むほどに
相手の匂いが染み込むほどに。
どう演じるかなんて
どう働くかなんて
どうでもいい。
ただ死ぬほどに
わたしは
大切な人たちを
愛しきりたい。