ポートレート撮影その2「構図や特性を知る」
皆さん、こんにちは。伊達市の橘内です。
広報写真に役に立つ撮影方法などの技術や思い、心構えなどをお伝えする5回目となります。
3回目でポートレート撮影の大切なことは楽しむこと。その中で光の当て方やポージングなどをお伝えしました。4回目は予定を変更して「心弾む桜」と題して桜の撮影方法をお届けしましたが、今回は3回の続きとなるポートレート撮影その2として、「構図や特性を知る」について詳しくお伝えしたいと思います。
まずは、皆さんは普段、どんな構図をイメージして撮影していますか?広報で使う写真は、日の丸構図で撮ることが多いかと思います。そもそもなぜ日の丸構図で撮影しているのか考えたことありますか?そんなのわかるよという方も多いと思いますが、その辺りから今回はお伝えしていきたいと思います。
1 なぜ日の丸構図?・・・レンズの特性
気軽にスマホでスナップ写真を撮る時も、人や花など写したい被写体を中心に撮影することが一番多いと思います。なぜ、日の丸構図で撮るのでしょうか?
日の丸のように主役を真ん中に撮影することの安心感や、主役を大きく写すことができるというメリットがあるから、誰に習うこともなく自然と主役を真ん中に撮影するようになります。自然の流れのようなに主流となっているものって、歴史が積み重なっていることが多いかと思います。この構図にもそういったものが影響されていると考えています。
カメラは今から200年ほど前に作られ、ちょっと前?今の広報担当者から見たらかなり前に主流だった35mmフィルムは110年ほど前に誕生しました。昔のレンズは、現在のものと違って歪みがかなりでたそうです。イメージはオーバーかもしれませんが広角レンズを使っているような感じだったのではないでしょうか。このことでピンとこられた方は、かなりカメラをいじってる方だと思います。そう、歪みが一番でないところがレンズの中心となり、外側にいくほど歪みが大きくなります。要するに日の丸構図で撮ることが一番歪みがなく、きれいに撮ることができます。これは性能が良くなった現在のレンズにも言えることです。
それともう1つ、ピント合わせがマニュアルらオートフォーカス(AF)に変わったのが50年ほど前。フィルムからデジタルに変わり2000年から2010年ごろまでは、AFが感知できるエリアがとても狭いものでした。だから親指AFや半押しロックを使ってピント合わせをしてから、カメラを動かして構図を決めてシャッターを押すということが当たり前。現在のミラーレス一眼のようにAFも構図も同時に決めてシャッターを押すという時代に慣れてしまうと考えられない時代が10年ほど前にはありました笑。こういった背景もあって、日の丸構図で撮ることが一番簡単にきれいに撮れる時代があったということも影響しているといわれています。
一眼レフの位相差AFからミラーレスの象面位相差AFに変わり、AFエリアが画角の端まで広がり、フォーカスポイントが400点とか500点とか、ほんとカメラの進化に驚かされます。私がカメラを始めた頃は、フォーカスポイント7点とか15点が主流で、フラッグシップのカメラでも50点とかいう時代でした。だからピント合わせするだけでも一苦労だったので・・・・。やばい、カメラ機材の話をしだすと止まらないので話は別の機会にして本題に戻します笑。
2 焦点距離を使いこなせ!
普段はズームレンズを使われると思いますが、被写体との距離とズームレンズの焦点距離の関係をどう扱っていますか?また、どのような場面でズームレンズと単焦点を使い分けていますか。
意外といつも同じレンズで同じ焦点距離ばかりで撮ることが多いのではないかなと思います。私も成功例を体験すると同じ距離感になりやすくて、いつも同じ感じになってしまうことに悩んだこともありました。そこでレンズの焦点距離でどのように撮れるのかしっかり理解した上で、その特性を活用して撮影してください。
同じ場所に立っているのに背景がだいぶ違うでしょう。焦点距離で一番変わってくるのは背景です。後ろにある国の重要文化財「旧亀岡家住宅」の大きさが全然違います。特性などは、写真にそれぞれ記載していますが、簡単に言うと背景の雰囲気を残して被写体をセットで撮りたい、奥行きや立体感を出したい時は広角側で撮影してください。逆に背景をできるだけ入れたくない、圧縮効果で背景と一体感を持ちたい場合は望遠側を使って、撮影者が前後に動いて被写体の写る大きさや構図を決めてください。
順番としては、
①被写体と背景を考えて、広角側で撮るのか、望遠側で撮るのかを決める。
②被写体の立ち位置を決める。
③撮りたい焦点距離に合わせて、自分の撮影位置を前後左右に動いて合わせる。
④会話のキャッチボールを楽しみながら撮影する。
ちなみに例題で示した上の写真の開放値は全てF4.0で撮影しています。同じ開放値でも焦点距離が違うと背景のボケ方が変わってきます。明るい単焦点レンズを持っていない、大三元のズームレンズを持ってないからボケを生かした撮影はできないと思いがちですが、開放値がF5.6でも望遠側を活用して、自分の立ち位置を変えればボケを生かした撮影ができますので、自分の足を使って撮影してみてください。
あともう一点、広角側で撮ると若干、目が離れるというか、中心から外方向に広がる様に写ります。逆に望遠側でとると圧縮効果で目が寄って小顔に見えてきます。私の場合は、女性は標準から中望遠、子どもや男性は特に気にしないで撮影することが多いです。そういったレンズによる効果も頭に入れて撮影に臨んでみてください。
3 仕上がりを考えた撮影を!
背景を考えて、焦点距離や撮影の立ち位置のお話をしたので、次に撮影する構図を紹介します。
最初に書いたような日の丸構図でも、正面や左向き、右向き、撮影の高さも水平から下、上と変えるとそれだけでもかなりのバリエーションになります。ここでは、広報紙の紙面に掲載した写真を基に右ページ。左ページに合わせてどんな構図で撮影している紹介しますので参考にしてみてください。
4 効率よく、お互いの負担を減らして
うまく背景とのバランスが取れないなど、悩むことがあると思います。その場合は、焦点距離で変わるレンズの特性を使って自分の立ち位置を変えるなど、足を使って撮影してください。
また、広報紙に使う写真の構図は、紙面に落とした時のレイアウトを考えて、できれば先にレイアウトを考えて配置する場所を決めてから撮影に臨んでください。そうすることで、構図のイメージが湧き、撮影される側も撮る側も無駄な撮影が減って、お互いの負担軽減につながって効率よく撮影ができます。たくさん撮影した中から選ぶのが大変だとか、レイアウトを作ったら使える写真がないとか、いろいろと苦労すると思うのでしっかり準備をして撮影してください。
今回のポイントとしては、
①レンズの特性を知ること
②焦点距離を使いこなし、立ち位置は柔軟に
③紙面のレイアウトを先に決めよう
④紙面のレイアウトに合う構図を考える
このポイントを抑えて、自分なりにアレンジを加えて広報紙作りに生かしてください。次回は何をやろうかな〜とまだ決めていませんが、夏の風景の撮影に役立つ設定やコツなどできたらいいな〜と思います。
最後に、この投稿の表題にあった女性の写真が気になった方もいたのではないでしょうか?モデルになってくれたのは、昨年度(令和4年度)の全国広報コンクールの組写真で特選を受賞した桑折町の丹治愛莉さんです。撮影者でもモデルとしてもほんとすごい人です。今度、写真の話を投稿してもらえないかな〜って思ってます。桑折町は伊達市の隣町で、今年度の全国広報コンクールの広報紙(町村の部)の特選をとった川俣町も隣町なので、めっちゃすごい人たちに囲まれた伊達市です笑。
では次回もお楽しみに〜!
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