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文学フリマで買った本の感想①―アイドル&いろいろ編

文学フリマ東京で買った本の感想第一弾、でございます。
行って良かった!

アイドル編


岡田紗夜さんの本


「ネットに書けない。」岡田紗夜さん



私は岡田さんに出会えたことだけで文フリに行って良かったです……!
今キンドルで買った「グラビア事務所辞めました。」を読んでいるところです。
思ったのは、グラドルさんということでファン層は男性中心だと思うのですが、この本って女性が共感できる内容だと思うのでもっとたくさんの人に知ってほしいです。

グラビアをやっていて文章が得意って絶対武器になると思うし、文学やサブカルにも詳しくて岡田さんが教養ある女性だということを感じたのでぜひ執筆をつづけてほしいです。また本が出たら買います!
(私も下妻物語大好きでした…!「エミリー」とか、高校生くらいの時にドキドキしながら読んでました。野ばらさん逮捕は衝撃的な出来事でしたが、その後「タイマ」を書かれていて作家さんって何もかも人生の糧にしていくのだなと感じたり)

noteも読ませていただいたのですが、村上春樹や「溺れるナイフ」が出てきたり(カナちゃんに感情移入するのってすごく分かる……)あと個人的に私は司書時代に岡田さんの母校の図書館学類出身の先輩にお世話になりっぱなしだったので、勝手に親近感が湧いてしまいました。

私が元々1番最初に地下アイドルに興味を持ったのは、元地下アイドル作家姫乃たまさんの初期のブログを読んだ時でした。岡田さんの文章を読んでその時の衝撃を思い出したりしました。

これって出版社を通したら売れる内容じゃないかなと思うのですが、でも今も芸能の仕事されてるんだから色々と難しいですよね……
感想としては、好きなことを仕事にするのって大変なことだな、とその一言に尽きます。

色々衝撃的な出来事が多すぎて、筆力も高くてぐいぐい読めてしまうのですが、私が印象的だったのは大学時代の友人の裏切りでした。
こういう人っているよなー、今までの楽しかった思い出も全部悲しい思い出に変わってしまったことでしょう。
この本を書くのはきっと辛く苦しかったと思うのですが、でも岡田さんが過去と向き合って素直に心情を吐露しているからこそ読む人の心を動かす作品になっているのかなと思いました。

「地下グラドルが身分を隠してアプリでギャラ飲みの世界を覗いた30日間の話」岡田紗夜さん


ギャラ飲みって芸能事務所とか入ってない一般女性がやってることもあるんだ! ってまずそこを知らなかったので驚きました。
岡田さんと会った男性も各個人色々な事情があるようで、他人の人生覗き見られる一冊で面白かったですね。普段口に出さなくても、語りたいことって誰しも心の中に持っているんだなって感じました。
特にギャンブル依存の人が印象的でした……誰でも依存症になっちゃう可能性があるんだなって怖くなったり。岡田さんが少し書かれていたように、立ち直れたかと思いきやギャラ飲みアプリに手を出しているのはまた違う依存のはじまりなのかなって、そこが怖くて気になりました。

「グラドルふたり旅 真冬の沖縄弾丸編」岡田紗夜さん

上記2冊と違い紀行文で、のんびり楽しく読める内容で良かったです。沖縄行きたいなあ。上田ミルキィさんとの仲の良さが伝わってきます。
私は学生時代丸1年鬱々としながら楽しく「リリイ・シュシュのすべて」の研究をしており、足利には行ったものの研究のために沖縄に行けなかったのが心残りだったので文中に出てきて嬉しかったです。

かいわい

「アイドル批評誌 かいわい VOL.4」

全体的にこの雑誌「かいわい」はめちゃくちゃ面白くて、バックナンバーも通販してしまいました。

研究者の語るアイドル論はメディア論に寄っていることが多いと思うのですが、かいわいさんは現場を重視していて「こんなの読みたかったんだよ……!」って感じました。この本に出会えて良かったです。
最近の本ではロマン優光さんの「地下アイドルとのつきあいかた」も面白かった。
私も色々な現場に出向いてきたので語りたいことがたくさんあり、いつかもし機会があればぜひ寄稿させていただきたいものです……!
ひとつひとつのテーマも好きでした。

私は普段考えすぎて何も行動できないことが多く、友人に連れて行かれた地下現場では色々な体験をして面白かったなと思っています。

金銭が介在する関係というのは不均衡なもので、私が「あなたが好きです」と言ったら相手は拒否することができない。これは不思議だなあと常々思っていました。

だから相手から返ってくる言葉はあくまでサービスの一環であるということを意識すべきだと思っていたんだけど、たまにあ、これは今本当に思ったことを言っているのかな? と思う瞬間があるんですよね……。
アイドルは作品と本人が切り離しづらいものだから余計に本人もオタクも悩みやすいですね……。

古川智彬さんの「アイドル現場から暴投される言葉たち―アイドル論における「倫理的転回」について」を読んで、昔私はアイドル現場に行くと私は安全な所から人の人生を消費していいのか? しかも同じ女性なのに……ということを強く感じていて、思わず以前小説にも書いてしまったことを思い出しました。

地下現場では距離が近すぎることによって相手が自分と同じ人間であるということを強く意識させられるから特に「楽しい!」だけでは見られないんですよね。
私は正直に言うとその答えとして「好きでやってるんだから、細かいこと言わず楽しく見てればいいんだよ」と言う奴が好きではありません。考えが浅い、もしくは無理しているのかなと思ってしまう。

古川さんが考え続ける、だけじゃなく、各人が現場で探求していくという結論を出しているのがすごく良かったです。私も探求できればいいのですが。

「アイドル批評誌 かいわい VOL.5」


古川智彬さんの「アイドルは方法である」を読んで、私もライブハウスには機会がなければ一生行かなかったと思うので共感できました。アイドルを考えることは自己を発掘することでもあるなあと思ったりして。

「地上の信仰、地下の約束」小倉拓也さん
「次があるかどうか、分からないけど」という言葉が切なくて、アイドル現場における人間関係の特殊性が込められている気がしました……オタク同士も不思議な関係ですよね。

「アイドル、分かれ道の前で―あるいはストリップについて」結城敬介さん
一時期文芸の友人がストリップにハマっていたので私も行ってみたかったけど結局行けなかったな……アイドルとの差を考察しているのが面白かったです。
私もキャノンボール見ました。よくは知らないのですが渡辺さんはほんと、すごい人だし怖い人ですよね……。「世界でいちばん悲しいオーディション」は好奇心で再生してみたものの、冒頭からきつすぎて全然見られませんでした……。

座談会も全部面白かったです。
私はAKBが好きなのでプデュ48の流れでアイズワンとか、虹プロの流れでTWICEとかKポは多少見ていました。プデュ48では今や立派にセンターも務めるえりいちゃんがかわいくブンバヤしてたのが懐かしいな。
おまごる、よくは知らないけど好きです。ユアたまが可愛くて。
「五番目の季節」のPVとか歌詞が好きなんですよね。おまごるの日本語訳担当さんが天才的だって聞いたことあります。
Kポって完成された作品なので、日本のアイドルとの違いを意識して見ると面白いですよね。

実は武道館アイドル博に行ったことがあるので、いつか感想をどこかに書こうかなあ。

その他

アルパカあれこれ

「アルパカあれこれ」なめみそさん


ものすごく可愛い。作者さんのアルパカ愛が伝わってきます。家族がアルパカ好きなのでお土産にキーホルダーを買いました。

卒業旅行に富士の樹海に行く

「卒業旅行に富士の樹海に行く」かくサトウさん



ちょうどいつか大学院生が出てくる小説を書きたいと思っていたんだけど、私は学部卒なのであまり悩みが書けなくて、これを読んでみよう! と思って買いました。

主人公がトラック青年に「甘ちゃんだな」と言われてしまうのがぐさっときました……
私も割と悩みがちな方ですが、結局生活に困っていないから答えが出ないことで悩む余裕があるのではないか? つまり私は好きで悩んでいるのではないか? と余計に落ち込んでしまうことがあるので刺さりました。
まだ何者でもない自分を抱えて生きていくのは苦しいことで、学生時代は悩みがちなものですよね。

ラストが良かったです。
家でぐるぐる悩んでいたのが、思い切って何かやってみて、あ、これか! ってふとわかることってあるかも知れない。
この本も、きっと書くのも人に見せるのも辛かったと思います。大切な思い出を読ませていただきありがとうございました。

ボルツマンについての文書も読ませていただきました。
面白い人だったんですね、ボルツマン。たまに周りの人を見ていて絶望しそうになるんだけど天才って理系も文系も得意ですよね……。

qeereeさんの本

「カード屋さんの中の人」qeeree.さん


お仕事エッセイ。めちゃくちゃ面白かったです。あと「カード不正利用に対抗する」は永久保存版の役立つ内容でした。
作者さんの霊感的な部分が現代的なカードの不正審査に役立っているというのが意外でした。天井に黒いものが見えた部分ってぞっとしましたね。
人のお仕事って知らないことだらけで面白いです。

「不思議に慣れすぎている」qeeree.さん

こちらも面白かったです。作者さんの第六感的な部分が存分に活かされている1冊。
決して特別な場所ではなく、いつもの場所に色々なものが現れるのが面白かったです。
最後の悪いもの? のエピソードにぞっとしました。

白いビルの研究室報

「白いビルの研究室報 第1号」白いビルの研究室さん

文字通り、白いビルの写真集。
パラパラ見て心惹かれるのものがあったので創作のヒントになったりするかな、と思い買ってみました。
私が特に気になったのはどこかの出入りできるタイプの小さな白いビルの屋上かなあ。映画のラストシーンとかでこういう所が出てきそう。


みなさま面白い作品をありがとうございました。文フリお疲れ様でした。
もし文学フリマ東京39で再会できれば嬉しいです。

今読んでいるところなので、純文学サークル編はまた次回にします。


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