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2024年7月に読んだ本の感想―今月の1冊は「近畿地方のある場所について」

そんなに冊数は読めなかったけど重めラインナップな7月。イヤミスは好きなんだけど、心霊系は苦手だな……。

「近畿地方のある場所について」背筋




主人公のライター背筋さんが知人の編集者小沢くんとホラー雑誌を作るため怖い話を集めていたところ、近畿地方のある場所について思わぬ事実が浮かび上がり……。
面白かったけど、怖すぎる!!1週間くらい心が近畿地方に飛んでいました。

元々は投稿サイトカクヨム発のおはなしなのですが、短めの面白い話を集めて一つの長編が作られていたり、他にもハラハラドキドキして最後まで読みたくなる工夫が満載。WEB上で長編を最後まで読んでもらうのって難しいので、書き手の方も読んでみるとすごく勉強になると思います。

コメント欄が臨場感あふれるカクヨム版もぜひ! たまにコメ欄に天才がいる。↓↓↓

読み終わった後につい誰かに話したくなります。
でも怖すぎるので、1人暮らしの人にはおすすめできません 笑
私は夜中トイレに行けなくなりました……。

ただ、途中でDDオタクばりに貪欲に若い嫁を求める霊? が出てきてちょっと面白くなってしまった。

最近はネット発の作品って多くて、音楽も小説もマンガも自己表現系は何もなにもかもそうなんですけど間口が広くなって参加する人が増えた分競争は激化し続けているのを感じますね。
カクヨムも投稿作品が面白そうでちょっと気になるけど、カドカワのサイトなので作風がラノベ寄りのものが多くて私の作品には合わないような気もする。

「つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う」高橋ユキ


再読。こちらはみんな大好きnote発文学です。
文庫化でサブタイトルを変えられたんですね。前の「噂が5人を殺したのか?」も好きでした。

こっちは霊とかは出てきません。
2013年に山口県の人口12人の集落で起きた殺人事件を追うルポルタージュ。
「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」の不気味な貼り紙を覚えている方もいるでしょうか?
高橋さんは執筆当時はお子さんが小さかったそうで、そんな中でこの取材と執筆をやり遂げた精神力がすごい。

金峰地区で取材をしながら私はいつも、彼らが私にしてくれる「うわさ話」の細かさ、情報量の多さに驚きを感じていた。それは同時に、もし自分が金峰地区に住めば、この勢いで自分のうわさ話が集落に広まるであろうことも、容易に想像させるものだった。

「つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う」高橋ユキ P136

事件の舞台となった集落は噂がうずまいていて、人間関係にも色々な暗黙のルールがあって日本にもいろいろな場所があるんだなあと驚かされます。
河村さんの件がショックだった……。

「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」桜木紫乃



桜木さんの本はホテルローヤルしか読んだことありませんでした。
知人が以前この本と似たタイトルのアイドルブログをやっていて、検索すると必ずこの本がいっしょに出てくるのでどんな話なのかなと思っていたので読んでみました。

舞台は真冬の北海道・釧路。
キャバレーの照明係の男の子・章介は巡業でやってきたマジシャンの「師匠」・ニューハーフの歌手・ベテランストリッパーという濃いメンバーとぼろい寮の六畳一間で暮らすことになり……。

家族との縁が薄い主人公が3人の優しさに触れて少しずつ変わっていくひと冬の物語。毎日が幸せなほどお別れが迫ってくる寂しさが感じられて、切なさと未来への希望が詰まった1冊。真冬の北海道の寂しくも美しい光景が思い浮かびます。
マジシャンのくせにマジックはできないしハトも思うように飛ばせないけど時々いいことを言う師匠のキャラクターが良かった。


「ほんとうの私を求めて」遠藤周作

自分の心の中を見つめ、人生をより豊かにできるエッセイ。
遠藤周作は代表作は重たいものが多いけどエッセイはお茶目で優しさとユーモアに溢れていて奥深い性格を感じます。

周作先生は劇団を主宰されていたこともあってか、この年代の男性にしては非常にリベラルな女性観がいいですね。
このエッセイでも、結婚して子どもを持つ女性に趣味や自分の世界を持って異性を含めた様々な人と関わることを勧めています。


「ばらばら死体の夜」桜庭一樹


再読。
桜庭さんの本はこれと「私の男」が好きかな。
桜庭さんはライトノベル出身だけあって、普通に書いたらちょっと無理があって入り込めない出来事をうまく「ありえるかも知れない」みたいに書くのが上手です。現実と幻想の間、みたいな。
大学で非常勤講師をやっていて、実家が裕福な妻と可愛い子どもと一見何不自由なく暮らしている主人公の心の裏側の孤独がよく描かれています。


★マンガ


「先生の白い嘘」鳥飼茜



映画化で色んな意味で話題になっていたので再読。
なんか、女性の人生の辛さを詰め込んだような話……って書くと読みたくなくなっちゃうかも知れないけど、面白いです。
意外と救いのあるラストだった。

「クレープ屋で働く私のどうでもいい話」ただまひろ



今月の癒し。
接客業って大変ですよね……。
普通に考えたら非常識なお客さんのエピソードもたくさん出てくるんだけど「こういう人もいたよ、色んな人がいて面白い」ってただ優しく語りかけてくれるたださんの懐の深さを感じます。
絵が可愛くて面白くて絶妙にツボ。





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