「転生したらVの世界に」 プロローグ
俺の彼女は去年、花火のように散っていった。
勇気を出して告白し、付き合った当日のことだった。
夏休み前日。
花火大会に行き、屋台でたこ焼きとかき氷を買って食べた後、神社の階段で花火が打ちあがる直前で俺は彼女に告白し、付き合うことができた。
色とりどりの花火が打ちあがる中、手を繋ぎ、花火を一緒に見上げていた。
この時間が永遠に続けばいいと思っていた。しかし、花火も散り、時間も過ぎ去ってゆく。
幼馴染みの彼女は家が隣で、帰り道も一緒だった。
夏休みが始まったらどこに行こうか。一緒に勉強をして、プールに行って、遊園地にも行く。ふたりで幸せな未来を描き、帰途に就いた。
スキップしながら楽しそうに話す彼女を横目に見て俺は微笑んでいた。
十字路。
彼女が一歩大きくステップしたその先に、黒の車が通った。
大きなクラクションが鳴り、彼女のすぐそばに高速で走る車があった。
時の流れが遅くなり、俺は必死に手を伸ばした。
それでも、間に合わなかった。
彼女は車に撥ねられ、動かなくなった。
運転手がすぐさま車から降りて、救急車を呼んだ。その中、俺は必死に彼女に声を掛けたがまったく返答はなく、動かなかった。
救急車の中に俺も乗り、ずっと叫ぶようにして声を掛けたが彼女は無言のまま。
病院に運ばれたが、もう手遅れだった。
彼女は死んだ。
俺の明るい未来はなくなった。
そこで、すべてが真っ暗になった。
彼女のいない俺の世界は、花火が散り去った夜空のようだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?