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6. 助詞の使い方

今回は,助詞の使い方について解説します。
「は」と「が」および「の」については,すでに解説したので,そちらをご覧いただけると幸いです。
ここでは「へ」と「に」,「と」と「ば」,「から」と「ので」,そして「より」についてです。

まず「へ」と「に」の使い方についてです。
この両者はよく似ていますが,微妙な違いがあるので使い分けることが肝心です。
「へ」は進む方向を表わすのに対して「に」は到達点や位置を表わします。
「東京へ行く」とは言いますが「東京に行く」と言うと違和感があります。また「東京に到着した」とは言いますが「東京へ到着した」と言うのは不自然です。なぜなら「へ」はこれから向かう所を意味し「に」は到着した場所を意味する助詞だからです。また「東京に到着する時刻」とは言いますが「東京へ到着する時刻」とは言わないです。これは,今東京へ向かっているとしても,自分がそこに到着した時のことを想定して言っているので「に」のほうが適切です。さらに「東京への到着時刻」は自分はまだ東京に着いていない状況での表現ですから「へ」が適切です。

次は「と」と「ば」の使い分けについてです。
夏が来れば思い出す,暑さに耐えて過ごした日々。
夏が来ると思い出す,君と行った湘南の海。

「ば」は主観的で自分の意思で「必ず思い出す」といった印象を受けます。一方「と」は客観的な印象で「自然に思い出す」という感覚が伝わってきます。

次は「から」と「ので」についてです。
この二つも主観的か客観的かの違いがあります。
気分が悪いから休みます。
気分が悪いので休みます。

「から」は主観的で自分の意思で「休みます」という印象ですが「ので」は客観的で「休んだほうがよいだろう」という必然性を感じます。

日本語は,助詞によって微妙なニュアンスの違いを生じることがあるので,繊細な思いを上手く伝えるポイントになるかもしれません。

最後は「より」についてです。助詞の「より」には,比較と起点(基点)の意味があるので,文意をつかみ難くなることがあります。
大谷選手はベッツ選手より幸運な話を聞いた。
この文は「ベッツ選手と比べれば幸運であるという話を聞いた」あるいは「ベッツ選手から幸運な話を聞いた」のか不明解です。
「より」は「から」や「基づいて」といった起点の意味と,「比べて」や「比較して」といった比較の意味があるので「より」を用いるときは,その点に注意し,あいまいさが拭いきれないようであれば「から」や「比べて」という表現に置き換えるほうが良いですね。

助詞を正確に使い分けることは,違和感のない自然な文章を書くために大切です。そして,そのためのもう一つの要素に接続詞があります。次回はその接続詞についてお話します。

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