上京2

経堂アパート

父: 「狭かっ!うちん哲也ん部屋ん方が広かじゃなかか?」

母: 「哲也、こんアパートから大学は近が?」

哲也: 「え?なんで?」

父: 「ないじゃ?こん蚊取り線香みてと。これコンロけ?」

母: 「お父さんが担任ん先生と校長に挨拶に伺うついでに、学校ん場所を確認しちょこうとゆうとったっじゃっどん。」

哲也: 「バカな。高校じゃあらんし、そげんこつ必要なか。」

母: 「あ!思い出したっちゃがっ!はい、これ。」

(母が封筒を取り出して哲也に渡す)

哲也: 「10万!?」

父: 「え!便所と風呂が一緒なんか?ちょっとおっかん!」

母: 「こんたお父さんから。田舎と違うて東京はないでんお金が掛かっでって。」

哲也: 「…」

父: 「おっかん!おっかん!これ見てみぃ!」

母: 「は〜い!…あいでお父さんは哲也を心配しちょるんじゃが。じゃっで後でちゃんとお礼を言いやんせ。」

哲也: 「…わかったがぁ。」

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