安倍元首相銃撃事件の真相③:なぜ安倍元首相を狙ったのか
安倍元首相銃撃事件の真相③の続きです。
2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件。犯人の山上徹也は事件の直前に安倍元首相を狙う決断をした。
ではなぜ安倍元首相を狙うことにしたのか。それは、事件後約1年にわたって報道されたような「安部元首相と統一教会(世界平和統一家庭連合)がズブズブだった」からなのか?
事件後、当初の報道は、山上が統一教会を恨む理由となったとされる高額献金、そして山上と似た境遇だったと推測される宗教二世、そして安倍元首相と統一教会の関係についての追求が多かった。
過熱した統一教会と関係する議員への追求報道
そうした中で統一教会と政治家、特に自民党との関係についての報道は、どんどん過熱していくこととなった。
事件から1ヶ月ほどの間に、統一教会(またはその友好団体)と関係があったとされる議員が次々と追求されるようになった。
それまで、統一教会にたいした関心を払っていなかったマスコミ関係者の多くは、関係のあった議員の数にきっと驚いたことだろう。その数は100人を超すと言うのだから。その驚きが「ズブズブだったのか⁈」との思いに至らせ、記者としての責務から、今までこの事実を知らなかったことを反省し、しっかりと追求しなければならない、との思いを強くしたのかもしれない。
「宗教と政治」というネタも、多くの記者と人々の興味をそそったにに違いない。「営利企業・営利団体と政治家の癒着」等は分かりやすいが、非営利団体である宗教と政治の関係は、一般的にあまり馴染みがない。そうした中で、次から次へ統一教会(主にその友好団体)と関係のあったとされる議員が出てきたら、記者として、このネタの報道はもうやめられないとなる。
特に、いわゆる「アベガー」傾向を持つ人たちからしたら、安倍元首相が狙われた理由とつなげたくなる心理も働いたのだろう。いっそう「安部氏と統一教会がズブズブ」であることを証明したい、追及したい、との思いを強くしたと思われる。
騒動が続く中、自民党は党に所属する全国会議員(379人)と統一教会の接点に関する調査を行った。その結果、何らかの接点があった議員が179人、関連団体の会合に出席して挨拶するなど一定の関係があった議員は121人と公表した。
これだけ多くの自民党の国会議員と統一教会が関係があったとなると、一般的な感覚からして、「ズブズブ」だと思ってしまうのかもしれない。しかし、騒動が1年以上続いた中で、安倍元首相(または自民党)と統一教会がズブズブと言えるような事実は、はたしてあったのだろうか。
統一教会の信徒が集まる集会などに多くの政治家が出席したり、挨拶したりしたのは、写真や証言などから確認されている。また統一教会の関係者から選挙応援を受けたと複数の議員が証言している。
安部氏と統一教会がズブズブだったのか
ところで、これをもって安倍元首相(または自民党)と統一教会がズブズブと言えるかは甚だ疑問だ。
様々な集会に政治家が出席して挨拶し、参加者を激励するのは、政治家の一つの仕事のようなものだ。少し政治の世界を知るものであれば、これをもってズブズブと思う人などいない。選挙支援についても同様である。
原田義昭元環境相は、朝日新聞の取材に、統一教会の友好団体から選挙支援を受けたことについて以下のように答えている。
選挙支援があったことをもって「統一教会とズブズブ」と思い込むのは、統一教会以外の宗教や団体を知らない世間知らずのあるジャーナリストならあり得るかもしれないが、それは妄想が過ぎる。
選挙運動を手伝う選挙運動員は原則無償である。そんな中でボランティア精神が培われている宗教関係者が選挙運動に関わるのは、統一教会に限らないと思われる。原田元環境相は「議員の頭にあるのは、まず宗教組織とどう付き合うか。そこが一番」と述べているが、それは、統一教会以外にも様々な宗教団体が選挙に関わっていることを意味しているのだろう。
少し広く世間を知る者であれば、既に気づいているはずだ。どの情報を見ても、「自民党と統一教会がズブズブ」といえるものはないことを。
ズブズブの関係とは、「堕落・腐敗した関係」(実用日本語表現辞典)
<続く>
続きは明日投稿予定です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?