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読書感想文42 石井好子著「パリの空の下オムレツのにおいは流れる」


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 読んでいるうちに、料理がしたくなってくるエッセイ。料理の描写が細かくて、これさえ読めばレシピがなくても料理を作れそう。飾り気のない平易な言葉で綴られているので読みやすい。
 作者の石井好子は日本のシャンソン歌手草分けとして活躍した人だ。パリにも長く住んでいた。日本とフランスの食文化のちがいやフランス人の食に対する姿勢に呆れたり感心したり。全てのページが料理に関する話でうめられており、料理と関係ない話がないのがすごい。
 オムレツ、シチュー、ポトフ、サラダ、付け合せのポテトに至るまで、手間をかけることを惜しまないことが美味しい料理を作るコツであることを再認識させてくれる本。料理の歴史を再認識させてくれる本でもある。
 この本が出た一九六三年にはまだしゃぶしゃぶが珍しかったのか関西の珍しい料理としてまるまる1ページかけて説明している。シチューは日本で一般的なホワイトシチューではなく、ブラウンシチューだ。説明せず、いきなりブラウンシチューを出してくるあたり、きっとこの頃はブラウンシチューが一般的だったのだろう。日本の食べ物の歴史を巡ることができる一冊でもある。

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