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バス

「あけぼの」



バス。

揺られるつり革。

バス停の停車ベル。

誰かが降りた。

そして、誰かが乗車した。

夕日。

うだるような太陽。

車窓から見える車の流れ。

その流れに呑み込まれるように

そっと窓ガラスに手を這わせた。

覗き込むようにして目を流す。

バスが動いた。

またバス停の停車ベルが鳴り、

誰かが降りる。

そして、また誰かが乗車した。

それを幾度となく繰り返してゆく。

人の流れ。

私もその流れの1人である。

私はどこに行くのだろうか。

行く宛ては決めていない。

私はどこまで行けるのだろうか。

このバスの終着駅は、どこなのだろうか。

音楽。

イヤホン。

携帯電話。

この揺さぶられる感覚が、

光に流される光景が、

ずっとずっと続けばいいのに。

ずっとずっと終わらなければいい。

そう思うのに、終着駅は必ずやってくる。

終わりたくないと、そう強く願った頃。

やはり終わりは来てしまった。

ぼやりと先程までの想いにふけっていると

はたと、駅の名前が目に入った。

そうか。

ここが私の終着駅。

「小夜」

今にピッタリの名前だ。

私は、バスを降りた。

また、旅をしよう。

長い長い旅を。

夜があける頃まで。


↑AIで作曲した音楽です。
よろしくお願いします。

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