記憶の中の少年と、鬱々とした日々を送る女子大学生の物語。
キーとなるのが、一冊の本と、記憶の中の少年からもらったボタン。
ある日、ひょんなことから物語の中に入ってしまった主人公。…
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#おとぎ話の中で君ともう一度
【小説】おとぎ話の中で君ともう一度#24
第二幕 靴を落とした少女21:西の塔
「夕焼け空」
と唱えた。
瞬間、先ほどと同じような光が地面から放たれた。
気が付くとやはり先ほどと同じように塔の中にいた。でも、目の前に広がっている景色が違う。
さっきは、黄金の台だったのに対して、銀の台。
それに、台の目の前に広がっている景色は、先ほどの森ではなく、静かな夜にひときわ輝いている王宮が見える。
私は、少しずつ窓に近づき迷うことなく扉を開けた
【小説】おとぎ話の中で君ともう一度#23
第二幕 靴を落とした少女20:東の塔
だから、私は意を決して、うなずいた。
「わかった。」
私は、ひっそりと透明になってアルのことを追いかけた。
真夜中だからか、王宮の中は冷たくシンッと静まり返っている。
夜空には、あの日エルが泣いた日の月明かりにそっくりな明かりだけがあった。
その月明かりだけは、静かに私たちを見ているような気がした。
私は、てくてくとアルの後を追っているといつの間にか