鰯ぷらっとふぉーむ

イワシの握りが好きだ。

冬になると北海道で取れるイワシは脂が乗っていて、これを酢締めしてにぎりにすると、ほっぺたが落ちるとはこうゆうことかと言うくらい美味しい。ものが良いイワシは豊洲でもキロ4千円を超えるものもあり、ここまでくると高級魚になるが、高級魚に匹敵するくらい美味しい。


イワシという魚について、今まであまり深く考えたりすることがなかったが、最近魚について勉強をしているとイワシという魚は私たちの生活、食卓、魚の食卓においても、そして日本だけでなく世界でもイワシという魚は大きな役割を果たしている。

鰯という漢字の由来は多岐にあるが、採るとすぐ死んでしまうということや、色んな魚の餌になってしまうなど様々な要因がある。わたしたちの食卓においても、イワシの缶詰であったり、生姜や醤油、味醂で甘辛く煮たものや、イワシは様々な用途で用いられる。

近年、イワシは日本で漁獲量が落ち込んで社会問題になっていたが、最近では漁獲量が増えてきている。

イワシと一口にいってもうるめイワシ、片口鰯、真鰯といった主に3種類あり、そのままわたしたちが食べているのは真鰯で、うるめいわしは目が真鰯に比べてウルウルしていることから名前は付けられているが、大地、煮干しやみりん干しなんかで用いられる。

片口鰯は顎が小さく、片口に見えることからその名前は付けられている。全長10cmくらいにしか成長せず大体、しらすや縮緬で私たちは食べていることが多い。成魚は大体、魚醤や釣り餌、飼料で用いられており、用途は広い。

青魚なので、臭みもあるので、江戸前寿司では青ネギとしょうがをすりつぶしたものを載せたあたり葱を乗せて食べる主流だ。握りの見た目も、縦に真ん中に一つ、横に何本か飾り包丁を入れれば、シャープな形をしていて、見た目も車体のフォルムというか、人工的に作り出したようなシャープな形をしている。

ヨーロッパなんかでもイワシは時代を超えて人々の食卓をにぎわせてきた。イタリアではサルダと呼ばれ、

カタクチイワシは、acciughe(アッチューゲ)やalice(アリチェ)と呼ばれていて片口鰯がアンチョビとして用いられている。

イタリアのアンチョビは片口鰯のオリーブオイ漬けで向こうでも調味料といった感じで使われる。


イタリアでは、ベッカフィーコという、南イタリア、シチリアでレーズンやパン粉、チーなどを詰め物にしてイワシの尾っぽを立てるように巻いて焼いたものが定番だ。

ポルトガルでは、イワシは国民食といっても過言ではなく1456年には日曜の記念日しかイワシを取ってはならないという法律まで施行された。

ポルトガルで食べられる食べ方では炭火の上にイワシを置いて祖直火で焼いて食べるのだという。首都のリスボンでは6月13日にイワシ祭りなるものが開催され、聖人の月(6月)にはポルガル全体で3500万匹も消費されるのだという。

 タイ料理やベトナム料理はでも女性はじめ、日本で人気を博しているが、エスニック料理で味付けの中心として大きな役割を果たしているのが、ナンプラーだ。このナンプラーは日本でいう魚醤であり、片口鰯を塩漬けして発酵、熟成させたものだ。ナンプラーは日本でいう1番だし、2番だしのように、1番絞りは極上品として用いられており、1番絞りのあと塩水を足して熟成させ、絞ったものは2番絞りで2番絞りまでが本ナンプラーとして扱われる。3番絞り以降のナンプラーをミックスナンプラーと呼ばれ、これが一般的に調味料として用いられているものだ。

中国人が、タイ人向けに魚醤を作ったことが始まりとされており、20世紀のはじめごろ今のように定着したと言われており、比較的最近だ。

ベトナムでは、ニョクマムというナンプラーよりも発酵度合いは低く、香りが強い。

オリーブオイルにニンニクやローズマリー、ハーブなんかを開いたイワシを油の中に入れて低温で火を入れていけば、イワシのコンフィになってこれも酒のつまみなんかでも美味い。
 そもそもイワシやサバなどの仲間は浮き魚と呼ばれ群れで行動するため補食しやすく、大量にいて栄養価が高いので、イワシは海に生きる魚の胃袋を支えている。はまちやハモなどを捌くときに腹を割ると胃袋の中にたまにイワシが何匹か入っていることもある。イワシは海に生きる魚の胃袋を支えていると言っても過言ではない。 
 そんなわけで魚の養殖で魚に与える餌でもイワシを主な原料として用いられている。魚の飼料、餌もとても高い。20キロの餌は一袋5千円もする。まあ、1袋で真鯛の餌で換算すれば、季節と個体の大きさにもよるが基本的に1万匹あたり4ふくろ、80キロほど与えることになる。そして魚の餌を試しに食べてみるとこれが案外うまい。ご飯に乗せて塩をかければおかずにもなり得るなんてことを養殖所人に言ったら苦笑いをしていたが、まあ原材料としてはイワシの身をつぶしたものと植物性の油や大豆粕なんかを混ぜたものなので、原材料としては人が食べても体に毒になるものではない。魚好きや寿司屋を何十年もしている人と養殖と天然にの違いなどについて話すと、養殖魚は鰯ばかり食べているからイワシ臭いなんてことをよく聞く。


ああ、イワシのことをずっと書いているとイワシが食べたくなってきた(笑)




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