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サル日記 その4・イケメンスイッチ発動

昨日は歌舞伎座に行ってきた。

團菊祭五月大歌舞伎、昼の部。
初代尾上眞秀くんの初舞台である。

開演前の受付には母・寺嶋しのぶさんの姿もあった。
いつも晴れがましい歌舞伎座が、また格別の祝祭感に包まれている。

場内入口の近くの壁に、「ご挨拶」と書かれ、眞秀くんの写真と松竹会長・社長、そしておじいさまである七代目尾上菊五郎さんのご挨拶が書かれたボードが飾られている。


10歳にして、この盤石なイケメンぶりよ…。

みんなスマホを取り出している。
私も写真撮りたいなー
しかし、正面に陣取ったオジサマが、なかなかどいてくださらない。
見ていると、

全体を引きで一枚、
今度は寄って一枚、 
次は顔写真だけアップで一枚、
さらに挨拶文のところだけ一枚…

あのですね!それって「全体を一枚撮れば」ぜんぶ済みますよー

誰か教えてあげてくれないもんかね、ったく…

おっといけない、おめでたい場だ。
カリカリするのはよそう。
私だって中高年、「叩くより讃え合おう」だ。

眞秀くんの演目は「音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)」
のびやか、かつ丁寧な動きと、堂々たるセリフ回しで観客を魅了した。素晴らしかったなぁ!

ところで昼の部は、眞秀くんの初舞台のほかに、もう一つの記念演目があった。十二世市川團十郎十年祭だ。
その演目は「若き日の信長」

文豪・大佛次郎が十一世・團十郎のために書き下ろした新作で、十二世ももちろん演じた主役の信長を、今回は当代の十三世・團十郎がつとめる。

亡父の三回忌にも出ないほど、手の着けられない不良でうつけの信長。
その根性を叩き直すため、子供のころからお守り役をしてきた「じい」が自害する。自分にも三人の息子がいるのに、死をもって若殿をいさめんとする。

「じい」の死を知って激怒する信長、
『うえーーーーーん!』と号泣する三男。
『じい!なぜ死んだ!俺の苦悩をお前はわかってなかったのか!俺がグレてたのは俺なりのわけがあったんだ!バカ者が!』(実際のセリフはこんなんじゃないけど、意味としてはまぁこういうこと)

えーーーひどくない?
お前のせいじゃんか信長!反省しろよ!
(←私が成田屋に謝れ)

いやいや、この時代特有の忠義・美徳の精神にもとづく物語だ。
なにより、このときの信長にも、深い訳があった(らしいよ)そしてもちろん反省もします。

それにしても日本人って、どうしてこんなに織田信長が好きなんだろう。

戦国武将なんて誰もが、大義もあれば私欲もあった、
戦功もあれば失策もあった。
その中でも信長は、極めて横暴で、残虐性の高い人物である。

にもかかわらず、ことさらカリスマ性を強調し、加えてイケメンに描かれることが多い気がする。
ていうか、「イケメン俳優、信長やりがち」である(私調べ)。

そして時代劇で信長を演じる俳優は、ことさらに、己の中の「イケメンスイッチ」を猛発動させている、ような気がする。知らんけど

(対して、秀吉を演じる役者は、己の中の「ニナガワスイッチ」を押しまくってるように見える。なんかトリッキーなキャラが多い)

信長は、若者時代もやたらとカッコよく描かれる。
型破りな御曹司、野性味溢れるオレ様キャラ。時にワガママで横暴だけど、そこには彼なりのワケがある、ドSなイケメン王子さま…

…って、花男の道明寺じゃん
花沢類はどこいった

そういや花沢類(小栗旬)も、やってたな、信長。

とにかくずるいわ、ずるいのよ、信長。

一方で、
わが町トーキョー・江戸の礎を築いた徳川家康は、どうも分が悪い。
戦国時代を終わらせ、天下泰平の世を作った偉大なる知将なのに、イケメンに描かれることがホントに少ない。
腹黒いタヌキおやじとか、エロい大御所とかさ…

しかし!今年は違うのだ。
2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」で、我らが道明寺、じゃない、松本潤!潤くんが!家康を演じているのだ。
いやー我々徳川派閥としては溜飲が下がる思いだわホントに!
(どこにあった?その派閥)

現在のところはまだ、岡田准一くん(信長)に耳たぶ噛まれてブルブル震えているけれど。
ふとした時に垣間見える輝きは、そんな暴君の脅しにも屈しない、真の強さと王道感を覗かせる。

そして今日、5月5日、
浜松市で行われた「浜松まつり」の騎馬武者行列に登場した潤くん。
ニュース映像で見た限りだが、もう見事に自然に、イケメンスイッチが発動されていた。
ドーム、国立、そして浜松…
いつだって幸せの世にしてくれる、素晴らしき我らが殿だ。

潤くん、大河の撮影が終わったら、また仲良しの中村屋の公演を観に行けるといいなぁ!

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