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スネイプ先生のだき枕

我が家には スネイプ先生の抱き枕がある
抱いては、まだない


うちのリビングのソファーにスネイプ先生の
だき枕がおいてある。



スネイプ先生との出会いは

そう、あれは、クリスマスの夜だった。


妻ハンナとふたり
横浜のランドマークタワーのハリー・ポッター展に行った。

妻ハンナは大のハリー・ポッター好きであれもこれもと目を輝かせる前に買い物かごに詰め込んでいたものだった。

僕は、買い物に付き合わされた疲れがあり
座って休んでいた。それが、こんなことになるなんて。




少し目を離した間に、
ハンナはスネイプ先生と抱き合っていたのだ。


ただ僕には
二人を引き剥がすことができなかった。

真実の愛がそこにはあったのだ、
いや、それよりはむしろ
スネイプ先生だけが、そこにいたのだ。

3人も。他のハリー、ロンたちは誰もいない。

スネイプ先生だけが!三人もいたのだ!
クリスマスに!他の大人気キャラはいないのに!

スネイプ先生だけいたのだ!

僕は色々その場で理解した。


僕は自分のものはなにも買っていないが
お会計で三万五千円も支払う羽目になった。

お会計をしている間、二人を探すとスネイプ先生とハンナは既に二人、エレベータに仲良く乗り込もうとしていた。僕のことはもう彼らには見えていない。


そんなこんなで帰りは
3人で帰ってくることになった。


彼はというと、

後部座席に腕組んでただ座って、クリスマスの横浜を眺めていた。



運転中バックミラー越しに
僕は先生とよく目が合った。

僕が微笑むと

スネイプ先生は腕組んでこちらを睨んでは
安全運転でな!なんて目で言い聞かせてくる


妻はぐっすり寝ているが、スネイプ先生だけはずっと起きていてくれた。

彼はやさしかった

スネイプ先生との出会いはそんなクリスマスだった。





最近は仕事も忙しく、彼の存在を忘れていた

帰りも遅く、妻も寝た、静まり返ったリビングでゆっくりご飯することが多い


ある日、またも日付が変わって帰った日
シャワーを浴びていると
妻も寝ているはずなのに、少し2階で妙な物音がする気がしていた

気にせず、シャワーを浴びているとなんだか
いつもと違う感覚に、度々襲われる。
何かに、見られている感覚だった。



疲れているとそういうことがあるからいつものだろうそのときの僕は、まだそう思っていた。

というより、怖いので、そう言い聞かせるのに必死だったようだ。




二階のリビングでいつも通りご飯を食べる。
カップ麺の準備をした。

いつもと同じようにお湯を沸かし、
おきにいりのカップ麺にお湯を注いで
三分待つ。


テレビは…なにもやっていない。
さすがに深夜だ、録画したバラエティーでも見るか。


お茶を注ぎながら、レコーダーの電源をいれる


いつものように、一時的に読みこみのため
テレビが暗転した。



真っ暗な画面に反射した自分の姿が鏡のように映る

違和感に気付いたのは直ぐだった

僕の右後ろに

見慣れない髪の長い、人…?



その瞬間叫び声をあげた
げぇやぁぁぁぁ!!!!

お茶が机にこぼれても、こぼれたカップ麺でやけどしても関係ない、

身体をよじるようにして後ろを振り返った

そして全てを理解し、怒りに満ち溢れた声で僕は言った。

もぉぉお!!先生ぇ!!!

 




常に背後をとってくる
そんな僕のパトローナス


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