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顧客開拓部隊の立ち上げ ~中間管理職の難しさ~

今でこそ、M&Aは活況で、どんどん人も若手の優秀なビジネスマンが飛び込んでくる業界になりましたが私が転職したタイミングにおいては、今ほどM&A仲介の就職人気・知名度が高まってない状況でした。

振り返ってみると2017年~2018年は、業界最大手の日本M&Aセンターは業績をさらに伸ばし、実質的に業界2位といえるMAキャピタルパートナーズも、力を貯めている業界拡大期と言えるタイミングであったと思います。

一方、私はといえば、M&Aの「え」の字も知らず、知人の紹介で新興形のスタートアップM&A企業に転職しました。

「あいつが年収1000万円超えてるなら俺もこの業界できっとやって行けるだろう」と舐めた考えでした。

しかしながら、私は業界未経験ながらすでに31歳。金融業界もまったくの未経験と遅咲きで、立ち上げ間もないタイミングでは花形の営業部門に配属されることはかなわず、コールセンター管理者としてスタートしました。

そのような中でも、スタートアップ社長がとてつもなく迫力がある方で、上場企業を創業経験もあり、「この人の下で学びたい」と思えたのは、ありがたい事でした。

M&Aプレイヤーではないものの前向きな思いを持ち、コールセンター管理者としての活動が始まりました。

しかしながら管理者としての人心掌握が苦手だった私は、結論からいうととてつもなく苦労しました。(前職の経験からも「いいからやれ」の体育会系マネジメント一本やりしかできなかったのです。)

コールセンターで勤務いただく方々は、一般的に厳しい業務もいとわず献身的に対応できる方が多い反面、少し個性的というか、いろんな方がいました。

髪がピンクの方がいたり、アニメにはまっている方がいたり、宗教を深く信仰しているおばちゃんがいたり、マルチの若者がいたり、ゲイバーで夜働いている人がいたり、とにかく色んな方がいました。

私にとって自身と違う経験をお持ちの方と接する事は大変でした。

一方、1社目が「研修屋」にいたこともあり、知識だけはもっていた自分は状況打破に自信がありました。(最初は)

「美少女アニメ」を夜中みて、勉強して、ステッカーをマグカップに張るなど、こっそり「おれもみんなの価値観わかっているよアピール」をしたことがありました。

これは効果が一瞬だけ抜群で、一斉にスタッフに囲まれ、細かいエピソードの質問の嵐でした。しかし実のある知識は一切なく、シールを張っただけの私のメッキは禿げました。

上記は極端な一例としても、「時給が良い」と人を集めている中、理念経営でIPOを目指す組織との意識乖離は大きく、また自分のM&Aに関する見識も足りておらず、日々逃げ出したかったです。

また毎日朝4時~5時まで仕事をしても追いつかない状況に転職したことを死ぬほど後悔したのは事実です。(もっと緩い業界に行けばよかった、、)

前職では、「たたき上げ」が誇らしく、無能な中途採用者を憎んでいました。しかし、いざ自身が「無能な中途採用者」に代わったときに、モノの見方には色々あるのか、と自身の経験をもって感じることがありました。

前職時代の「無能な中途入社組」はやる気がなかったわけではなく、経験・知識・スキル・考え方の何かが足りなかったのだと、と後から感じました。

そんな学びはさておき、部下の信用も得られない中、フィット感のある提案もできず、組織の中での立ち位置も低下していきました。

M&Aの基礎知識もない中で、目先の経営指標を追うあまり質の低い商談提供になってしまったこともありました。今思い返すと、もっともっとうまくやれた部分はあったのではないかと、と感じる点ばかりでした。

商談供給のKPI指標はクリアしつつも、事業の成功のための適切なクオリティの商談供給という意味では、貢献度が低かったように思えます。

そのような中、私よりもインサイドセールスに特化した専門人材を複数採用が始まりました。よくいうと、希望部署である営業をスタート。悪く言うと、管理者をクビになる形で転籍となりました。

朝5時まで管理者業務をおこなっていた私にとっては、少しホッとしたのも事実です。

一方、まともな教育を受けられずに未経験で現場に放り投げられ、四苦八苦しながら数カ月で首になっている社員も多い状況がありました。

その中、自分は果たしてやれるのかと不安を感じつつも、転職時にのぞんだサバイバル環境にやっと実を投じることができる、と、怖さ90%ワクワク10%の日々が始まるのでした。

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