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深海

駐車場に着いてエンジンを切った車の中。
寝ようと布団に入って天井を見つめる時。
ただいま、と1人の家に帰ってきた暗い部屋の中。

私は深い深い暗がりの海の中にいるみたいだ。
かろうじて息はしているけど、
なんか少し息苦しくて辛い。
明るい気持ちとは逆方向に身体も心も沈んでいく。

このまま、どこまでも。
どこまでも、どこまでも。このまま落ちていくのかな。

落ちていくのは決してダメな事ではないけれど、
なんだか寂しさで張り裂けそう。

これ以上、落ちないように
何かに捕まりたいけど、上手く掴まれない。

上手く掴まれない事に諦めて、
流れに身を任せて沈んでいく。

沈む事で心が浄化されるといい。

暗がりだけど、決して真っ暗ではない。
かすかに周りが見える感じ。怖くはない。

でも、世界に生物が私だけしかいないように思えるのはとても寂しい。


怖さと寂しさ。

どっちが辛いんだろう。
今の私は寂しさの方が辛いかな。

大切にしていた何かがこびりついて離れない。
もうその何かは、とっくに離れたはずなのに、
私の脳みそが記憶していて、無くならない。


脳みそって不思議。
もう側に無いのに、
目の前の情景を見ても、自分の脳みその中に記憶を映す。

忘れないといけない大切だったものを、
脳みその片隅が想い出させる。

大事にしてくれないものは大事にしても無駄なのに。

記憶は物じゃないから、壊して終わり、とはできない。だから厄介。


暗がりの深海で今日もこんな事を考える。

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