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舞台になった島出身の先輩と語ったモネの魅力 まだまだ語るよどこまでも

モネのふるさと亀島のモデルになった、気仙沼大島出身の先輩と「おかえりモネ」について語りました。正確には私がラブコールを送って実現。最終回放映当日、朝モネ観て余韻冷めやらぬうちに、良かったらモネトークしませんか?とメッセージ送ったら即OK! やったあ! 昼モネ観た後にオンラインで話していたらに盛り上がっちゃって思わぬ長時間トークに(笑)

地元だからこそ、のお話もたくさん聞かせてくださったので、許可をいただき内容をシェアしますね。モネの世界が深まるはず! たぶん。

モネの島で育った方の話が聞ける!

お話を聞かせてくれたのは20年以上お世話になっている、雑誌編集部時代の先輩Mさん。彼女が気仙沼出身ということは以前から知っていて「おかえりモネ」が気仙沼が舞台になると発表されたときに連絡したら

まさにあの島で育ったのよ!

気仙沼、しかも亀島、もとい大島に住んでいた方がこんな身近にいたー! 朝ドラファンとしてはこんなに嬉しいことはありません! 

懐かしい海や山 毎朝ふるさとが観れる喜び

中学時代のモネたちが集う教室、ベランダ、音楽室。あの場所でまさに中学時代学んでいたとか。リアルモネじゃないですか! 自分が青春時代を過ごした学び舎が朝ドラに登場するって嬉しいですよね。

最終回でモネが亜哉子さん、子供たちと気象の課外授業っぽいことをしていたあの浜、みーちゃんとモネの涙のシーンの浜、みつおたち同級生と訪れた浜、あの浜も小さい頃からの遊び場だったそうで。

コロナ禍でなかなか実家に帰れなかったけど、毎朝、ふるさとの懐かしい風景を観ることができて嬉しかったなあ。毎日エア帰省してるような気持ちになれた。

客観的に見ても、風景がとても美しくて、改めて自分の故郷っていいところなんだなあ、と思った、地元の魅力を再発見できたとのこと。本当に素敵な映像でしたよね。私もいつか訪れたいです! りょーちんの獲った海鮮食べたい(笑)

こちらはMさんが送ってくれた浜の写真。
ここにモネがいたんですね。

田中浜 美穂さんより モネ

新次さんの漁師っぷりが凄い

何度も泣かせてくれた、りょーちんのお父さん、新次さん。映画中心に活躍されてきた浅野忠信さんの演技には圧倒されっぱなしでしたが、

浅野さんの気仙沼弁がね。めちゃめちゃうまいのよ!
本当にああいう漁師いるよねって感じ。

地元民も認める漁師っぷり! 私のような外の人から見たら気にならなくても、地元を知る者からすると、イントネーション違うよね、あんな言い方地元ではしないよね、という意見も出るのがご当地ドラマですが、それが全然なくて浅野さんすごい!と絶賛してました。

りょーちん役の永瀬くんも絶賛。ジャニーズにあまり興味のないMさんに褒められてなぜか嬉しくなる、ゆるいジャニオタの自分。永瀬くんの他の作品ももっと観たくなる! 将来が楽しみな役者さんだよね、と。

新次さんがりょーちんに渡した「大漁カンバン」の話にも涙。公式サイトにエピソードが掲載されているので、まだ読んでいない方はどうぞ。

(年末の総集編まではこのページ、まだあるといいな…)

龍己さんの漁師あるある

モネのおじいちゃん、カキ漁師の龍己さんの描写も「漁師あるある」。あさイチの朝ドラ受けでも華丸さんが食いついていた、棚にある高いお酒の数々。昔からマグロ漁で世界の海へ向かっていた気仙沼の漁師さんたちは海外のいいお酒を持っている、自宅の棚にいいお酒が並んでいるというのは「気仙沼の漁師あるある」だそうで。龍己さんも昔はマグロ漁に出ていたという設定でしたね。

気仙沼のサイトにはこんな記事もありました。

あと、龍己さんの着ているセーター。ずいぶんオシャレなセーターだなあと思ってはいましたが、Mさんいわく「多分あれは気仙沼二ッティングじゃないかな」と。震災後に立ち上がった気仙沼の手編みの会社。

あと、漁師さんは手先が器用だし、網の修理をするから編み物が得意な漁師さんもいる、という話も。龍己さん自身が編んだセーター、という裏設定があったりして⁉なんて想像も楽しい。

また龍己さんにはモデルがいるとのこと。実際に植樹活動をしているカキ漁師さんがいらっしゃる。自分は不勉強であまり知らなかったので、ちょっと調べてみました。

こんな番組があったんですね。ノーチェックだった…。NHKオンデマンドならまだ観れるそうです。

こちらにも詳しく書かれてました。

地元あるある 他にもいろいろ

龍己さんといえば、「俺のハニー」雅代さん。

雅代さんを演じた竹下景子さんの、あの大島のおばあちゃん感。ああいうおばあちゃん、ちょっと上品な島のおばあちゃん、いるいる、懐かしいなあって思った。

竹下景子さんは、実際に大島に母と慕う女性がいらして、その方をイメージしていることが公式サイトのインタビューにも書かれています。

いつか見れなくなってしまうので、こちらの記事も置いておきます。

港あるある、といえば、りょーちんが嵐から無事に帰ったことがわかったあと、山口紗弥加さん演じる居酒屋を営む女性が「時化はかきいれどき」って言って、大変だった漁師さんたちにうちの店に来てあったまってね~とラジオで呼びかけるシーンがありましたが、あの「港の人たちの商売っ気」もあるある、だそうで。港に暮らす人々のたくましさも、地元出身の方なら肌感覚でわかるんでしょうね。

登場人物も、背景も、地元出身でないと気が付かない細かい描写がたくさんあって、丁寧に取材されてたんだろうなあと感心してました。

橋と定期船、ウミネコの行方

面白かったのがウミネコの話。

島と気仙沼に橋がかかる前、ドラマの最初の頃にみーちゃんとお父さんが、通勤通学で定期船に乗っているシーンがあったと思うのですが、Mさんもリアルに定期船で高校まで通っていたそうで。

船からウミネコにエサをやるのが恒例行事?だったんだとか。

かっぱえびせんをあげると寄ってききて。結構近いところまで来るとウミネコ、結構コワいのよ(笑)。橋がかかって定期船が無くなり、あのエサをもらいにきてた大量のウミネコたちは今どうしてるんだろう…。

ちなみにウミネコは生物学的にカモメの仲間。カモメは渡り鳥だけどウミネコは渡らない「留鳥」。こちらのサイトには、漁師には「漁場を教えてくれる鳥」として大切にされてきた、とあります。ウミネコたちも、空や海と共にモネ達と気仙沼と共に生きてきたんですね。

かもめはかもめ。ひとりで空を行くのがお似合い~♪by美波さん の気仙沼のカモメ、もといウミネコたち、いつか行って確かめてみたい。

ウミネコ 美穂さんより

Mさんが送ってくれたウミネコ写真。
モネのいる亀島、もとい大島行の船から撮ったそうです。
めっちゃいるよ!ウミネコ!

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橋や船の距離感がつかめなくて、どれくらいの距離なんですか?と聞くと、橋も便利なんだけど、船なら20分くらいで行ける距離が、ぐるっと回って行かなきゃいけないんだよね~とのお答え。モネも橋を使って車で毎日通勤していたんですよね。

ビデオ切り出し画像 気仙沼橋 美穂さんより

こちらもMさんが送ってくれた写真。気仙沼に向かう大橋の車からの写真。ってことは、毎日コミュニティFMに通っていたモネ目線ですね。

こうやって地元の方の話を聞いてると、モネの世界が立体的になり、深掘りできてる感じがして嬉しい。本当に感謝です。

何もできないと感じたモネは自分

Mさんの周りでは、ドラマへの否定的な声はほとんど聞かれなかったと言っていたけれど、わかりにくい、共感しにくい、という声もたまに聞いていたので、地元ではどんな風に受け止められていたのか、は今回、聞きたかったことのひとつでした。この問いにこんな風に答えてくれました。

地元出身だからこそ、関東にいて何もできないと思っていた。
すぐにでも飛んでいきたいけど行けないくやしさ、不甲斐なさ。

だからモネの気持ちはよくわかる。
あの時、何もできないと感じていたモネは自分。
10年経ったから描けることがある。
10年経ったからこの物語を描く意味がある。

モネに自分の中の痛みを見て、モネと一緒に勇気づけられ、ドラマに力を貰えた方はきっと多かったのではないかと思う。

ドラマがずっと描いてきた

当事者じゃないから、できることがある

というテーマも、すぐ現地に帰れなかった地元出身者の想いも、当事者でない私たちの想いもすくいとってくれるものだった。地元出身のMさんにドラマが寄り添ってくれていたようで、良かったなと思いました。

なくなったものは戻らないけれど

詳しくは書きませんが、気仙沼、大島にあの日起こったこと、ドラマの背景になっていることも話してくれました。そこにはたくさんの想いがあって。

前を向いて頑張っている方も多いけれど、頑張ることでしか当時は前を向けなかった方、新次さんのようにまだ深い悲しみの中にいる方、忘れたいと思っている方、いろんな立場の方がいて。それをひとくくりにすることはできないし、もう大丈夫、と言いたい方もいる一方、もう大丈夫、なんて言って欲しくない、という方もいて。

Mさんのこの言葉が心に残りました。

なくなったものは戻らないけど、じゃあそこからどうする?という問いのひとつの回答が、このドラマだったんじゃないかと思う。忘れなくてもいい。立ち直らなくても一歩踏み出せることはできる。主題歌のように、心はまだまだやじろべえのように揺れながら生きていくってことなんじゃないかな。

ゼロか100かってことではなくて。

朝ドラでしかできないこと 表現とは

Mさんも自分も、何年もエンターテイメントに関わる仕事をしていたこともあって、エンターテイメントができること、朝ドラだからできること、についても話をしました。

ドラマを作るって難しい。何か伝えたいことがあっても、届けたい人に届けるために「わかりやすさ」というのは大切で。伝わらなかったら意味がないし。でも観た人全員に100%伝えるのは無理で。

映画だったら2時間の中で展開に緩急をつけることになる。(緩急のない映画もあるけど) 朝ドラは15分毎日放映で、半年の中で、1週間の中で、1回の放映の中で、視聴者を惹きつけるために緩急をつけなければいけない。だから朝ドラを作るって、ワンクール3か月で終わるドラマとは違う苦労がたくさんあるのだと思う。

きっとすごく計算して作っているんだと思う。その上で計算以上のものが生まれる。予想外の盛り上がりを見せた#俺たちの菅波 みたいに(笑)。

朝ドラって本当にすごいよね、という、ありきたりだけど、ここにつきるな、という話をいっぱいしました。

モネの世界が届けてくれたこと

ここのところの朝ドラでいうと、「おちょやん」「エール」「スカーレット」「なつぞら」…物語の中で事件がありまくりだった。でも「おかえりモネ」は、物語の中に劇的な事件はなくても、モネを中心に登場人物の繊細な心の機微を丁寧に描くことで、大切なメッセージを心の中に残してくれたドラマだと思う。震災そのものが大変な出来事だから、それ以上の事件はいらない。新次さんが荒れた、とか、みーちゃんとモネの溝、などはあったけど、それは心の問題。だからこそ誰もの心の中にある問題として受け止められたのではないかな。

もちろん、いろんな意見も受け止め方もある。ドラマ制作サイドは、共感できない、わからない、などいろんな受け止め方があるのは承知で、丁寧に丁寧に物語を構築していったと思うのです。

でも響く人にはとても響いた。

モネはわたし。モネはみんな。そして地元には、あの場所には、たくさんの美波さんがいる。たくさんの新次さんがいる。そういうことを、当事者じゃなくても想像するきっかけにドラマがなっていたと思う。

Mさんの地元出身だからこそ、の言葉、響きました。以前のnoteで、このドラマは想像力も届けてくれた、と書きました。

あなたの気持ちはわからない。でもわかりたいと思っています

この菅波先生の言葉、そして想像力を忘れずにいたい。

エンターテイメントだからできること

震災のとき、エンターテイメント界では「エンタメは何の役にもたたない」という無力感が漂いました。コロナ禍でもエンターテイメントは不要不急ではないか、と再び存在意義を問い直すような事態にも陥りました。

Mさんが当時を振り返って、こんなことを話してくれました。

震災のとき、気仙沼にもたくさんのエンターテイメントに関わる方たちが慰問に来てくれた。クラシックにポップス、その辺の広場で、体育館で、こんな有名な方が!というようなミュージシャンが来て、多種多様なジャンルの音楽を聞かせてくれた。著名な方と地元の繋がり、音楽を通して生まれた絆がいっぱいあった。それってすごく貴重な体験で。いっときでもつらいことを忘れたり、音楽に勇気づけられたことっていっぱいあった。

「音楽なんか何の役にもたたない」と音楽を封印してしまったモネが、音楽っていいな、と素直に想えるようになって、音楽と再会した最終回。音楽にもおかえりモネ。仲間に囲まれていい笑顔でしたね。

音楽でお腹を満たすことはできない。でも食べる気力もないときに、ちょっと食べてみようかなっていうガソリンになってくれるってことは、多分にあると思うのです。映画や演劇のエンターテイメントもしかり。

ちなみにMさん自身も数年前から、中断していた楽器を再開したそう。音楽に再び向き合えるようになったモネに重ねて、こんなことも言ってました。

楽器を自分で弾くっていろんな効用があって。音楽って人に聞かせるだけじゃなくて、弾いてる自分にも響く。自分で奏でる音って自分が一番聞いているんだよね。自分の耳で聞いた音が沁みわたっていく。その時間がいい。うまいヘタは関係なく。

モネも音楽で少しずつ、また違う心の音色を響かせていけたらいいな、とモネの未来にも想いを馳せつつ。

音楽は何の役にも立たないのか?という問いかけは、ドラマを含むエンターテイメントは本当に何の役にも立たないの?という問いかけを、ドラマそのものから問いかけていたのではないか、というMさんの話を聞いて、なるほどそうかもしれないなと思いました。

ドラマだからできることがある。
フィクションだからできることがある。
伝わることがある。
癒されることも、勇気をもらうこともある。

そんなことを熱く語っていたら、すっかり日が暮れてしまいました(笑)。どんだけ盛り上がれるんだモネトーク! でもMさん、地元の方ともこんなに「おかえりモネ」について語ったことなかった! たっぷり話せて楽しかった! 話すことで見えてきたこともあってよかった! と言ってくれて嬉しかった。

人に話すことで、心がほぐれることもある、というシーンもドラマの中ではいっぱいありましたね。

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地元の話から、エンタメの存在意義まで、思わぬ広がりを見せたこのnoteも、ようやくここで終わります。6000字超。こんな長文を読んでくださった方には本当に感謝します。貴重な時間を使ってお話聞かせてくれたMさんにも心から感謝。

そういえば、年末に「おかえりモネ」総集編が放映されるそうですね。それまで、またときどきモネについて書くかもです。よかったらまたお付き合いくださいませ。

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