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ネット論客はなぜ早慶がやたら多いのか???

 ネットの世界は実社会で何者にもなれなかった負け組の人間が行き着く先なんて言われることがある。確かにその見方は間違いではないのだろう。ただ、ネット論客にはしばしば顕著な特徴がある。それは妙に高学歴が多いのである。

 例えば筆者の思いつく範囲で考えてみよう。麻布競馬場は慶応。窓際三等兵は早稲田と見せかけて慶応。白饅頭も慶応。小山(狂)もおそらく慶応と思われる。トイアンナも慶応。戦記は早稲田。イケダハヤトは早稲田。借金玉も早稲田。じゅそうけんも早稲田。なんだか早慶が多くないか???

 ネットの海に参戦する人間は玉石混合のはずだ。ところが有名ネット論客に限るとなぜか高学歴が目立つのである。だいたい早慶旧帝からMARCHとか関関同立あたりがボリュームゾーンだろう。ちょっと不思議だ。その他大勢の海からのし上がってきた人間を見てみると、結局似たようなメンツだっということになる。ネット論客は言語能力が必要とされ、それ以外はあまり必要とされないので、高学歴の人間にはうってつけなのだろう。

 一方でネット論客の適性と学歴の相関は早慶旧帝で頭打ちと思われる。その上の東京一工クラスになるとそこまで見かけない。京大卒の青識亜論とか、一橋卒のちきりんとかだろうか。東京一工でネット論客をやっている人間は存在するだろうが、存在比が早慶旧帝クラスよりも高いということはなさそうだ。学歴による「有利さ」はここで打ち止めとなる。

 早慶旧帝で頭打ちというのは、面白いことに実社会で言われる話とよく似ている。エリサラの世界でも、早慶旧帝辺りで頭打ちであり、そこから上はあまり決定的な役割を果たさない。ネットの海は実は実社会とあまり変わらなかったのか??我らが東京大学の出身者は受験戦争での圧倒的なパワーにも関わらず、ネットの海では地味である。

 こうした現象の理由を考えてみよう。筆者の考えでは、ネットのメディアとしての性質が強い要因となっていると思われる。メディアは伝統的に早慶が強かった。マスコミで活躍している人間を考えると明らかだ。メディアという業界が早慶閥なのだ。

 ネット論客に求められるのはインテリではない。準インテリである。メディアの関係者にとって価値ある存在はインテリというよりも準インテリであり、ネット論客も同様なのだ。

 筆者はインテリに求められる肩書について以前考察したことがある。ただし、実際の高学歴有名人の多くはインテリとは違った立場で活動しているだろう。例えば中田敦彦やカズレーザーのような人物だ。インテリとは言い難いが、一般人よりも知的能力を誇っている。こうした立場が準インテリだ。 

 インテリは実社会で大学教授などの肩書があるケースが多く、その分内向き志向が強い。あまり不用意な発言はできないし、内容も専門性が高すぎる。ネット論客のような場所は実社会では議論しにくいマージナルな内容が盛んであり、この点で準インテリの方が本質的に相性が良い。

 また、準インテリの方が権威性は低い反面、共感性がインテリよりも得られることが多い。世間との距離の取り方において、インテリは「向こう側」の人間として捉えられる。東大王のような番組を見れば明らかだ。自分とは違う人間として消費しているので、インテリの側も世間とは違った特殊な才能や価値観を押し出すようになる。ところが準インテリの場合は世間とインテリの橋渡し的な立場に立つことができるので、メディアにおいては非常に有利なのだ。インテリが学者とすれば準インテリは人気の教育者と考えれば良い。インテリが常に世間と隔絶していることを求められるのに対し、準インテリは世間と繋がっていることを求められるのだ。

 東京大学の出身者は準インテリになる人間は少ない。ネット論客に東大出身者をそこまで見かけない理由だろう。東大卒はとにかくインテリになりたがる。色々な意味で東大卒は世間からズレているので、準インテリにはことごとく向いていないのではないかと思う。東大卒は世間とは違った立場からものを考える「キャラ」が期待されることが多いし、実際にプライドや発達障害等の理由で世間と同じ目線になれないことが多い。良い意味でも悪いい意味でも普通ではないのだ。もちろん一般企業でごく普通の人間として暮らしている人間も多いが、彼らは今度は「クセの強さ」のようなものがないので、ネット論客には向かないだろう。

 また、言論人という業界も早慶辺りで学歴との相関は頭打ちと思われる。作家やジャーナリストを考えれば解る。一つは一工以上の大学に行く上で必須となる数学力が言論人としてそこまで生きないという事情もあるかもしれない。ただ、それでもインテリという肩書の領域ではあるので、東大出身者はかなり多い。

 ネット論客やメディア業界において、早慶クラスの学歴は一番ベストフィットする可能性が高い。頭が良く、権威性があり、なおかつ世間からズレないという強みがあるのだろう。

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