「静かな退職」の秘訣⑤、恋人を作れ!!

 今回も「静かな退職」の続きである。これを読んでくれている皆さんはすっかり「静かな退職」の素晴らしさについているはずだ。現代の日本経済は停滞しているし、仕事を前向きに打ち込めているのは一部の幸運な人だけだ。多くの人は中途半端な方針で生きているために職場によって人生をがんじがらめにされている。生き方が多様化した現代社会では周囲に流されずに戦略を立てたもの勝ちだ。特に職場以外の人間関係が疎遠な社会人諸氏は尚更慎重に情報を集める必要があるだろう。

 今回は恋人を作ることの大切さである。最近は結婚願望や出産願望を持っている人が激減しているが、私はこの潮流に極めて懐疑的だ。というのも、人生のいちばん大事な柱を放棄してしまうからだ。70歳や80歳となった時のことを考えよう。あなたの周りにいてくれるのは誰だろうか?上司?同期?取引先?いや、家族に違いない。何もしないと家族は死に絶えていくので、結婚出産等でどんどん増やしていく必要がある。老いては子に従えとも言う。人生のゴールにおいて自分の効用に繋がるのは肩書でも権力でもなく、家族なのだ。

 また、家族は生きがいにも繋がる。静かな退職を志している皆さんは仕事に関して何の思い入れもないだろう。しかし、人間は生きがいを失った状態では廃人になってしまう。心の減衰を食い止めるには家族や恋人のような自分が積極的に打ち込める対象が必要だ。楽しみや創造性を仕事に見出す必要はない。というよりも、仕事にプラスの効用を見出すことは非常に難しい。それよりも別の対象を見つけたほうがいい。しばしば昭和のサラリーマンに仕事のモチベを聞くと「家族を養うため」と言う。この答えから導かれるのは仕事が収入を得る手段であること、自分にとって真に重要なのは家族であることだ。

 この点、日本のサラリーマンは大変な優位にある。まず会社が潰れないし、クビにもならない。福利厚生や社会保障も手厚い。キャッシュフローがとにかく安定しているので、家庭生活には非常にメリットが大きいのだ。

 もう1つの理由は外部から見た時の肩書だ。静かな退職を決めている皆さんは職場であまり魅力的な人間とは思われていないだろう。周囲の目線を気にしていたら静かな退職は困難だ。しかし、会社を一歩出れば違う。やはり安定した会社に勤めている人物は非常に魅力的だ。社会的信頼に関しては最強に近いと思う。

 社外の知り合いにとってはあなたの仕事ぶりがマジメかどうかは関係のない話だし、職業的成功が良いものとも限らない。芸能人や政治家は非常に不安定で一般人には起こり得ない不都合が多々存在する。恋人目線ではそうした成功者よりも堅実なサラリーマンの方が付き合いやすいと考えることもあるだろう。サラリーマンは外に出た時のメリットがかなり大きい。幸福な家庭生活を続けるために制度があるようなものだ。皮肉なことに、サラリーマンが一番会社勤めの良さを実感できないのは会社の中である。

 恋人の存在は人生の幅を広げることにも繋がる。上司や同僚と会話をしていも話題は仕事の愚痴か食べ物の話が関の山であり、大した情報は得られない。多くのサラリーマンが流行や趣味に疎くなるのはこれが原因だ。しかし、恋人を作れば自分1人では思いつかなかった色々な発想や、新奇の趣味に関して情報交換することができる。これがいかに人生にとって大事かはい言い尽くせそうにない。

 少し前までは社会人の出会いは職場が主だった。婚姻数の半分近くが職場関係という時代もあったようだ。しかし、現在はライフスタイルが多様化しているので、職場に拘る必要がない。静かな退職のデメリットは職場でモテなくなることであり、これは昭和であれば大きな損害だったが、現代は別のところで恋人を作ればいい話だ。昭和のサラリーマンが出世競争に邁進していたのは実は「モテ」が原動力だったのかもしれない。令和のサラリーマンはモテる必要がないので、静かな退職を渋る必要は薄れる。

 中にはLGBTの人もいるだろうが、交際を渋る必要は全くない。むしろ大々的に活動するべきだ。LGBTの人たちは一般人以上に一般企業で苦しい思いをしているのだろうから、ここぞとばかりに交流していることだろう。

 恋人を無理して作らなくてもいいかな、と思う人物は仕事に前向きな人だ。このような人の場合は仕事に打ち込むことで人生の充実度が上がるし、上昇志向が強いから、若い間は余計なところにエネルギーを分散させたくないだろう。彼らが悩むのはキャリアが下り坂に差し掛かる中高年以降だ。この時点で後悔しても遅いので、計画的な人生プランが必要だ。

 

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