なぜ上位進学校は男子校が多いのか

 日本に存在する高校の殆どは共学校で、男子校はじつは98校しか存在しないらしい。男子校は全高校の2%しかない希少種である。
 その珍しい男子校だが、奇妙なことに東大合格者ランキング上位にランクインする有名進学校は殆どが男子校である。
 例えば御三家の開成麻布武蔵は皆男子校だし、神奈川御三家の栄光聖光浅野も男子校だ。他にも海城、駒東、巣鴨など伝統ある有名進学校は別学ばかりである。関西でも似たようなもので、灘を筆頭に東大寺学園や大阪星光学院などやはり男子校が多い。
 公立進学校でも県下一の浦和高校や高崎高校はやはり男子校である。

なぜ男子校は上位校ばかりなのか?私はその理由を「上位進学校以外は共学化の波に抗えなかったから」だと考えている。

 昔は今よりも遥かに男子校が多かった。しかし少子化で生徒の募集が困難になると定員割れを防ぐために女子を入れて共学化しようとする私立学校が増えたのだ。必ずというわけではないが、偏差値の低い学校ほど、また人口が少ない地域の学校ほど共学化に舵を切る傾向が強い。

 一方、開成や麻布などの有名進学校は圧倒的なブランド力がある。したがって生徒を集める力が強い。これらの学校は今の所共学化する必要がないのである。
 私立学校は皆建学の理念があり、伝統を変えることを良しとしないものだ。有名進学校は別学の伝統を維持するだけのパワーがあったのである。

共学の学校は男女交際にかまけて勉強をおろそかにするのではないか?という意見もあるかもしれない。しかし渋幕や筑附などの共学進学校は別学と遜色ない結果を出している。そもそも現在に開成に匹敵する実績を叩き出していた1960年代の日比谷も共学だった。共学校は女子が多いため見かけの東大進学率は低くなるが、「共学校に行くと学力が下がる」といった現象は見られないのである。

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