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フィリピンのクレジットカード事情。普及率、発行会社、日本とは違う独自のシステムを紹介

フィリピンの会社で働いて、驚いたこと。
それは、未だに給与を手渡しでもらっている人たちがいたことです。

給料日になると、フィリピン人がHR(人事経理部)に列を成して、一人一人手渡しでもらっている光景を見ると、なんとも効率が悪い国だと思ってしまいます。

並んでいる時間も勿体ないし、会社側からしても大金を用意しなくてはいけないリスクもあるのに、何故手渡しなのかと疑問しかありませんでした。

しばらくすると、その会社も合理的ではないと思ったのか、今度は小切手を社員に渡すようになり、その小切手をもらった社員は、銀行の窓口でお金を受け取れるようになりました。

ただ小切手をもらうために、またしてもHRに行かなくてはいけませんし、責任者は一人一人の名前と金額を手書きで書いた小切手を、給料日までに用意しなくてはいけません。

日本人からしたら、なんとも不合理な国ですよね。

そう、フィリピン人は日本人が当たり前に持っている「銀行口座」を持っていないからなのです。

1.フィリピンの銀行口座とクレジットカード保有率

2019年9月の情報によると、フィリピンで銀行口座を持っている人の割合は、なんと25.1%しかありません。
4人に1人しか持っていない計算になります。

クレジットカードの保有率に至っては、たったの5%です。

理由は、所得が低いから口座に預けるお金がないということと、転職率が高いため、口座を作っても意味がないからだと思います。

2.フィリピンのクレジットカード発行会社

日本では、マルイのエポスカードだったり、楽天の楽天カード、JR東日本のビューカードだったりと、クレジットカード会社が多数あり、色々なバリエーションの中から、自分の用途や目的にあった好きなカードを選ぶことができます。

それに比べて、フィリピンの場合、銀行が発行したクレジットカードしか存在しません。

銀行口座の保有率が25%、クレジットカード自体の保有率が5%しかなければ、日本のように一般企業が参入してもメリットはないですからね。

銀行口座を保有している信用力のある人に、銀行自体が審査をして、クレジットカードを発行しているのがフィリピンの特徴になります。

支払い口座もそれぞれの銀行ごとに分かれるため、日本のように何十枚というクレジットカードを保有することは、あまり建設的ではなく、多くても3.4社くらいではないでしょうか。

3.与信を集めるセキュアカード

フィリピン独自のシステムとして、予め担保を入れておくセキュアカードというものがあります。

これはAUB、BPI、Metrobank、RCBC、Security Bankで行っているのですが、銀行口座の開設時に予め決められた金額以上を預けると、その金額の約80%から95%がクレジットカードの利用額として使用できるという制度です。

デビットカードとは少し違い、口座開設時に預けた金額はセキュアカードを解約するまで引き出すことはできません。

例えば、RCBCは最低10,000ペソからの保留預金でセキュアカードを発行でき、保留預金の90%である、9,000ペソをクレジットカードの限度額として利用することができます。
あとは通常のクレジットカードと同じように使用をして、使った金額分を、請求期日までに支払うという流れです。

所謂、信用力がない代わりに、担保を最初に支払えばクレジットカードが持てるという制度になります。

そしてRCBCの場合、20,000ペソ以上を保留預金として預けておくと、セキュアカードを使い続けているうちに、与信が上がっていき、本物のクレジットカードを持てるようになります。

これがセキュアカードのいいところです。

各銀行ごとに名称や預金金額は異なりますので、ロックダウン後に実際に検証してみたいと思います。

4.まとめ

フィリピンは日本に比べ、まだまだクレジットカードの普及率は高くありません。

ただ、セキュアカードなど独自のシステムもあるため、自営業やフリーランスで働く方などもフィリピンでクレジットカードの作成は可能です。

今後、随時更新していきますので、何かご質問などありましたら、お気軽にTwitterのDMよりご連絡ください。



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