せせらぎ池生物多様性保全活動の紹介|文系卒の私が運営する、地域の生物多様性保全活動
私は、2023年の6月から、川崎市多摩区にある二ヶ領せせらぎ館という施設において、施設に隣接する「せせらぎ池」という多摩川のワンド周辺を対象に、主に外来種の防除を対象とした生物多様性保全活動にボランティア参加していて、途中から運営メンバーとして関与し始めました。
今回は、少しでも多くの方にこの取り組みを知っていただくために、なぜ私がこの活動にかかわるようになったのか、そしてこれまでの活動をまとめたいと思います。
活動の概要
活動の主な概要は以下のとおりです。
日時:毎月第一土曜日 9:00~
場所:二ヶ領せせらぎ館(〒214-0021神奈川県川崎市多摩区宿河原1丁目5-1)
活動内容:①せせらぎ池周辺の生物多様性保全活動、②講演会・体験会等
参加費:基本無料(一部体験会では参加費あり)
大体こんな感じで活動しています。
二ヶ領せせらぎ館は、川崎市が「NPO法人多摩川エコミュージアム」に委託して管理されている水防対策施設です。
施設の一部を用いて、防災、環境、歴史、文化に関する学習などの、情報発信拠点として、多摩川の魚を展示したミニ多摩川水族館や、多摩川地域の再現地図の展示のほか、月ごとに変わる様々な企画展示が行われています。
お手洗いがあったり、座れるスペースがあったりと、多摩川を訪れるランナーや自転車乗りの憩いの場になっています。
なぜ運営メンバーになったのか
生物多様性保全といえば、運営者は生物の研究をしていた方が多い印象かもしれませんが、なぜか運営者としてかかわることができています。
この活動がはじまった2023年6月、私はボランティアの一人として、活動に参加していました。
保全活動は昔から関心があったので、活動を心から楽しんでいたと思います。その後も、かかわり始めた地域の変化を知りたいという思いで、ほぼ毎月ボランティアにかかわり続けていました。
転機があったのは2023年10月頃。この活動を継続するため、助成金を取ろうという話が出たのがきっかけでした。
この時には運営メンバーともかなり近づいていて、運営のお手伝いをするようになっていましたが、助成金を取るにあたり、「法学部卒なら助成金のことも書きやすいんじゃない!」という良く分からない勧誘を受け、助成金申請書の編集に関与することになりました。
案の定、助成金の申請に法律の知識はほとんど必要ありませんでしたが、これのおかげで本格的に運営者として活動に関与できるようになったのです。
ただ、法律の知識はあまりにも関係が無かったので、今思えば、活動的な若者を運営に引き込みたいというニーズに合ったということなのかもしれません。
やりたいことに関わる上で大事なことは、運営者と仲良くなるコミュニケーションと、ノリと勢いだと思っています。
活動の経緯:せせらぎ池生物多様性保全活動
ここからは、保全活動のこれまでの経緯を書いていきます。
アレチウリ防除
一番最初に取り組んだのがアレチウリの防除です。
環境への悪影響から「特定外来生物」にも指定される植物で、かなりの速度で繁殖して、他の植物を覆いつくしてしまいます。
せせらぎ池、そして多摩川流域でもアレチウリは問題視されており、定期的に防除活動が行われています。
活動開始から5か月くらいはアレチウリの防除を中心に活動していました。
最初は私も含め、植物の判別ができていませんでしたが、次第に皆がアレチウリの特徴を覚え、効率的に防除していきました。
現在も見つけては防除を行っていますが、最初の一年と比較して明らかに株は減っているように感じます。
オオフサモ防除
2023年10月頃から取り掛かったのがオオフサモの防除。
こちらもアレチウリ同様に特定外来生物に指定され、その繁殖力が問題となっています。
オオフサモは鑑賞植物としてパロット・フェザーの名でも知られる水草で、せせらぎ池内や本流に面した岸で多く見つかりました。
水草は水を吸いまくって重く、防除もなかなかハードですが、見つけては回収を繰り返し、2024年3月頃には概ね防除ができたように思います。
ですが、今でも見つけては防除を繰り返しており、今後も上流から流れてきて増える可能性は高いので、継続して注意が必要です。
ホテイアオイ防除
こちらもオオフサモ同様、2023年10月頃から防除を開始しました。
金魚鉢に入れる植物として、一度は見たことのある方が多いのではないでしょうか。
こちらは特定外来生物ではないものの、生態系被害防止外来種リストにて重点対策外来種に指定され、繁殖能力の高さが問題視されています。(外来生物には色々な区分があって分かりにくいですね…笑)
皆様も、家で育てているホテイアオイは絶対に外に捨てないでください。
池や川岸で浮いているホテイアオイを拾っては袋に詰めて回収し続けています。
ですが、上流から流れる数が多いのか、数は明らかに減っているものの、まだまだ防除しきれていません。
アイオオアカウキクサ防除
2024年2月頃から一番苦戦して、そして唐突に終わりが見えてしまったのがこの植物。
とても小さな浮草ですが、非常に成長が早く、冬に見つけた際は小さな群落でしたが、初夏にかけて一気に増加して、せせらぎ池全面を覆ってしまいました。
旺盛な繁殖力による環境への影響はもちろん、ウキクサが覆った水面を陸地と勘違いして足を踏み入れた方が命を失う悲しい事故も発生しています。
時には総勢60人以上と大人数で1日500kg以上の防除を行いながらも全く効果がでず、苦戦していました。
転機は2024年8月31日〜9月1日。
台風10号の襲来です。せせらぎ池が氾濫に巻き込まれ、池を覆うほどだったアイオオアカウキクサはほとんど流され、水面がしっかり見えるようになったのです。
自然の力は本当に偉大ですね…。
アイオオアカウキクサは今もひっそりと生き延びているので、増えすぎないよう定期的に回収を続けたいと思っています。
今後の展開について
大体こんな感じで活動を続けています。
この活動を通して、絶滅が危ぶまれている植物を含め、貴重な在来の植物たちを守っていこうとしています。
今は外来生物の防除が中心ですが、より豊かな環境につながることは、もっともっと、なんでもやりたいと考えています。
防除だけでなく、土地整備を含めた希少な植物の生息環境を作る活動や、対象地域の拡大ができたらいいですね。
今後も、生き物に優しい環境を目指して、色々頑張っていきます。
フィールドでの保全の他にも、講演会や体験活動を行っているので、そのうち他の活動をまとめた投稿もしようと思います。
少しでも関心を持っていただけたら、また読んでいただけると、そして是非、多摩川にも遊びに来てもらえるととても嬉しいです!
ではまた!