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【解釈多め和訳】The search/NF

■不安との葛藤の決着

今回はNFのThe searchを訳します。

この曲を知ったきっかけは中国のChuang2021(创造营2021)という番組です。韓国発アイドルオーディション番組「PRODUCE 101シリーズ」の中国版として「中国版プデュ」と呼ばれたりします。あまり男性アイドルには興味がなかったのですが、たまたまYoutubeを流していたら見つけました。

出場者はグローバルですが、日本人の若手も多数参加しており、ルックスだけでなくパフォーマンスのレベルが高く、今注目している番組です。

そんな中、Caelanという人がカバーしていてこの曲を知りました。

自己の抱える不安に対して言葉で連続的に殴るようなイメージを与える一方で、その葛藤から脱却するどこか前向きな印象を受ける曲です。

[Verse]
"Hey, Nate, how's life?"
I don't know, it's alright
I've been dealin' with some things like every human being
And really didn't sleep much last night
"I'm sorry," that's fine
I just think I need a little me time
I just think I need a little free time
Little break from the shows and the bus rides, yeah

「ネイト、最近どう?」
うーん、元気だよ
「みんな」と同じようにやってるよ
昨日よく眠れなかっただけ
「お気の毒に」 大丈夫だよ
少し時間が必要なんだと思う
少し自由な時間が必要なんだと思う
ステージの上とかバスの中から離れる時間が

・Nate…NFの本名。Nate Feuerstein。次世代のエミネムと呼ばれるラッパーである。
・この曲を通じて、Nateは「How's life?」というテーマを自問自答していく。日本語に直訳すると「人生はどう?」と結構重めな質問だが、実際には「最近どう?」ぐらいの軽いノリでもよく使われるようだ。この曲の雰囲気には、前者の日本語的なニュアンスの方がよく似合う。
・「進むべき道への迷い」「現状の自分への嫌悪とそこからの脱却」を扱った曲である。「自分が何を求めているのか?」について自分の内面と討論・葛藤する様子を描いている。

Last year I had a breakdown
Thoughts tellin' me I'm lost gettin' too loud
Had to see a therapist, then I found out
Somethin' funny's goin' on up in my house
Yeah, I started thinkin' maybe I should move out
You know, pack my cart, take a new route
Clean up my yard, get the noose out
Hang up my heart, let it air out

去年は「落ち」ていた
「お前は迷走している」と言う頭の中の声が大きくなってくるんだ
カウンセリングを受けてみて分かった
「家」の中で面白いことが起きているって
だから「家」を出ていこうと思い始めたんだ
車に荷物を載せて、新しい道を行く
庭を綺麗にして、車からロープを垂らす
僕の心臓を吊って、風に当てる

・「家」はNateの頭の中である。過去のアルバム"Mansion"で邸宅は彼の思考と葛藤を意味していると同アルバムのPVで述べている。
・別の曲で当時自殺衝動があったと述べており、「去年」は彼にとって良くない時期だったと思われる。
・ロープ、心臓を吊るなど自死を想起させる単語が使われているが、ここでは自分の本心をさらけ出し、「これまで」から決別する前向きな覚悟を感じさせる。

I've been searchin'
"What does that mean, Nate?" I've been learning
Grabbin' my keepsakes, leavin' my burdens
Well, I brought a few with me, I'm not perfect
Lookin' at the view, like this concerns me
Pickin' up the cues, right? I'm quite nervous
Hate it when I lose sight, life gets blurry
And things might hurt me
It's prolly gonna be a long journey,

今も探している
「ネイト、それはどういう意味なんだ?」学び続けているっていうことだ
大事なものだけしっかり掴んで、重たいものは置いてきた
いや、ちょっとは持ってきた、僕は完璧じゃないから
外の景色を見てると、不安になってくる
分かるだろう? 今凄く神経質になってるんだ
先が見えなくて、人生がぼやけていくのに耐えられない
あらゆる「物事」に自分が傷つけられていくようだ
長旅になるだろう

・MVで、重たい物と言いながらNateは風船を指さしている。風船を重荷の比喩として用いるのは皮肉的である。軽くて浮き上がるから、「重荷」とは本来真逆のはずだ。「重荷」は本質的にはそれほど「重たい」ものではなかったことを示唆しているのかもしれない。
・「重荷をちょっとだけ持っていく」というのが後々の伏線になっているようで面白い。
・この辺りからトランジション(強い音による区切り)が入る。少しずつ語気が荒くなっていくのが分かる。


but hey It's worth it, though
Cold world out there, kids, grab your coats
It's been a minute, I know, now I'm back to roam
Lookin' for the antidote to crack the code
Pretty vivid; I admit it, I'm in classic mode
Don't need pity given to me, but I can't condone
Talkin' down to me, I'ma have to crack your nose for crackin' jokes
I'm lookin' for the map to hope, you seen it?

でも、その価値はあるんだ
外の世界は寒いから、コートは持ってきなよ
少し遅くなったけど、ようやく戻ってきた
「問題」を解決する策を探してる
世界が綺麗だ、分かるよ、自分でもおかしくなっている気がする
別に哀れんでもらわなくてもいいよ、でも僕は容赦しない
見下しているんだろう、ふさげていると鼻を折るぞ
希望へと続く地図を探してるんだ、見なかったか?

・「外の世界は寒い」と言うフレーズは僕のお気に入りのEd Sheeranの"the A team"という曲を思い出させる。
・「世界が綺麗だ」というようなフレーズがラップに登場する場合、基本的にはLSD等のケミカル的な作用をイメージさせる。
・" I'm in classic mode"を「僕は典型的なんだ」と訳している人もいる。これはみんなが共通で抱えている課題であることを主張しているとも読める。

Been makin' a whole lot of changes
Wrote a song about that, you should play it
I get scared when I walk on these stages
I look at the crowd and see so many faces, yeah
That's when I start to get anxious
That's when my thoughts can be dangerous
That's when I put on my makeup and drown in self-hatred
Forget what I'm saying, and—
Where'd the beat go?

これまで全部変え続けてきた
それについての曲も書いたから、聞くべきだよ
ステージに上がっていると怖くなる
たくさんの顔が自分を見ているのが見える
その時不安になるんだ
その時に考えが危なくなるんだ
その時に僕はメイクをして自分が嫌いになるんだ
今僕の言ってることは忘れてほしい、それでー
ビートはどうした?

・「それについての曲も書いた」とは2019年6月にリリースすることになる"Change"を指していると思われる。彼にとって「変わる」ことが人生のテーマなのだろう。
・"why"という曲でも"too many faces"というラインが出てくる。2017年に大ヒットした"let you down"から環境が大きく変わり、人気が出た状況に対して並々ならぬ苦悩を抱えてきたのだろう。


Oh, ain't that somethin'?
Drums came in, you ain't see that comin'
Hands on my head, can't tell me nothin'
Got a taste of the fame, had to pump my stomach
Throw it back up like I don't want it
Wipe my face, clean off my vomit
OCD, tryna push my buttons
I said don't touch it, now y'all done it

やばくないか?
ドラムの音が入ってきた、君には予想できなかっただろう
頭を抱えて、僕には何も言えないだろう
名声を味わったら、胃が逆流してくる
それが欲しくないものかのように吐き出したら
顔を拭いて、掃除する
OCDが僕のボタンを押す
触るなといったが、君はもうやってしまった

・NFは「名声嫌い」のラッパーで知られる。名声は一見お腹を満たし満足させるものであるかのように見せて、むしろ胃の中を空っぽにさせる毒物だと言っている。
・OCD=強迫性障害。強迫観念(無意識に頭に浮かんでくる不安や不快)と強迫行動(強迫観念を振り払うための行為)の両方から成り、社会生活に著しい悪影響を与えるものを指す。

I can be critical, never typical
Intricate with every syllable, I'm a criminal
Intimate, but never political, pretty visual
Even if you hate it, I'll make it feel like you're in it, though
You call me what you wanna, but never call me forgettable
Leave you deep in thought, I could never swim in the kiddie pool
Way that I been thinkin' is cinematic, it's beautiful
Man, I don't know if I'm makin' movies or music videos (Videos, videos)

僕は重要になれる、その辺のとは違う
全部韻を踏んでいく僕は犯罪者だ
親しげだけど、政治的ではなく、目に見える
もし君がそれを嫌いでも、引き込んで見せるさ
好きに呼んでくれていいけど、忘れたとは言わせない
君を思考の深くに置いていく、僕は子ども用プールでは泳げない
僕の考え方は映画的で、美的で、
映画を作っているのかMVを作っているのか自分でもわからないんだ

・NFのMVはストーリー性を持っていると評価されることが多い。自身でもより「映画的」なMVを作りたいと語っている。
・このパートから倍速で韻を畳みかける。「言葉を詰め込んでいる」感がより強くなる。韻と内容、フローが両立されているところがこの作品の魅力の一つである。


Yeah, the sales can rise
Doesn't mean much though when your health declines
See, we've all got somethin' that we trapped inside
That we try to suffocate, you know, hopin' it dies
Try to hold it underwater but it always survives
Then it comes up out of nowhere like an evil surprise
Then it hovers over you to tell you millions of lies
You don't relate to that? Must not be as crazy as I am

金が増えても
健康でなかったらそんなに意味がない
僕たちは罠に捕まっているんだ
僕たちは「それ」が死ぬのを望んで、窒息しようとしてる
水の中に沈めようとしても、いつも生き残るんだ
悪魔の脅かしのように、どこからともなく現れる
君の元に戻ってきてたくさんの嘘をつく
共感できないって?僕ほどは狂っていないに違いない


The point I'm makin' is the mind is a powerful place
And what you feed it can affect you in a powerful way
It's pretty cool, right? Yeah, but it's not always safe
Just hang with me, this'll only take a moment, okay?
Just think about it for a second, if you look at your face
Every day when you get up and think you'll never be great
You'll never be great—not because you're not, but the hate
Will always find a way to cut you up and murder your faith (Woo)

僕が言いたいのは、頭の中はすごい力を持っている場所だってことだ
君が与えた餌が強烈に君に影響を及ぼす
凄いだろ?でもいつも安全な訳じゃない
ちょっとでいいから付き合ってくれるか?
ちょっとだけ考えてみてくれ、
毎朝鏡に映る自分を見る度に偉大になれないと思うのは
君が偉大じゃないからじゃない
「自分自身を嫌うこと」が君の運命を殺す方法を常に伺っているからなんだ

I've been developin', take a look at the benefits
Nothin' to meddle with, I can never be delicate
Am I even relevant? That depends how you measure it
Take a measurement, then bag it up and give me the evidence
Pretty evident; dependable can never be tentative
I'm a gentleman, depending on if I think you're genuine
Pretty elegant, but not afraid to tell you to get a grip
Proper etiquette, I keep it to myself when I celebrate, ah

僕は成長し続けている、生み出した利益を見てみろ
いちいち構ってられない、僕はデリケートでいられないんだ
俺に関係があるのか?それは君がどう考えるのかによる
俺を評価してくれ、そして証拠をくれ
証拠がないものなんて信じられないのが明らかだからな
君が誠実だと思ったら僕も紳士的でいよう
優美に、でも意見するのは恐れない
祝い事の時には礼儀は守るし、自分を保つよ

It's that time again
Better grab your balloons and invite your friends
Seatbelts back on, yeah, strap 'em in
Look at me, everybody, I'm smilin' big
On a road right now that I can't predict
Tell me "Tone that down," but I can't resist
Y'all know that sound, better raise your fist
The search begins, I'm back, so enjoy the trip, huh

またその時が来た
風船掴んで友達を招待した方がいいよ
シートベルトを着けてしっかり座りな
みんな僕を見るんだ、僕は飛び切りの笑顔さ
予想もしていなかった道を行くんだ
「落ち着け」と言われても、止められない
その音を知ってるだろう、手を挙げるんだ
「希求」が始まる、僕が戻ってきたんだから
旅を楽しめ

・前半にも出てくるように風船は重荷の比喩である。普通なら風船を「置いて」出かけようとなると思うし、実際にNateも前半ではできる限りの重荷を置いてきたと言っている。それんさのに、ここでは風船を掴んでついてこいと言っている。重荷をも受け止めてこそ、真の希求の旅に出かけられるという考えにどこかで変わったのだろうか。


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