新卒で入社した会社の話⑦

9月には、社員旅行という名の苦行がある。
私たち新入社員は、余興というものをしないといけないようだ。

各エリアで集まれるもの同士がグループを作って、それぞれダンスをするというのが定番のようで、私たちは、女子5人で嵐をすることになった。

ちなみにその他のグループは、AKBやKARAやら、マルモのおきての福くんと愛菜ちゃんの曲(名前わからないw)をする予定だった。

大体練習終わりには、ご飯を食べて解散。
本社勤務の同期から、会社の役員の話をよく聞いていたが、私は営業所勤務だったため、蚊帳の外の話。
全く、会社に愛着も湧かないまま、半年が経過しようとしていた。

運命の社員旅行まで一週間を切った頃、どうやら台風が近づいているという知らせがくる。
そして前日、前代未聞の出来事らしいが、社員旅行が中止となった。

台風が来る予定の当日は、見事に外れていき、同じグループだった子達と結局集まることになった。
「本当に嵐を呼んだね〜」とか、誰かうまうこと言ってたな。

松井の異動を聞かされたのも、ちょうどその頃だった。
松井の代わりに、新見という別の方が来ることになるとのことだが、その人が本当に頭のお堅い、おっさんで、より仕事の環境としてはイライラすることになる。
ただ、良かったのは、椎村とウマが合わなかった(椎村だけでなく、所長とも)ため、椎村のイライラの矛先が、新見に変わったこと。

結局この新見も1年で異動させられたのだが、とにかくマイペースなよくわからないおっさんだった。おそらく、所長に気に入られなかったことの左遷だろう。

年末になり、忙しい時期がきた。
ちょうどその頃、私の祖父が他界したのだが、あまりにも忙しいという雰囲気が伝わってきて、休める日数より1日早く職場復帰した。

今まで感じたこともない忙しさと、祖父のショックと共に、全く仕事に集中できなかった。そんな矢先、課長の葛切の担当先の発注に対し、在庫が秘密のところにあったのを私が見逃してしまっていたらしく、葛切りを怒らせてしまう。

得意先からのクレームではなく、この秘密の在庫を使っていれば、売上到達できたかもしれないという、完全社内事情の、しかも本人がこれまでに売上達成していれば怒ることもなかった案件に巻き込まれてしまった。

ヤクザのような喋り方で電話口で怒鳴られ、もう悲しくて悔しくてどうしていいかわからない気持ちになり、トイレに行くふりをして、トイレで涙した。
後にも先にも、職場で泣いたのはこの時だけだ。

退職するまで、この葛切には完全に心を閉じたまま、接することになるのであった。

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