![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56654936/rectangle_large_type_2_307417f6764082d1a2a9561f2026c5c1.png?width=800)
新卒8年目、”はたらく”に迷う。
同期が辞めた。地元へUターンした。
新卒8年目、これが初職。100人近くいた同期はもう、数えるほどしか残っていない。入社時から志を共にし、時にはビールと手羽揚げで何時間も愚痴を言い合い、行き場のない不満と、いつか俺たちが変えてやるんだという気概を胸に、まぁとにかく明日もがんばってみるかと思えた存在。同期。
肩を組んで歩き、「また明日な」と別々の帰路についた彼らと、握手を交わし、「また会おうな」と別々の道を行く機会が増えてきた。テレビで転職サイトのCMを見るたびに、広い部屋の真ん中でひとり取り残されているような空虚感を抱く。
ぼくらしいはたらき方ってなんだろう。
辞めていく理由はそれぞれだ。生活環境の変化、給与面での不満、やりたいことが見つかった、キャリアアップの実現。中学の頃の英語の授業で、肯定文を疑問文にしたみたいに、彼らが語る退職の理由は自分への問いかけでもある。
やりたいことをやってるの?
別の生き方があるんじゃないの?
・・・
大学3回生の就活期、ある会社の面接官がこんなことを言っていた。
「どんな会社で働くにせよ、初職って大事。自分の価値観、キャリア形成、はたらくモチベーション、これらの基盤はぜんぶ、初職で作られる。」
文章を書くとき、①のあとには必ず②がある。
ぼくは「初職」という言葉にも、同じ印象を持ってしまう。「セカンドキャリア」がもはや定年後の人生だけを意味しない今の時代、転職は選択肢のひとつだし、ぼくにとってもそうだ。
だからこそ、辞めていく同期を見ていると、同じ会社に留まっていることが”よくないこと”に思えてくる。自分だけがスタートラインで止まっていて、周りと同じように早く走り出せ!と、自分で自分を急かしてしまいそうになる。
ぼくらしいはたらき方ってなんだろう。
新しいスタートを切ることなんだろうか。
・・・
この1年半で、はたらき方は大きく変わった。
雇用調整助成金の特例措置で、仕事に行く日が減り、休業という名の自宅待機日が増えた。夫婦ふたり、共働きの我が家。仕事がない日も、誰かのためにご飯を作ることで、間接的にでも社会に貢献できているんだと思える。第二波と第三波のちょうど間で挙げた結婚式の写真を見返して、自分の仕事と妻の仕事、今後どんなバランスでやっていくんだろうと黙考する。
自分の時間が増えると、考えることも増える。
ぼくらしいはたらき方ってなんだろう。
やりたいことってなんだろう。
このままで本当にいいんだろうか。
・・・
コロナ禍で見つけた夢中になれることのひとつが、「文章を書くこと」だ。文章を書いていると、あっという間に時間が過ぎる。
noteを始めたのは12月末。最初の頃は思いのままに、短時間で書き上げていた。でも文章を勉強するにつれて、考えることが増え、時間がかかるようになった。伝えたいことが伝わる文章にするために、辞書を引き、比喩を考え、何度も読み返す。その時間さえも心地よく、満ち足りた気持ちになる。記事を投稿するたびに達成感を味わい、コメントがつくたびに胸の奥が温かくなる。
文章を書く仕事がしたいか、答えはイエスでありノーだ。好奇心旺盛であると同時に怖がりでもあるぼくは、本職を変えることにものすごく不安がある。その不安はきっと、文章にも表れる。好きだったことが、好きじゃなくなってしまう。
ぼくらしいはたらき方ってなんだろう。
その答えはまだ、見つかっていない。
ただ、わかったこともある。
新しいスタートや別の生き方は、周りに急かされて決めることじゃない。今年で30だからとか、同期が転職したからだとか、それはきっかけであっても、決断の決め手にすることじゃない。
今、やりたいことが見つかった。でもやりたいことがひとつだけとは限らない。ホテルにはいろんな仕事がある。宿泊、宴会、婚礼、料飲、人事、総務、財務、IT。フロントでチェックインをする人もいれば、披露宴で新郎新婦をエスコートする人もいる。一日中お客様と接する部署もあれば、一日中パソコンに向かう部署もある。
もう少し、考えてみよう。
いつか本職を変えることになったとしても、それはきっと、他部署を経験してからでも遅くない。
今はこの「初職」を、存分にたのしもう。
こんなふうに、文章を書きながら。
愛する妻のため、晩ごはんの献立を考えながら。
毎月引き落とし明細に「note 100円」という文字が3スクロール分くらい並んでいて震えます。サポートいただけると震えが少しおさまります。いただいたサポートは誰かの震えを止める為に使いたいと思います。いつもありがとうございます!