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動物園とラブレター

動物園をまわっている間、どんな動物を見ても、気になるのはあなたの仕草や表情でした。

ごめんなさい、今ぼくは、小さな嘘をつきました。どんな動物を見てもと書きましたが、トラとゴリラだけはちがいます。トラとゴリラを見ている間は、正直、夢中になって眺めていました。
あなたよりも、トラとゴリラを。

トラは、想像よりも1.5倍は大きくて、ぼくは見惚れてしまいました。重力で垂れ下がったお腹を揺らしながら、ぼくの顔ほどの大きさの足を一歩一歩、地面にしっかりと押しつけて歩いていた、あの堂々たる立ち居振る舞い。でっぷりとしたトラの前にいると、自分が弱肉強食の弱側だということを、はっきり意識させられました。こりゃ襲われたら抵抗のしようもないなぁ、と。あなたはどんな気持ちだったのか、いつかまた聞いてみたいです。

そしてゴリラはというと、ごめんなさい、もう大きさとか、立ち居振る舞いとか、そういうんじゃないんです。ぼくは昔から、理屈抜きにゴリラが好きなんです。特にオスの、いちばん強そうなやつが。筋骨隆々といったかんじで、どっしりと構える、あのオレ様感。分厚い胸板と、ひとつ間違ったことを言うと手がつけられなくなりそうな怪訝な表情が、ぼくを魅了し夢中にさせます。気弱なぼくは、自分にないものをゴリラに感じて惹かれているんでしょうか。

とにかく、好きです。

ああこれは、ゴリラに対してです。


動物園にはもともと行く予定じゃなくて、たまたま立ち寄っただけでした。それにもかかわらず、ふたりで回ったあの1時間半が、ぼくはけっこう気に入っています。

フクロウに興味津々なところも、ヘビやカエルにまったく臆せずガラスへ近づく姿も、大はしゃぎする子どもたちを見て、思わず笑顔がこぼれたことも。たったの1枚も写真を撮らなかったのに、なぜか不思議と、たくさん思い出します。


また、会いたいです。



ああこれも、ゴリラに対してです。


#片思いのラブレター

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今日はこちらの企画に参加しました。

大好きな人に向けて片思いの手紙を書く。800字以内。設定は書いても書かなくても。

「なんと粋な企画でしょうか!」というchiyoさんのコメントを見て、ぼくも書きたくなりました。

実話でもフィクションでも、設定は書いても書かなくてもってのがいいですね。

大切な誰かを思って手紙を書いている、それって実は、とても幸せな瞬間なんじゃないかと思います。もしかすると、大切な人から手紙をもらうこと以上に。と、ケータイを持っていない時代に好きな女の子と交換ノートをしていたことなんかも思い出しつつ、心を込めて書きました。

空心菜おひたちさん(はじめまして!)、chiyoさん(いつもお世話になってます!)、素敵なラブレターをありがとうございます。


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