私が書くのは、大きなひとりごと
初めて抱いた将来の夢は、作家だった。その頃から本は好きだったけれど、きらきらした憧れがあったわけではない。クラスの友達とも大人たちとも話すのが苦手な私が、唯一できそうだと思った職業がそれだっただけ。お店屋さんも先生も、私には到底できないと感じていた。今から思えば、5歳そこそこにして悟ったところのある子供だった。
それから10年以上、学校社会でもまれるうち、「作家を目指していること」そのものがアイデンティティの拠り所になった。自信のない私は、何か特別なものになりたかった。理系