No.20 直(すなお)2024年 4月藤田英樹

「春は花 夏はほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷(すず)しかりけり」 道元禅師
この言葉は曹洞宗開祖の道元が永平寺の夜空を眺めていて詠われた伝えられます。日本の四季、自然の美をありのまま、素直に賞でる気持ちがそのまま仏のこころに通じることを表して、その言葉自体が禅を説いています。 禅ではこれを「見性成仏(けんしょうじょうぶつ)」と言い、客体(見る対象)を通して、自分の身に備わっている「仏」としての真の性質を悟ることと解きます。 私はもっとシンプルに考えて、「今を生きる」ことを大切にし、「素直(すなお)」であることを尊ぶことだと思っています。 私が長く勤めて、私の仕事観や社会観を形づくってくれた松下電器(現 パナソニック)の創業者である松下幸之助翁は、「素直」という言葉を大変好んでおり、人から頼まれて色紙に書く言葉としてよく選んでいました。 「素直になれば、ものの実相・本質がわかり、とらわれた心で見ないから、人は強くなり、正しくなり、賢く、聡明なる」と説いてます。 そして「素直な心の初段」になることを目指そうと言っています。 道は簡単ではないかもしれま>せんが、「十段」や「五段」ではなく、「初段」を目指すことを呼びかけるところに、幸之助さんの人間味溢れる慈愛を感じるのです。 即ち、時間はかかっても、地道に努力すればその境地には誰でも到達できるのではと思わせてくれるのです。
冒頭の道元禅師の言葉は、川端康成がストックホルムでのノーベル文学賞受賞の際に行った記念講演「美しい日本の私」でも引用しており、四季折々の「雪月花」の美に触れ、感動に巡り合った時に、自然を愛し没入する心と共に、共にそれを見たいと思う友を想う心の重要性にも触れています。 
4月6日からライフシフト大学も5年目に入り、第10期の生徒を迎えました。ここまで大学を支えてきてくれた多くの関係者や卒業生の皆様に感謝申し上げるとともに、新入生の皆さんと「素直」な気持ちで、「学び直し」の海に船出し、「友」として「同志」として、ミドル・シニアの夢を実現していく思いを分かち合いたいと思います。 春の第一歩を踏み出します!
心が変われば態度が変わる、態度が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる、運命が変われば人生が変わる。

写真は、松下幸之助翁の色紙


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