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名大ロー入試対策大全

名大ローを志望する方の中には、名大ローの入試体験記がなくて困っている方も多いのではないでしょうか。かくいう筆者も、名大ローを受験すると決めた後に、情報を得るため様々なサイト等を探りましたが、全くと言って良いほど見つかりませんでした。

そこで、本記事では昨年度の入試で名大ローに合格し、現在名大ローに通っている筆者が、自分が受験生の時に欲しかった名大ローに関する入試情報をお伝えします。是非参考にしてくださいね!(ライター:長井/The Law School Timesライター


名大ローについて

名古屋大学法科大学院のことです。名古屋大学東山キャンパスに設置されており、名古屋大学駅から徒歩3分程度で着ける立地の良さは魅力的です。また、自習室も各学生ごとに割り振られ、24時間使用可能な点も特色です。そして名大ローは司法試験合格率が高く、昨年は受験者89名中合格者42名と約47.2%を記録しました。これは全法科大学院中6位の記録です。在学中受験者に限れば、受験者31人中合格者20人と約64.5%を記録しました。

①名大ローの入試概要

⑴インターネット出願について

名大ローは出願方法が特徴的です。他のロースクールのような郵送による出願をする前に、インターネット出願をします。インターネット出願後に入手できる書類を用いて、さらに郵送で出願する必要があります。インターネット出願は、郵送書類受付期中も最終日を除いて一応可能ですが、受験料をインターネット出願時に支払う必要があることや、出願書類の印刷等の手間を考え、必ず余裕を持って行いましょう。

⑵出願書類について

名大ローは出願書類の量が他のロースクールと比較して多いです。一般的な出願書類は、①入学志願票、②履歴書、③志望理由書、④卒業(見込み)証明書、⑤成績証明書といったものがありますが、名大ローは①から⑤までの書類に加え、⑥自己評価書、⑦成績概要証明書が必要です。

さらに、③志望理由書と⑥自己評価書はそれぞれA4で2枚ずつ書くことを求められます。なお、筆者が受験した他のロースクールでは、同志社ローは志望理由をA4で1枚、関学ローは志望理由と自己評価合わせてA4で2枚、京大ローは文字数制限があるため志望理由と自己評価合わせてA4で3枚程度でした。これらと比べると、名大ローの志望理由書・自己評価書の枚数が多いことが分かると思います。

⑦成績概要証明書は、所属している大学の成績評価基準(例えば秀優良やABCといった方式のこと)を記載し、それぞれの取得単位数を記載するものです。

⑶受験日程について

名大ローの受験日は他のロースクールと被ることがあります。昨年は阪大ローと受験日が被っていたため、どのロースクールを受験するか悩んでいる方は、名大ローは勿論、他のロースクールの受験日も確認するのがおすすめです。


②ステメンについて

上記の通り、名大ローは志望理由書と自己評価書を合わせて4枚もあるため、記載内容は相当の量になります。また、名大ローは書類点の配点が800点中200点と比較的高いです。そのため、何を書くか、また他のロースクールも受験する方は、他のロースクールの志望理由書で書いた内容をどう広げるかを、今のうちに考えておくのがお勧めです。

また、ステメンに書く大まかな内容については、筆者が執筆した下記の記事を参照してみてくださいね!

・「ロー入試のステメンに書くことがないあなたへ【勉強関連編】」(https://note.com/lstimes/n/n1019a7e5e8bc
・「ロー入試のステメンに書くことがないあなたへ【課外活動編】」(https://note.com/lstimes/n/n24c80170e89e

さらに本記事では、具体的に「名大ロー」のステメンに書くとしたら何が良いのかを説明します。

⑴名大ローのホームページをじっくり読もう

ホームページをじっくり読んでロースクールの特色やアドミッションポリシーを確認しましょう。上記の通り名大ローは書類点の配点が高いので、時間を割く価値があります。

筆者がステメンで注目した特色は、名大ローが展開している3つの履修モデルです。「市民生活と法」「企業活動と法」「国際社会と法」と3種類が展開されていますが、これは優れた専門能力のある法曹の養成を掲げる名大ローにしかない特色です。

また、名大ローはITを活用して講義を行っています。これは名大ローが情報・IT技術に強い法曹の育成を目指していることにも関連しますが、昨今の情報化が急速に進行する社会を踏まえて、この特色から志望理由を考えることも可能だと思います。

⑵名大ローの説明会に行こう

どのロースクールでも言えることですが、説明会ではホームページでは得られない情報を得られることが多いです。特に説明会中に何度も強調されていることは、そのロースクールが重要視していると考えられ、ステメンを書く際のヒントになります。


③受験科目について


名大ローは受験科目も特徴的です。関東にあるロースクールは試験科目として訴訟法2科目を課して行政法は課さないことも多いですが、名大ローは訴訟法を課さずに行政法を課します。行政法が苦手という方は、積極的に対策をしましょう。
筆者は名大ローを主軸に受験校を決めていたため、⑴関学ロー(受験科目が憲法民法刑法商法の4科目)、⑵同志社ロー(筆者受験時は受験科目を選択できたため、憲法民法刑法商法行政法の5科目)、⑶名大ロー、⑷京大ロー(受験科目に訴訟法がありますが、今までの自分の総決算のつもりで受けました!)の4つを受験しました。名大ローを受験する方は併願先を受験科目も踏まえて選ぶのもおすすめです!

名大ローの受験を終え、得点開示をした個人的な所感をお伝えします。

⓪一行問題は無理に対策する必要はありません。おそらくですが、配点もそこまで高くなく、一行問題を対策する前に論文問題(特に過去問のレベルの問題)を難なく解けるように対策するのがコツです。名大ローは2科目で120分、つまり1科目で1時間しか掛けられないので時間との勝負です。書くべきことと、書いても加点にならなそうなことを見極められるようにしておきましょう

❶公法系は大きく差は出ません。一定の水準のことを書くことができれば平均点をとれます。憲法は最新裁判例から出題されることが多いので、重要判例等は読んでおきましょう。行政法は総論と救済法のみが範囲のため、要領良く対策するのがコツです。

民事系は採点が厳しく、今年は平均点が240点中60点台でした。そのため100点近くを取ることができれば大きなアドバンテージになります。民法は総じて難易度が高めですが、論点を見極め、明瞭簡潔に書くことを心がけましょう。商法は年度によって難易度に大きな差があるのですが、基本的な論点を落として周りに差をつけられないように意識しましょう

刑法はほとんどは基本的なことを訊かれますが、時折、通貨偽造罪といった試験上はマイナーな犯罪について訊かれることもあるので注意しましょう。この科目も周りが書けることを落とさないのが肝です。


おわりに

筆者は名大ロー入試において、上記の通り、論文では周りが書けることは書けるように意識していました。ロースクール入試は相対評価であること、そして名大ローは各科目の試験時間があまり多くないことを踏まえると、書けることは何でも書こうとするとほとんどの場合焦って上手くいきません。そのため、少ない時間をどう生かすかというタイムマネジメントを心がけて論文問題は解けるようにしましょう。


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