保育士同士の「保育観が合わない時」に思い出したい”4つの視点”
保育士が10人いたら10通りの保育観があっていい
保育観とは、自分が保育を行うときに大切にしたい価値観や考え方のことをいいます。
保育士なら誰でも「こんな保育をしてみたい」「こんなふうに子どもに関わりたい」といった気持ちを持っていると思いますが、それが保育観ということになります。
保育観はそれぞれの歩んできた人生から習得した価値観の上に成り立っていますので、例え同じ教科書、同じ現場でトレーニングを積んだとしても一人ひとり変わってきます。
保育士が10人いるなら10通りの保育観があるというわけです。誰かの保育観が正解で、誰かの保育観が間違っているということではないのです。
①多彩な保育観の中で子どもたちは健全に育つ
例えば新しい玩具で子どもが楽しそうに遊んでいる場面。
玩具の使い方がちょっと違うのですが、A先生は子どもが楽しんでいるようなのでしばらく温かくその状況を見守ろうとしました。
ところが同僚のB先生は玩具の正しい使い方をすぐに教え始めました。
B先生としては新しいことを正しく覚えて子どもがより楽しめるようにと行った行動でした。さて子どもに対する対応が正しいのはどちらの先生でしょうか。
答えはどちらの先生も正しい、ということになります。
しかし、いつもA先生のような対応ばかりでも新しいことが覚えられなくて困りますし、いつもB先生のようにされても子どもは自分で考えるという自発的な成長ができません。
どちらの対応も必要ということですね。つまり子どもの状況に合わせて様々な対応をしてくれるA先生もB先生もいる環境であるからこそ、子どもたちは健全に育っていくことができるというわけなのです。
②子ども第一に考えたときに共有できるものがきっとあるはず
そうはいっても保育観が合わない相手と仕事をすることにはストレスが溜まるもの。
よく「一緒に働く保育士同士の保育観が合わなくて苦労する」といった話を耳にしますが、確かに毎日のこととなると結構しんどいこともあるでしょう。
そんな時はお互いの考え方を冷静に話し合ってみてはどうでしょう。その際、自分の保育観が絶対に正しいといった気持ちで話を聞くと、相手のよい考えが吸収できにくくなります。
自分と違うタイミングや接し方は子どものどんなところを観察して起きているのか、互いに伝え合うという感覚で話ができると一番良いですね。
保育士なら子どもが第一という気持ちはおそらく無理なく共有できると思いますので、そうした共有できることを意識しながら互いの保育観を話し合ってみると、案外他にも共感できるものを発見できたりして、良好な関係が作れることがよくあります。
③園の経営方針や理念に、どうするべきかのヒントが隠れている
子どもの主体性を大事にして自由な風土で見守る保育を重視している保育園と小さいころから色々な学習機会を設けて子どもの成長をうながすようにしている保育園とでは園の経営方針や理念がおのずと異なってきます。
自分が働いている保育園の方針や理念がどういうものなのかをもう一度おさらいしてみると、自分の保育観を上手く織り交ぜながら周囲と共有できる子どもへの接し方が見えてきて、さらに発展したよい保育観が育まれることがよくあります。
それでも現場同士ではどうしても保育観が合わずに悩むとき、どう子どもに接していくのが今必要なのか迷うときは、先輩保育士や主任、園長など、頼りになる方にアドバイスを求めるのも良い機会になります。
園の方針や理念のもと、現場は子どもに対してどのように力を入れるべき時なのか適切なアドバイスをくれることでしょう。
④保育観を定めて押し付けてくる園は考えもの
先に10人の保育士がいたら10通りの保育観があると書きましたが、そこに100人の子どもがいれば、それまた×100通りの保育観が生まれるものだということを私たちはまず理解しておきましょう。
ごくまれに園長先生や主任保育士が自分の保育観を現場に押し付けて、それ以外の保育観を持っている保育士をダメ扱いするような園がありますが、そういう保育園はたいてい子どもたちをも一律にしか保育できないダメダメ保育園です。
そのような職場環境ですと保育士たちの多彩な保育観はかえって邪魔者扱いされますので、そうした職場で働いていて学べることがなかったり悩まれている場合は、思い切って転職を考えることもありかもしれません。
まとめ
誰でも自分の保育観というものは大事にしたいと思っています。
それはあなたが保育観が合わないなあと思っている同僚や先輩でも同じことです。
大事なことはどちらが正しいではなく、それぞれの保育観を認め合える関係を持つこと。
保育観が違う相手には自分から相手の良いところを探しに行く、みんながそんな風にし合うことができると、多様な保育観の中で子どもを育む素敵な保育環境が生まれてくるのでしょうね。
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