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人文系学生のサバイブ指南(2024年版)
仕事にも精が出る金曜の午後に、これを書いている(traveling)
タクシーもすぐ捕まるだろうが、新卒の薄給でそんな事が出来るはずもない。
雑踏。20年くらいにとあるサークルのLT回で、こんな話をした。
「人文系学生のサバイブ指南」
如何にも碌でもないタイトルであるが、当の本人は至って真剣に(?)書いた所存である。
何故かM1最終決戦の如く大ウケをかっさらって終了し、人生なんて些細な悦び
創作「下町のバイリンガル」(卒業制作没シリーズ)
空に架かるアーケードの隙間から差し込む、ぽかぽかとした陽気が入り口に掛けたばかりの黒い暖簾を仄かに照らして、夜勤明けで壊滅寸前の杉本でも、なんとなく春の訪れを感じられるような時候だった。
店内の壁にかけてあった、時計の短針が9に差し掛かる頃、淡緑のエプロンを羽織った――この店の制服である――この店にそぐわない程潤う肌を備えたセンターパートの男が、レジにぼんやりとした表情で立つ杉本の下へ駆け寄
淡い地、至上の時 〜文芸学部を想ふ〜
「文芸学部は土臭く」
近畿大学文芸学部の初代学長・後藤明生の口癖だったらしい。
その言葉の通り、余りにも土着的に、遠回りをしながら、やっと一つの解に辿り着いたような心地である。奥泉はああ言ってはいたものの、文学という無用なアカデミック(文学部生がこんな事を言うと、本末転倒だが)の登竜門を登る事に、少し危機感を覚えた自分もいた。故に、中学時代はアホほど惚れ込んでいた情報系の道に戻る事にした訳である
創作:盛装【卒業制作没原稿シリーズ】
盛装とは決して言えない、シテらしからぬ質素な衣装を纏った自然居士が子供を連れ、都へ下ると、それを見ていたベトナム・イギリスのハーフである観客のナムは、父譲りの炯炯たる蒼い双眸で、閉演後に広がる壇上の虚空を眺めていた。古来の英雄が作品にまでなって称えられるんだから、自然はよっぽど良い廻向を済ませたのだろうと信じて止まないまま、彼は研究的な目的すら忘れ、熱涙を目頭に忍ばせた。
駅で用を足し、ナム