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非常時照明を日常の中に Vol.1

 私たちが“復興照明プロジェクト”を立ち上げる契機となったのは2011年3月11日に発災した東日本大震災です。照明デザインを生業とするプロフェッショナルとして、災害時・非常時にも私たちの職能が力になれることはあるのか、と立ち上げたプロジェクトは、有志が折に触れ集まりながら社内活動として続いてきました。
   

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 2016年にはヒアリングプロジェクトとして気仙沼に出向き、発災後や避難所のあかりの経験を聞かせて頂いたこともありました。お話を伺ったうちのおひとりに小学校4年生の担任をされていた方がおられますが、東日本大震災から10年を迎える今年、当時の教え子が成人式をお迎えになったとのこと。未曽有の大災害の発生後、校庭に集まり一緒に逃げた子供たちが晴れの日を迎える嬉しさは、いつにも増してきっと印象深いものであっただろうとの思いが巡ります。

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2016年のヒアリング活動の時の写真。左から3人目が当時小学校4年生の担任をされていた阿部先生。

 東日本大震災で被災された方々のこの10年の道のりがいかなるものであったか思いをはせる一方で、どれほど多くの大規模自然災害がこの10年で日本、世界各地に相次いで起きたのかを思わずにはいられません。そして新型コロナにまつわる苦難は、現在全世界で同時に進行しています。

 非常時がいかに日常と地続きであるかを考えたときに、非常時のみを切り離して備えることは得策ではないですよね。自宅での非常用食料備蓄をローリングストックする、ということが一般的になってきたように、非常時用備品も日常の一つの風景としていくことが、結果的に非常時の私たちを助けてくれるのだろうと思います。

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 そのようなことについてチームであれこれ会話を重ねて、私たちは2020年から非常時照明の体験トライアルをやってみよう、ということにしました。
 私たちの専門である照明器具は非常時用アイテムとして必ずリストアップされるものの一つです。どのようなものがどのようなシーンで一番頼りになるのか、平時にも取り入れられる備えはあるか、実際の体験を通して得られる知恵を皆さんと共有できればと思っています。

つづく。


※訂正:2011年3月時の阿部先生ご担任学年は5年生ではなく4年生でした。ここに誤記のお詫びと訂正のご報告をさせて頂きます。(2021年2月9日)


by  Momoko Muraoka

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