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それでも私は

その日も私を抱きしめたまま、
彼は呟くように言った。

〝aoiさんてさ″

ん?

〝非の打ち所がないよね。きれいで″


、、、そんな訳ないじゃん。

人妻と大学生。この場所で2人きり。

そんな非現実的なこのシチュエーションが君にそう思わせているだけなんだよ?

この子はとても優しくて時々切なくなる。


もう着替えなくちゃと思ってショーツだけ履いたままクローゼットを開けたら彼が後ろから抱きついてきた。

どうしたの?

〝もう一回後ろ向いて?

後ろ姿も綺麗だったから。髪もお尻も全部好き″

そうかな、ありがとね。

彼はいつもこうして、セックスが終わった後に私の事を褒めてくれる。

なんどもキスをして手を繋いでくれる。

とても嬉しくて、

そして少し悲しい。


どうしたって君は大学生で

私は40代だという事実は変わらない。

せめてまだ30代だったらもう少し余裕が持てたのかしら?なんて思うけどあの頃に戻りたいなんて思った事は一度もない。

いつだって、今の自分が完成形。

そう思わなきゃ、大人の女なんてやってられないもの。


だから、男の子の気まぐれな言葉にしっかりと心の距離を保ちながら

それでも私は、何にも気にしてないみたいに、

楽しかったねって今日も軽く笑うんだ。

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